強まる金融引き締め観測、今後の相場で優位になる銘柄とは?

10月27、28日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、大方の予想通り金融政策の現状維持が決定されました。9月の会合で利上げが決定された直後であり、その効果を見極める観点も踏まえると、金融引き締めの見送りに違和感はありません。ただ、あわせて公表された声明文では、経済活動について「力強く拡大している」と前回(9月)の「堅調に拡大している」から判断が引き上げられました。

また、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長は会合後の記者会見で、「インフレ率は高すぎる、エネルギー価格などはここ数週間で再び上昇している」と述べ、インフレへの警戒感を示しました。金融政策に関して「引き締め的な水準にあるとは言えない」との認識も明らかにされており、金利先物市場では2027年9月までに2回強(2.3回、2026年10月30日時点)の利上げが織り込まれている状況です。

このように金融政策が徐々に引き締め方向に変化していくなかで、株式市場ではどんな特性を有する銘柄が優位な傾向があるのかを考えました。

米国大型株、AI懸念で足踏みするグロース株と底堅いバリュー株

まず、株式投資では、各企業が備えている特性に応じて銘柄を区分することがあります。代表的なものとして、将来成長が見込まれる株式(企業)を「グロース株」、企業のファンダメンタルズと比較して割安と考えられる株式を「バリュー株」と分類する考え方があります。

米国大型株を対象としたグロース株指数とバリュー株指数の推移を確認すると、過去3年においては継続的にグロース株がバリュー株をアウトパフォームしてきたことがわかります(図表1)。ただ、足元については、クラウドサービスを大規模に構築・運用するハイパースケーラーによる設備投資の持続性や収益性を巡る懸念、人工知能(AI)半導体を搭載したデータセンターをAI開発企業などに貸し出すネオクラウドの資金繰りに関する懸念もあり、グロース株はいったん上値が重くなっています。

一方、バリュー株については指数における組み入れ比率が比較的高いヘルスケアや一般消費財・サービスの関連株が堅調に推移し、底堅い値動きとなっています。

【図表1】米国大型株:グロース株指数とバリュー株指数の推移
※2023年10月27日~2026年10月28日、2023年10月27日を100として指数化。米国大型グロース株指数はラッセル1000グロース指数、米国大型バリュー株指数はラッセル1000バリュー指数、トータルリターンベース
出所:ブルームバーグのデータをもとにマネックス証券作成

米利上げ後のパフォーマンスは?グロース株指数VSバリュー株指数

過去のデータが示す、利上げ後のバリュー株の底力

米国株式市場では、近年、デジタル化の進展やAIの普及・進化などを背景に、ハイテク株が相場をけん引し、グロース株優位の展開が続いてきました。

ただ、過去30年における利上げ後12ヶ月の株価指数パフォーマンスを比較すると、グロース株指数とバリュー株指数の騰落率は平均的に拮抗しています。事例が限られている点や経済・金融環境の相違に伴い、単純比較に留意する必要はあるものの、5回中3回でバリュー株がグロース株をアウトパフォームしました。残る2回のうち1997年はグロース株が3%弱の僅差で上回り、1999年はITバブルの過程でグロース株が上回りました(図表2)。

足元ではAI関連企業の高成長が見込まれており、グロース株への注目が高まりやすい環境と考えられますが、バリュー株を前向きに評価する動きが続く可能性もあります。

【図表2】米国株:過去の利上げ後12ヶ月における騰落率比較
※過去30年内の利上げサイクル開始時点からの騰落率を集計、米国大型グロース株指数はラッセル1000グロース指数、米国大型バリュー株指数はラッセル1000バリュー指数、トータルリターンベース
出所:ブルームバーグのデータをもとにマネックス証券作成

金融政策の転換点、業績格差から読み解くバリュー株への追い風

また、金融政策の変化とグロース指数・バリュー指数の業績格差を確認すると、特徴的な動きがみられます。

政策金利についてはゼロ金利制約があるため、金融政策スタンスをはかるシャドーレートを活用し、EPS成長率の差(グロース株指数-バリュー株指数)と比較したのが図表3です。

図表3を見ると、過去のケースでは、金融政策が引き締めから緩和にシフトした後、グロース株優位のEPS成長率格差はいったん拡大するものの、緩和的な環境への転換が進むなかで、バリュー優位に転じる傾向がみられました。その後、時間をおいてバリュー優位がピークを迎え、再びグロース優位に戻る流れとなっています。

足元ではAIの浸透を背景にグロース銘柄の相対的な高成長が見込まれ、関連銘柄にとって追い風とみられます。ただ、先々はFRBによる利上げが頭打ちとなり、金融政策スタンスが緩和方向にシフトする局面で株式市場においても、バリュー株への注目が高まり得ると考えられます。

【図表3】金融政策とグロース株とバリュー株のEPS成長率格差
※米国大型グロース株指数はラッセル1000グロース指数、米国大型バリュー株指数はラッセル1000バリュー指数、EPS成長率は各指数の過去12ヶ月ベース、前年同月比成長率の差を計算。2026年12月分以降は市場予想
出所:ブルームバーグのデータをもとにマネックス証券作成

グロース株・バリュー株への投資をどう考えるか?

ここまでみてきたように、足元の株式相場ではグロース株の上昇一服とバリュー株の復調が相まって、グロース株とバリュー株のパフォーマンス格差が縮小しています。過去の利上げ局面では両者の優劣は拮抗しているものの、時間軸で整理すると目先はグロース銘柄の業績面の強さ、先々はバリュー株の見直しという構図が意識されます。

こうしたなか、ポートフォリオがどちらか一方の特性の銘柄に偏っている場合、経済・金融市場の環境や変化を見極めながら、バランスに配慮することも一考です。特定のスタイルへの偏りによる運用成果への影響を和らげることにつながります。

実際にグロース株、バリュー株に投資するには、企業の成長性に着目して銘柄選別を行う方法や、企業のバリュエーションを見極めて銘柄をピックアップする方法があります。他方、ファンドの活用を通じてグロース、バリューそれぞれの指数の動きに近い運用成果を目指す方法や、運用担当者が企業調査などをもとに銘柄を選定するアクティブ型のファンドを活用する方法もあります。

以下は、マネックス証券で取り扱っている米国大型グロース株と米国大型バリュー株に関連する上場投資信託(ETF)となります。皆様の資産運用のご参考にしてみてください。

米国大型グロース株と米国大型バリュー株に関連する上場投資信託(ETF)

【図表4】マネックス証券における米国バリュー株式に関連したETF例、シンボル・アルファベット順
【図表5】マネックス証券における米国グロース株式に関連したETF例、シンボル・アルファベット順
出所:マネックス証券(2026年10月29日時点)