2026年7月31日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2026年7月分速報
【1】結果:東京コアCPIは前年同月比1.9%上昇 3指数揃って底打ち見られる
2026年7月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比2.0%上昇と、前回6月の同1.7%から伸びが加速しました。コア指標である生鮮食品を除く総合指数も同様に、前月から伸びが加速し、同1.9%の上昇となりました。コアコアCPIと称される生鮮食品・エネルギー除く総合指数は同2.0%上昇と、3指数そろって伸びが加速しました(図表1・2)。
中東情勢は再び緊張感が高まっており、ニューヨーク原油先物は1バレル80ドルを超える水準まで上昇しています。現に、7月速報値では前月比ベースでガソリンが0.6%上昇と、再加速が意識されます(図表3)。
【2】内容・注目点:輸入物価は為替も相まってコロナショック時に迫る上昇へ
日銀が公表する、特殊要因を除いた物価指標を確認すると、「生鮮食品・エネルギー、特殊要因を除く消費者物価指数(図表4・水色)」6月は前年同月比2.0%となりました。同図表の生鮮食品、特殊要因を除く消費者物価指数(図表4・青色)と比較してわかるように、足元のインフレ動向はエネルギーによる上振れが特徴と言えます。
さらに、変動性が均される「食料・エネルギー、特殊要因を除く消費者物価指数(図表4・黒色)」は、同1.5%となりました。底流のインフレは底堅いといった印象で、目下のインフレはエネルギーのインフレがどの程度そのほかの財・サービスに波及するか次第だと言えます。
実際に、輸入依存度の高い日本において輸入物価がかなりハイペースで上昇していることが確認できます。これは中東情勢の緊迫化を原因とする原油供給の減少に端を発したエネルギー関連製品そのものの価格上昇に加え、ドル円が一時1ドル=163円を超えて円安基調で推移するなどから、コロナショック時に迫る伸び率となっています(図表5)。
2026年7月31日未明に、米ドル円は一時157円98銭まで円高に振れ、政府・日銀による為替介入観測が浮上しています。一方で、基調は円安基調で、執筆時点の同日午前中には再び160円台まで円安が進行しました。当局側は円が過小評価されているといったコメントを発表しているものの、市場の円売りスタンスは継続しているようです。
仮に、1米ドル=160円の水準が向こう半年(2027年1月まで)続いたと仮定し、ドル円の変化率を推計すると、前年同月比2%~8%強のレンジで円安に推移すると推計されます(図表6)。
ある程度、円安に歯止めがかからないとすれば、輸入物価も上振れて推移していくと見込まれます。消費者物価に対しては、ガソリン暫定税率の廃止や政策効果による下押し効果が、輸入物価上昇に伴う価格転嫁を和らげると考えられます。
一方で、以前と比べれば企業や事業者サイドはコスト分の価格転嫁を厭わない姿勢も各所でうかがえ、政策効果により物価は下押しされるとしても底流ではインフレ基調が続いていくと筆者はみています。
【3】所感:底流のインフレが現行水準で推移すれば利上げ路線は継続か
物価高騰が意識される局面にあり、為替相場が歴史的な円安水準であることも重なって、日本銀行による追加利上げへのハードルは低下してきていると考えられます。輸入物価の上振れを、政策金利引き上げによって、抑え込む効果は限定的であると推定されることから、底流のインフレ(具体的には図表4の日銀が公表している特殊要因を除いたコアCPI・コアコアCPIなど)が利上げにより減速しないかがポイントでしょう。
もっとも、賃上げ基調が継続している点や、企業はコストを価格転嫁していく姿勢も見られることから、底流のインフレも1.5%程度を下限に底堅く推移していくと考えられます。その場合、ある程度利上げを継続し、中立~引き締めに向けた政策運営を続けていけると想定されます。一方で、その水準を下回った時に、政策金利引き上げスタンスを継続するかどうかが鍵となるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太

