協調介入から1ヶ月で4割縮小した米ドル買い越し
CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションから試算)は、7月末に日米協調円買い介入が行われる直前には、買い越しが51万枚と過去最高を記録していた。ところが、それから約1ヶ月過ぎた先週(8月24日週)の段階で、買い越しは31万枚まで4割もの急縮小となった(図表1参照)。
似たようなことは、1月に日米が円安けん制の「レートチェック」に協調的に動いた直後にも見られた。「レートチェック」前、米ドルは小幅ながら買い越しとなっていたが、「レートチェック」後から売り越しが急拡大に向かった(図表2参照)。以上のように見ると、円安阻止への米国の協力が、むしろ米ドル売りが急拡大するきっかけになっているようだ。
ユーロ売り介入なのに投機筋は米ドル売り・ユーロ買い拡大
この1ヶ月、米ドル買い越し急縮小の主役はもちろん対円だったが、もう1つは対ユーロだった。ユーロは協調介入の前には米ドルに対して比較的大幅な売り越しとなっていたが、先週(8月24日週)にかけて売り越しは大きく縮小した(図表3参照)。似たようなことは、1月「レートチェック」後も見られた。「レートチェック」後から対米ドルでのユーロ買い越しが大きく拡大に向かったのだ。
「レートチェック」と協調介入は、基本的には円安阻止への米国の協力とみられるが、それがともに米ドル売り・ユーロ買いが急拡大するきっかけとなったわけだ。特に協調介入では、米国は円買いの対価としてユーロ売りを行ったとされているが、投機筋のポジションは米ドル買い越し・ユーロ売り越しの縮小という結果となった。
金相場の上昇再燃も協調介入直後から
このところ金相場の上昇再燃が注目されているが、実はこれも7月末の日米協調介入の直後から起こったものだ(図表4参照)。金は「米ドル離れ」の代表的な受け皿の1つとして知られている。そして、ユーロは「第2の基軸通貨」とされる。以上を踏まえると、円安けん制の「レートチェック」、そして円買いの協調介入といった円安阻止への米国の協力は、結果として「米ドル離れ」再燃、米国からの資金シフトのきっかけとなったようだ。
米国は今回の日米協調円買い介入を、自国通貨の米ドル売りではなくユーロ売りで行ったとみられている。それでも「米ドル離れ」再燃のようになったことを考えると、米ドル急落のトリガーになりかねない米ドル売り介入はできないというのが実態ではないか。
円安阻止への協力が「米ドル離れ」のきっかけ
1月の「レートチェック」をきっかけに起こった米ドル売りは、2月末の米国によるイラン攻撃開始で一巡した。では、今回の協調介入をきっかけに始まった米ドル売りも何かのきっかけで一巡するだろうか。
1月との違いは、投機筋の米ドル・ポジションを見る限り、足下はなお「買い越し」が続いていることから、その修正の米ドル売りが広がる余地が十分あるということ。1月「レートチェック」後は、米ドルが「売られ過ぎ」懸念が強くなったことも、イラン攻撃開始で米ドル売りが一巡した一因と考えられたが、それに比べると今回は米ドル売りが長期化する可能性も注目される。

