日銀利上げは9月、12月=円安阻止効果は懐疑的?

年内の日銀金融政策決定会合は、9月、10月、12月に予定されている。これを踏まえ、ある元財務官は、日銀の追加利上げは9月と12月に行われる可能性が高いとの見方を示した。ただし、「秋の臨時国会は(消費税減税を巡り)かなり荒れる可能性があり、それを受けて12月の利上げが難しいようなら、年明け1月に後ずれする可能性はあるだろう」と語った。ではそれは円相場にはどう影響するか。

日米金利差(米ドル優位・円劣位)は、7月下旬頃から大きく縮小、金融政策を反映する日米2年債利回り差は一時5月前半以来の水準まで縮小した。ところが米ドル/円は、日米協調介入を受けた米ドル安・円高は155円で一巡すると、その後は日米金利差縮小を尻目に、比較的大きく米ドル高・円安へ戻すところとなった(図表1参照)。以上のように見ると、日銀の利上げ見通しが円安阻止・是正にどれだけ影響するかは懐疑的ではないか。

【図表1】米ドル/円と日米金利差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

金利差縮小でも円高にならない=主因は財政規律への懸念?

それにしても、日銀利上げ見通しなどを受けた日米金利差縮小でも円高への反応が鈍いのはなぜか。協調介入後に、日米金利差縮小を尻目に比較的大きく円安へ戻した動きを説明できそうなのは、日本の長期金利の上昇だった(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2026年7月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この長期金利上昇は、財源が曖昧なまま高市内閣が消費税減税を行おうとしていることを受けた財政規律への懸念の影響が大きいとの見方が基本のようだ。以上からすると、日米金利差縮小を尻目に続く円安は、高市内閣による財政規律への懸念の払しょくがなければ止まらないということになりかねない。

消費税減税でも財政規律維持=財務省は軌道修正か

8月上旬に行われた財務省幹部人事は、財政健全化の立場から消費税減税などに抵抗する財務省に対する総理官邸主導の「懲罰人事」のような見方が広がった。こうしたことから財政規律への懸念が一段と強まった可能性は高そうだ。では、このまま高市内閣の財政規律への懸念を主因とした円安はさらに続くことになるのか。

これについて、ある元財務官は、「ナローパスだが」と断った上で、高市内閣が、高市総理の「悲願」とする消費税減税を強行しても、財源の明確化などにより財政規律を維持できる可能性はあるとの見方を示した。これは、財務省が高市内閣の消費税減税を前提とした上で、それに伴う長期金利急騰や円急落の回避に、対応を軌道修正し始めた可能性も示唆している。

日銀の利上げ加速でも円安は止まらないのか。それは円安阻止に無関心な高市内閣による、「責任ある積極財政」とは名ばかりの放漫財政の結果なのか。財政を主管する財務省が軌道修正できるものなのか。日本の金融・財政政策が歴史的円安の行方を左右するという状況が続いているようだ。