1月「レートチェック」後に急拡大した米ドル売り
米当局は1月23日、日本の当局が円安けん制の「レートチェック」を行うと、それに追随するように「レートチェック」に動いた。その後、円以外の通貨に対して米ドルは急落した。
実際、「レートチェック」後の米ドル売り急拡大は、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションで試算)の変化で確認できる。「レートチェック」前は小幅ながら米ドル買い越しだったが、売り越しに転換すると約1ヶ月で20万枚以上に米ドル売り越しが急拡大した(図表1参照)。
なお、米ドル売り越しの過去最高は2011年3月に記録した26万枚だったため、「レートチェック」から約1ヶ月で過去最高に迫るほどの米ドル売り越し拡大となった(図表2参照)。
「断じて米ドル売り介入は行わず」=弁明を余儀なくされたベッセント長官
円安けん制の目的で行った「レートチェック」が、円以外の通貨に対しても米ドル売りを急拡大させるきっかけになったことは、米当局にとってはショックだったかもしれない。ベッセント米財務長官は、米ドルが急落する中で、「断じて米ドル売り介入は行っていない」と弁明を余儀なくされた。
この発言は、今回「レートチェック」からさらに一歩踏み込む形で日米協調円買い介入が行われる中でも、そのまま引き継がれたということではないか。その結果、米国の円買い協調介入は、米ドル売りではなくユーロ売りになったと考えられる。
脆弱な米ドルの地合い=再度の協調介入参加は慎重か?
今回、米当局は米ドル売りではなく、ユーロ売り・円買い介入に動いたとみられているが、それでも協調介入の後、米ドル・ポジションの買い越しは比較的大きく縮小した。米ドル買い越しは、協調介入が行われる前は過去最高の51万枚に達していたが、協調介入後は37万枚への急縮小となった。このうち米ドル買い越しの縮小が最も大きかったのは、もちろん対円で10万枚以上に達したが、ユーロ、英ポンド、豪ドルに対しても米ドル買い越しは軒並み縮小した。
このような円安けん制を目的とした米当局の動きが、円以外の通貨に対しても米ドル売りを拡大させるきっかけになったのは、米ドル自体の地合いの脆弱さを感じさせる。米ドルは対円では記録的高値にあるものの、円以外の通貨に対しては2025年1月のトランプ政権発足以降、下落トレンドが目立った。そのような中で、米当局自身が米ドル売り介入に動いた場合、円以外の通貨に対して米当局が望まない米ドル安が広がるリスクもありそうだ。
ベッセント長官は、今後も必要なら躊躇なく協調介入を行うと発言したが、以上のことを踏まえると、それを米ドル売り・円買いで行う可能性には懐疑的な見方が多い。再度のユーロ売り・円買いでの協調介入参加も、自国通貨の米ドルと異なり、米国が保有しているユーロに限りがあることなどを考えると、慎重なものになるとの見方が多い。

