先週(8月10日週)の振り返り=協調介入受けた米ドル急落も「半値戻し」に
159円台まで円安に戻す=協調介入は失敗したのか?
先週(8月10日週)の米ドル/円は、一時159円半ばまで上昇しました。1998年以来、約28年ぶりの日米協調による円買い介入などを受けて、一時163円台から155円台まで約8円も急落した米ドル/円でしたが、下落幅のほぼ半分を戻しました(図表1参照)。ではそれはなぜでしょうか。日米協調介入が円安阻止・是正を目指したものなら、それは失敗だったのでしょうか。
先週(8月10日週)は、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)など注目の米インフレ指標が発表され、それは基本的に予想通り、または予想を下回る結果となりました。これを受けて米早期利上げ観測は後退、それに伴い日米金利差(米ドル優位・円劣位)は縮小しました。それにもかかわらず、米ドル高・円安傾向が広がりました(図表2参照)。
円安は日本の長期金利上昇と連動=消費税減税を懸念した円安なのか?
先週(8月10日週)の米ドル高・円安を説明できそうな要因として、日本の長期金利、10年債利回りの上昇がありました(図表3参照)。10年債利回りは大きく上昇し、2.9%に迫る動きとなりました。上昇の主因は、高市内閣が財源の曖昧なままで消費税減税を進めることを受けた財政規律への懸念とされます。
日本は米国との約28年ぶりの協調介入なども動員して円安阻止を図る一方で、現内閣の消費税減税などの政策が円安要因となり、円安方向へ押し戻しているように見えます。円安か円高かという意味では、政策的にはきわめてチグハグな状況が続いているということではないでしょうか。
今週(8月17日週)の注目点=投機筋、当局ともしばらく積極的には動かず?
投機筋による円売り本格再開の形跡は見られず
一時163円まで米ドル高・円安となった動きを主導したのは、投機筋の円売りでした。その投機筋は、協調介入を受けて円売りポジションを大きく縮小しました。代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)は、先週(8月10日週)にかけて2週連続で縮小しました。その意味では、先週(8月10日週)にかけて159円台まで米ドル高・円安に戻した動きに、投機筋が関与した形跡はありませんでした(図表4参照)。
これには、米ドル/円が先週(8月10日週)までヘッジファンドの円売りポジションの損益分岐点、120日MA(移動平均線)を上回るまでに至らず、含み損が続いた影響もあったのではないでしょうか(図表5参照)。さらに夏期休暇が本格化していることも考えると、まだしばらくは投機筋が円売りを再燃させ、160円を大きく超える米ドル高・円安を主導することも考えにくそうです。
日米当局とも追加の為替介入には慎重な判断となる可能性
一方、円安阻止の日米通貨当局の為替介入姿勢はどうでしょうか。まず日本の当局については、160円を超えて米ドル高・円安が進んだ場合、すぐに米ドル売り・円買い介入を再開するかどうか、どちらとも言えないかもしれません。すでにゴールデンウィークとこの7月末からの介入を合わせると、介入額は20兆円を超えている可能性もありそうです。そのため、追加の為替介入の判断はこれまで以上に慎重になるのではないでしょうか。
米当局は、1998年以来の円買いでの協調介入を行いましたが、それは米ドル売りではなくユーロ売りでした。この背景には米ドル売り介入を行った場合、円以外の通貨に対しても米ドルが急落することへの警戒があったと考えられます。そうであれば、さらなる協調介入も、よほどでなければ米ドル売りではなくユーロ売りになる可能性が高いでしょう。米当局にとって自国通貨の米ドルと違いユーロの保有には自ずと限りがあることを考えると、追加の円買い協調介入もこれまで以上に慎重な判断になるのではないでしょうか。
今週(8月17日週)の米ドル/円は158~161円で予想
今週(8月17日週)は、それほど注目度の高い米経済指標の発表予定はありません。さらにこれまで見てきたように、投機筋も日米当局もすぐに積極的に動くとは考えにくいでしょう。以上を踏まえると、今週(8月17日週)の米ドル/円は、先週(8月10日週)同様、159円をはさんだ動意の薄い展開が続く可能性が高そうです。予想レンジは158~161円にしたいと思います。

