6月以降、米ドル/円の月間値幅が急縮小=原因は介入警戒だけではない?

米ドル/円の月間値幅は、2026年に入り5月までは4~7円だったが、6月は3.3円、7月はまだ半月(7月15日現在)の段階とはいえ2.3円にとどまっている。米ドル/円の月間値幅は、2025年が3~10円、2024年が4~12円にも達したが、それに比べると6月以降は値幅の縮小、小動きの印象が強いと言えるだろう(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の月足チャート(2020年~)
出所:マネックストレーダーFX

米ドル/円の「小動き化」の原因としては、日本の通貨当局による円安阻止介入への警戒から取引がしづらくなっている影響が大きい点が意識されているようだ。確かに短期的にはそうした面はあるだろうが、より中期的な観点からは日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小などの影響が大きいのではないか。

2022年以降のボラティリティ急騰の主因は日米金利差の急拡大=米ドル/円

米ドル/円の年間の値幅を調べてみると、2022年以降急拡大したことが分かる(図表2参照)。2023~2025年は、年間の高値から安値を引いた最大値幅は20円前後とそれほど大幅な印象はないものの、この値幅内を2~3往復するパターンが繰り返された。たとえば、2025年の場合、米ドル/円は158円から139円まで下落、その後上昇に転じると年末までに157円まで戻るところとなった。20円近く下落したものの、その後は20円近く上昇したので、実際には1年間で40円近く動いた感覚があっただろう。

【図表2】米ドル/円年間値幅の推移(2020年~)(単位:円)
※注:2026年は7月15日時点まで
出所:マネックストレーダーFX

ではなぜ、米ドル/円は2022年から値動きが急拡大したのか。この2022年以降の米ドル/円のボラティリティ(値動き)急騰と同じように大きな変化となったのが日米金利差の急拡大だった(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円と日米金利差(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

基本的に、金利差とボラティリティには強い関係がある。高金利通貨や新興国通貨のような金利の高い通貨ほど値動きが大きく、荒くなることも、そのことを示している。そう考えると、2022年以降米ドル/円の値動きが急拡大した最も大きな要因は、日米金利差が急拡大したことだったのだろう。

2022年初めまで縮小した金利差=高いボラティリティをもたらした要因が変化

そうした日米金利差は、最近では10年債利回り差で見ると2%を割り込むまでに縮小、金利差の大幅な拡大が始まる前の2022年初めの頃の水準まで戻ってきた。2021年から2022年初めまでの米ドル/円月間値幅は基本的に2~3円程度にとどまっていた。そう考えると、この1~2ヶ月の米ドル/円小動きの理由も、介入警戒で動きづらいということだけではなく、大幅な金利差という環境が終わった影響が出てきたのではないか。

この1年ほど、米ドル/円は日米金利差より、日本の財政規律を懸念した長期金利上昇に円安で反応する傾向が続いている(図表4参照)。その意味では、高市政権の財政政策などを手掛かりに円売りが拡大する可能性、それに対して円安阻止介入が行われる可能性などから、短期的には米ドル/円が大きく動く可能性はあるだろう。

【図表4】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただし、基本的には大幅な金利差を拠り所として投機筋が円売りを大きく仕掛け、その反動が入ると相場が大きく動く2022年から続いてきた環境は終わりつつあるということではないか。