7月の振り返り=2024年7月の円安値を更新、しかし月末に為替介入が再開され円高へ急転換!

約3ヶ月ぶりの為替介入再開で米ドル/円は157円まで急落!

7月の米ドル/円は上昇傾向が続き、2024年7月の高値である161.9円を超えると164円寸前まで上昇しました。その中では、高市政権の経済財政運営と改革の基本方針である「骨太の方針」を巡る財政規律への懸念などが円売り材料として意識されました(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年4月~)
出所:マネックストレーダーFX

しかし月末に、日本の通貨当局がゴールデンウィーク以来、約3ヶ月ぶりに米ドル売り・円買い介入を再開。7月30日、31日と2営業日連続で為替介入を行ったとみられる中で、米ドル/円は157円台まで急落しました。

ゴールデンウィーク以降3ヶ月近く介入を見送ったのはなぜか

当局は、4月末に米ドル高・円安が160円を超えると、2024年7月以来の米ドル売り・円買い介入を断続的に実施し、総額は11兆円に上りました。ただその後は160円を大きく超えて米ドル高・円安が広がる中でも、介入を見送ってきたとみられました。

これは、米利上げ観測が広がる一方で、日本では「骨太の方針」などを巡る財政規律への懸念が続くなど、米ドル買い・円売りに反応しやすい状況では、円高への反転を目指す為替介入も効果を上げにくいと判断したことが大きかったとみられます(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日10年債利回り(2026年4月~)
LSEG社データよりマネックス証券が作成

当面の米ドル買い・円売り要因出尽くしとの判断で介入再開?

ただそうした中で、前回の介入から3ヶ月近く経過し、円安進行のペースを遅らせる意味の「時間を稼ぐ」という介入効果が一巡してきたこと、そして円安が160円を超えたところで介入に動きながら、次の節目である165円に接近する中で介入を行わないのは、片山財務大臣などが繰り返してきた「適切に対応するという姿勢に変わりはない」という発言との矛盾も明らかなことから、介入再開のタイミングを探っていたのではないでしょうか。

結果的に介入再開が7月30日になったのは、FOMC(米連邦公開市場委員会)が終わり、また財政規律への懸念要因とも位置付けられる消費税減税について、高市総理がこの日、公約通りに行うことを宣言したことで、当面の米ドル買い・円売り要因が出尽くした可能性があると判断したことが大きかったのではないでしょうか。

8月の注目点=為替介入で円安は終わったのか否か

財政規律への懸念を受けた円安の流れは変わらず?

2025年半ば頃から、米ドル高・円安は日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇との連動性が強くなりました。その財政規律への懸念は、高市政権の「骨太の方針」や消費税減税を目指す動きの中でなお続いています。そのような中では、為替介入による円高への動きも一時的にとどまり、大きな円安の流れは変わらないとの見方はまだ多そうです(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただ今回の為替介入をきっかけとした米ドル/円の急落で、米ドル/円は2026年に入ってから初めて120日MA(移動平均線)を大きく下回りました(図表4参照)。ここ数年、米ドル/円は120日MAを割れると、そこからさらに5~10%の下落に向かうパターンを繰り返してきました。今回もこのパターンが機能するなら、米ドル/円はこの先140~150円へ一段安に向かう見通しになります。

【図表4】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ヘッジファンドの円売りポジションは損失に転じたか=2024年7月の円安大反転劇の再現は?

このように120日MAが円安から円高への大きな分岐点になってきたのは、代表的な投機筋であるヘッジファンド(以下HF)の円売りポジションの損益分岐点の影響が考えられました。120日MAを割れることで、円売りポジションが損失に転換、損失拡大回避のため円の買い戻しが拡大することにより円高が広がるというイメージです。

その代表例が、2024年7月の161円の円安からの反転劇でした。1ヶ月もしないうちに141円まで約20円もの急激な円高が起こったのは、円「売られ過ぎ」の逆流の影響が大きかった可能性があったのです。では今回はどうでしょうか?

行き過ぎた米ドル買い・円売り逆流?=8月の米ドル/円は150~160円で予想

7月末、為替介入をきっかけに米ドル/円が急落する直前、HFの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)は16万枚と、2024年7月の極端な「売られ過ぎ」とされた円売り越しに迫る規模に拡大していました(図表5参照)。

【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

なお、足下では投機筋の米ドル買い越しも、これまでに経験したことのない規模に拡大しているようです(図表6参照)。こうした円の「売られ過ぎ」、米ドルの「買われ過ぎ」の反動が広がることにより、財政規律への懸念が残る中でも予想以上に大きく米ドル安・円高に戻す可能性も注目したいと思います。個人的にはその可能性はあるとの考えから、8月の米ドル/円は150~160円で予想したいと思います。

【図表6】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

8月第1週の米ドル/円は154~160円で予想

今週(8月3日週)は8月第1週なので、注目度の高い米経済指標の7月分の結果の発表が始まります。中でも8月7日発表予定の米雇用統計は、いつものように相場が大きく動くきっかけになる可能性があるでしょう。

これまで見てきたように、為替介入を受けた円高の流れが続くかどうか、HFの円売りポジションの損益分岐点の目安、120日MAより米ドル安・円高の展開が続くかに注目したいと思います。足下で159円半ば程度の120日MAを米ドル/円が超えられない場合は、円売りポジションの処分に伴う円買い戻しが広がりやすくなりそうです。それを踏まえ、今週(8月3日週)の米ドル/円は154~160円のレンジで予想します。