2025年2月7日(金)8:30発表
日本 家計調査2024年12月分及び2024年平均
【1】結果:12月の家計消費は実質でも増加 全般には消費拡大の兆し

2024年12月の家計調査では、二人以上勤労者世帯の実質消費支出が37.9万円と前年同期比4.3%増と2ヶ月連続で増加となりました。毎月勤労統計調査でも示されたように、12月はボーナスが要因とみられる実収入の伸びが確認され、実質可処分所得も前年同月比3.0%増と3ヶ月連続で拡大となりました。
必需品の支出を示す基礎的支出は、12月は年末休暇もあり例年平均以上の支出傾向があるものの、前年同月比5.4%増の20.6万円と大きな上昇が見られました。選択的支出も2ヶ月連続となる前年比プラスで推移しており、物価影響を割り引いた実質ベースでも緩やかながら消費の拡大が見え始めた印象です。
その他の消費関連指標からは、消費マインドはまちまちであることが読み取れます。供給サイドは年末商戦をうけた百貨店は好調と予想され、小売売上高も前年比ベースでは拡大が見られます。総合すると賃金上昇を受けた消費拡大の兆しが見える内容と考えられます。
【2】内容・注目点:実質ベースでサービスや娯楽への支出が緩やかに増加
二人以上世帯(勤労者・個人営業等の世帯・無職世帯を含んだ全般的な世帯)の消費動向を確認すると、名目ベースでは12月は足元の物価高騰を受け、食料が前年同月比5.1%増の11.3万円と増加が見えるものの、設備修繕を含んだ住居(同18.3%増)や被服及び履物(同4.1%増)といった選択的支出の増加も見られました。

物価影響を割り引いた実質サービスへの支出も12月は前年同月比4.7%増と2ヶ月連続でプラス圏での推移となりました(図表2緑)。教養娯楽への支出も小幅ながらプラスに転換しており、一定程度の消費マインドの改善が推察できるものでしょう。グラフからは一進一退の様子がうかがえ、上昇基調にあるとは判断できないものの、先行きについてはこれらの指標がプラス圏で推移していくことに注目です。
【3】所感:2024年通年では可処分所得は実質2.3%増 貯蓄嗜好高く

ここ数ヶ月であるものの、実収入と可処分所得の増加に沿う形で消費支出が上昇してきた点は、ポジティブなニュースと考えられます。グラフからも、2024年は可処分所得の伸びに対し、支出を抑制する傾向がうかがえ、貯蓄嗜好が高かったと考えられます(2024年通年の可処分所得は前年比実質2.3%増)。
一定程度の貯蓄ができたと仮定するならば、消費マインドの改善につながると推察でき、また先行きについて、2025年も2024年と同程度の賃上げ機運が醸成されているため、消費マインドにはプラスに働くものと考えられます。12月はクリスマスや休暇といった季節要因もあり、消費の基調判断は難しいものの、賃金増加に伴う消費の増加の兆しが見えてきたと考えられるでしょう。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太