現在のファンダメンタルズ:日銀の早期利上げ思惑が円全面高のきっかけに
先週(1月27日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFX のBidレート)
・米ドル/円: 150.927円~155.882円 151.450円
・ユーロ/米ドル: 1.02107ドル~1.04410ドル 1.03257ドル
・ユーロ/円: 155.869円~160.694円 156.391円
先週(2月3日週)の米ドル/円:トランプ政権の関税政策に一喜一憂
先週(2月3日週)はメキシコ、カナダ、中国への関税が発動されたことをきっかけに、インフレ再燃懸念による米ドル買いから東京前場に155.882円の米ドル高値をつけました。しかし株式市場が大幅安となったことによるクロス円での円買いが強まり、米ドル/円は反転下落の動きとなりましたが、NY市場ではメキシコとカナダへの関税が1ヶ月延期されるとの発表を受け、翌2月4日には前週末の水準へと戻しました。
そして2月5日に発表された勤労統計が予想より強く、日銀の追加利上げが早まるのではないかとの思惑から円買いが強まり、2月6日には田村日銀審議委員から「2025年度後半には政策金利を1%程度まで引き上げる必要がある」との発言が出たことでダメ押しとなりました。
利食いの買い戻しが入るとカウンターで米ドル売りが広がる流れが続き、週末の米国雇用統計も非農業部門雇用者数が予想より弱くいったん売られたものの、他の数字は総じて強かったことから米ドル買いに転じたところを絶好の売り場と判断され、NY昼前には2024年12月10日以来となる150.927円をつけ、引けにかけてはやや戻しました。
先週(2月3日週)のユーロ/米ドル:強い売りからのスタート
ユーロ/米ドルは週明けにギャップダウンして強い売りからのスタートを切り1.02107ドルの安値をつけましたが、米ドル/円同様に米ドル売りに転じてからの動きの方が強く、2月5日には1.04410の高値をつけました。
しかし米ドル/円とともにユーロ/円の売りも強まったことでユーロ/米ドルも追随、週末に向けては1.03台前半へと下押し。ユーロ/円は米国雇用統計後に米ドル/円が下げに転じた時に155.869円まで下げましたが、これは2024年9月以来の水準で、チャートの形状としては更なる下げにつながるものと言えます。
米ドル/円、週足でサポートラインと移動平均線を下抜けての引け
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。

・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャートでは、前回はサポートライン上での引けとなったことで下抜け確定では無かったものの米ドル売りが増えてくる展開となってきたことを示しました。
今回はサポートラインを長い陰線で明確に下抜け、さらに20週移動平均線をも下抜ける展開となりました(図表1の赤い矢印)。
このことで下降トレンドが強まったという見方ができますが、今週(2月10日週)の週末終値も移動平均線を下回る動きになると、明確に下降トレンドへの転換を示す2週連続ルール発動となります。長期的な米ドル安・円高の流れが定着するかどうかを見極める重要な1週間となります。
米ドル/円チャート(日足)、サポートライン下抜け、デッド・クロスも発生
短期的な判断は日足で行います。

・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
日足チャートの判断では、週足チャートで解説したサポートラインの下抜けに加え移動平均線の下抜けも起きたことから、デッド・クロスによる米ドル売りがこれまで以上にワークしやすい展開になってきたと考えられます。始値・終値移動平均線も直近では2月3日終値でデッド・クロスが発生し、現時点まで米ドル売りの流れが続いています。(図表2)。
一点注意すべき点があるとすれば、2月7日(金)のローソク足が寄り引け同事線となっているため、ごく短期的には利食いも出やすく、週初はいったん買い戻しが入る可能性もあるということです。保守的に戻りを丁寧に売るというスタンスが良いかもしれません。いずれにしても大台150円をトライする局面を目にするという見方自体には変化ありません。
ユーロ/米ドル、長期トレンドはユーロ売り、短期トレンドもユーロ売りへ転換か
これまでの欧州悪材料に加えトランプ関税が更なる悪材料に
今週もユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。


週足チャート(図表3)は目立った変化はありませんが、1月27日週で反転下落したことからレジスタンスラインを引きました。下側のラインは参考程度ですが、現状はこれら2つのラインで形成される下降ウェッジの中での動きであると考えています。
また、日足チャート(図表4)では1月31日にデッド・クロスとなり直後に1.02107ドルの安値をつけましたが、その後の上昇で2月4日に不自然な形でゴールデン・クロスが発生しました。不自然な形というのは2つの線がどちらも下げている中でのクロスという意味で、こうした形は失敗に終わることが多いため早晩直トレンドに沿った下降トレンドへと回帰する可能性が高いといえます。
おそらく、月曜もしくは火曜終値でデッド・クロスが発生すると思いますので、それを待って改めてユーロ売りと考える方針がよいでしょう。
ユーロ/円は、長期の三角持ち合いを下抜け
次にユーロ/円のチャートです。

ユーロ買いのトレンドが継続していましたが、先々週(1月27日週)、先週(2月3日週)と2週連続で移動平均線を下回ったため、ユーロ売り転換が確定しました。レジスタンスラインとサポートラインによるトライアングル(三角もちあい)も同じタイミングで下抜けとなったので、長期的にかなり強い売りへの転換となる可能性があります(図表5)。
トライアングル形成前の高値からトライアングルのサポートライン起点までの下げが約20円で、157円でサポートラインを下抜けたことから最大20円程度140円割れという水準を長期的に考えることも可能です。
長期チャートがユーロ売りに転換したことで日足チャートの売りシグナルでのアクションを取りやすくなったと言えます。

日足チャートでは2月5日にデッド・クロスが発生したことでユーロ売りに転じました(図表6)。
3主要通貨ともに下方向への動きを確定中
米ドル/円、ユーロ/米ドルの動きと並べて見ると、現在は3主要通貨ペアともに下方向への動きを確定中と見てよいでしょう。こうした状況では特にユーロ/円での売りが入りやすいのですが、週次のレポートでは後から振り返ることはできても、次のデッド・クロスがいつになるのかは(先週執筆時点では2月5日のデッド・クロス)わかりません。ご自身のチャートに5日始値・終値移動平均線を引いてみてください。
それでは今週も良いトレードを!