今週(8月7日~8月13日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):米利上げ観測後退が支えも、ストラテジーのビットコイン売却と中東情勢が重石

ビットコインは、軟調な米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けた利上げ観測の後退が支えとなった一方、企業によるビットコイン売却や中東情勢の不透明感が重石となり、上値の重い展開となった。

軟調な米雇用統計を受けて追加利上げへの警戒が和らぎ、米国株が高値圏で推移する中、ビットコインもBTC=65,000ドル(約1033万円)を挟んで底堅く推移した。しかし、ストラテジー[MSTR]が8月初旬に続いて保有するビットコインの売却を発表すると、継続的な売りによる需給悪化が懸念された。暗号資産の現物ETFの資金フローも弱含み、ビットコインは次第に上値を切り下げた。

さらに、米国とイランの間でホルムズ海峡の解放に向けた合意期待が後退すると原油価格が上昇し、インフレ再燃や米金利上昇への懸念が強まった。これを受けて米国株が下落する中、ビットコインにも売りが波及し、一時BTC=63,000ドル(約1001万円)付近まで下落した。その後も中東情勢への警戒は残ったものの、AI・半導体関連企業の好決算を背景にハイテク株が持ち直したほか、米CPIの鈍化で金融引き締めへの警戒が和らいだことで下値は支えられた。

規制面では、米CLARITY法案の審議が9月以降に持ち越される一方、SEC(米国証券取引委員会)が暗号資産規制に関する会合を開催するとの報道が伝わり、制度整備への進展期待が投資家心理の改善につながった。ただし、米国株の堅調さに比べてビットコインの戻りは鈍く、BTC=63,000~65,000ドル(約1001~1033万円)を中心に弱い値動きとなった。

 

来週(8月14日~8月20日)の相場予想

BTC(ビットコイン)はFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨と米イラン情勢をにらみ神経質な展開か

来週のビットコインは、米国株高によるリスクオンムードが下支えとなる一方、FOMC議事要旨や米イラン情勢、企業によるBTC売却への警戒から神経質な展開が予想される。

株式市場では、好決算を背景にAI半導体株への買いが再び強まっており、コアウィーブ[CRWV]やスーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]、ネビウス・グループ[NBIS]などが大幅高となった。一方、決算への反応は銘柄によって分かれており、物色の広がりもみられる。AI関連株への過度な資金集中が和らげば、ETFなどを通じてビットコインにも資金が向かう可能性がある。

その中、8月19日(水)に発表される7月のFOMC議事要旨に注目である。7月会合では政策金利が据え置かれた一方、FRB(米連邦準備制度理事会)当局者3名が0.25%の利上げを主張した。議事要旨でインフレ警戒や利上げを支持する議論が想定以上に広がっていたことが確認されれば、米金利上昇とドル高を通じてビットコインの売り圧力が強まりやすい。一方、タカ派的な議論が一部にとどまっていたことが確認されれば、過度な利上げ警戒が和らぐ可能性もある。

米イラン情勢では、ホルムズ海峡の正常化を巡る協議が焦点となる。足元では合意への期待が後退し、船舶の通航も戦争前を大きく下回るなど、原油供給を巡る不透明感が続いている。協議がまとまり海峡の正常化が進めばリスク資産の支援材料となる一方、交渉決裂や軍事的緊張の再燃は原油高とインフレ懸念を通じてビットコインの重石となるだろう。

暗号資産市場では、企業によるBTC売却にも注意したい。ストラテジー[MSTR]が7月以降BTCの売却を続けているほか、エンペリー・デジタル[EMPD]も保有BTCの一部を現金化している。こうした動きが他の保有企業にも広がれば、需給悪化により下げを加速する可能性がある。

また、米CLARITY法案は上院の夏季休会により審議が9月以降に持ち越される見通しで、短期的には規制進展への期待が高まりにくい。ただし、SECとCFTC(米商品先物取引委員会)は「Project Crypto」を通じて暗号資産規制の明確化を進めており、トランプ政権や規制当局から制度整備を後押しする動きが続けば、期待の後退は限定的となる可能性がある。

8月23日(日)から予定されているeCashを巡るハードフォーク(ビットコインからの分岐)にも注目が集まっている。しかし、サトシ・ナカモトが保有するとされるBTCの再配分などを巡ってコミュニティから反発が強く、広範な支持を得ていないことから、相場への影響は軽微とみられる。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=68,000ドル(約1081万円)、下値はBTC=58,000ドル(約922万円)を意識する。