先週(7月20日週)の振り返り=約1ヶ月続いた小動きを円安方向に「上放れ」

米ドル高・円安方向へのレンジ・ブレークで勢いづく

先週(7月20日週)の米ドル/円は、7月21日の高市政権による経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」の決定後から、この間の高値だった162.8円を更新し、一時164円寸前まで一段高となりました。米ドル/円は約1ヶ月間、161~162.8円という2円弱の狭いレンジでの小動きが続いていましたが、それを「上放れ」したことで、米ドル高・円安が勢いづいたということでしょう(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年4月~)
出所:マネックストレーダーFX

レンジ・ブレークのきっかけは「骨太の方針」と「有事の米ドル買い」

米ドル/円のレンジを「上放れ」した主なきっかけの1つは、「骨太の方針」の決定を受けた財政規律への懸念が再燃したことでしょう。一時2.9%まで上昇した日本の10年債利回りは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などによる債券購入拡大への期待などから低下傾向となっていました。

しかし、7月21日の「骨太の方針」決定を境に、上昇再燃となりました。それに伴い米ドル高・円安も進んだということは、財政規律への懸念が再燃し、債券売り・円売りの材料と受け止められ、米ドル高・円安方向へのレンジ・ブレークのきっかけになった可能性があります(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円と日10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米ドル高・円安方向へのレンジ・ブレークのもう1つのきっかけとして多く指摘されるのは、イラン情勢の悪化を受けた「有事の米ドル買い」再燃です。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルのポジションから試算)は、7月21日時点で買い越しが46万枚と1週間前より拡大しました(図表3参照)。

【図表3】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2026年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今週(7月27日週)の注目点=日米金融政策発表などをきっかけに165円トライとなるかが焦点

テクニカルには米ドル高・円安を試しやすい状況続く

これまで見てきたように、先週(7月20日週)は約1ヶ月続いたレンジを米ドル高・円安方向にブレークする結果となりました。これによりテクニカルには、さらなる米ドル高・円安を試しやすい状況になった可能性が高いでしょう。

今週(7月27日週)は日米の金融政策発表など、相場が大きく動くきっかけになりやすいイベントが予定されています。これらを手掛かりに米ドル高・円安が165円を目指す展開になるかが最大の焦点でしょう。

ポジションは米ドル買い・円売り「行き過ぎ」懸念強まる

一方で為替市場のポジションを見ると、かなり米ドル買い・円売りの「行き過ぎ」懸念も強くなっている可能性があります。その意味では、行き過ぎた米ドル買い・円売りを持続して165円トライができるかは、判断しかねる面もあるのではないでしょうか。

CFTC統計の投機筋の円売り越し(米ドル買い越し)は、7月21日時点で15万枚となっていました。円売り越しの過去最高は2007年と2024年に記録した18万枚なので、それにかなり迫るものとなっています。

円売り越しが過去最高の18万枚を記録した2007年と2024年は、日米政策金利差(米ドル優位・円劣位)が5%以上と大幅なものとなっており、圧倒的に米ドル買い・円売りの優位性を維持していたのに対し、足下で同金利差は3%弱まで縮小しています。この金利差の円売り優位性の相対的低下の中で、どこまで行き過ぎた円売りを持続できるか。今週(7月27日週)以降、試されることになりそうです(図表4参照)。    

【図表4】CFTC統計の投機筋の円ポジションと日米政策金利差(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

同じようなことが米ドル買いについても言えるのではないでしょうか。投機筋の米ドル買い越しは7月21日時点で46万枚まで拡大しました。これは過去最高になります(図表5参照)。別の言い方をすると、米ドル買いはすでにこれまで経験したことのない、「未踏の領域」に入っている可能性がありそうです。

【図表5】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうした中で、果たして「有事の米ドル買い」が本当に続くのか。むしろ何かの拍子で行き過ぎた米ドル買いの修正に転じた場合は、米ドル売りが拡大に転換する可能性もあるのではないでしょうか。

為替介入の再開は?=今週(7月27日週)の米ドルは160~165円で予想

米ドル高値・円安値更新が続く中でも、これまでのところ日本の通貨当局はゴールデンウィーク以来となる円安阻止のための為替介入の再開を見送っているとみられています。それでは、日米金融政策発表などを手掛かりに米ドル高・円安165円トライとなった場合、いよいよ為替介入が再開されるのでしょうか。

これまで見てきたように、投機筋の米ドル買い・円売り「行き過ぎ」懸念が強くなっている中では、その懸念の修正に転じることを促す狙いで、米ドル売り・円買い介入が再開される可能性はあるでしょう。円売りの主因が日本の財政規律への懸念とされる中、大きな焦点の1つでもある消費税減税についての決定が8月上旬に控えています。為替介入による円高への反転を帳消しにしかねないリスクは、介入再開判断の鍵になりそうです。

以上を踏まえ、今週(7月27日週)の米ドル/円は160~165円で予想します。