「骨太ショック」と円安値更新

米ドル/円は、ゴールデンウィークに日本の通貨当局が約11兆円の為替介入を実施し、一時155円まで米ドル安・円高に戻したものの、その後米ドル高・円安が再燃すると160円を大きく超える米ドル高・円安となった。これをもたらした一因が、いわゆる「骨太の方針」を受けた日本の財政規律への懸念拡大との見方が強い。

高市政権の経済財政運営と改革の基本方針である「骨太の方針」の原案が6月末に明らかになると、日本の長期金利である10年債利回りは一時2.9%まで急上昇し、財政規律への懸念拡大を受けた「骨太ショック」とされた。

その後GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による円債購入拡大期待などから10年債利回りも低下したが、7月21日に「骨太の方針」が閣議決定されると10年債利回りも再び上昇した。そして、そうした長期金利上昇の影響を受ける形で、米ドル高・円安も2024年7月に記録した161.9円を超える動きになったようにも見える(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日本の長期金利(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

10年債利回り3%突破阻止に強い姿勢か

以上のように見ると、米ドル高・円安の行方は、日本の財政規律への懸念が鍵になりそうだが、その目安の一つが長期金利ということになるだろう。この長期金利について、ある財務省関係者は、「10年債利回りが3%を大きく超えることは理財局も阻止に動くのではないか」との見方を示した。円安とは別に、長期金利上昇についても政策当局として容認できない段階に入ってきた点は注目される。

長期金利上昇阻止策としては、最近にかけてGPIFによる債券購入拡大の可能性が注目されたが、それ以外にも日銀による購入の拡大などがあり、そうした策によって財政規律への懸念が残る中でも長期金利上昇に歯止めがかかった場合、それでも財政懸念に伴う円売りが続くことになるのか。

この間の米ドル/円と日本の10年債利回りの関係を参考にすると、日本の10年債利回りが3%で上昇が止まるようなら、米ドル高・円安が170円まで向かう動きは回避されるという見通しになりそうだ(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成