投資資金を作るための「2つの心がけ」
株式投資のためには先立つもの―資金が必要です。
「資金をどう作ればいいか」「収入のどれくらいを株式投資に回せばいいか」といった詳細な解説は、ここでは割愛いたします。ウェブ上にも参考になる情報が豊富にありますので、ご活用いただければと思います。
私から伝えたいことは2つあります。1つは「無駄は必ずどこかにある」、もう1つは「見栄を張らない」ということです
前者については自身の支出を細かく見てください。後者については衣食住を優先して、株式投資に回す資金がない状況かと思われます。資金がない中で、見栄を張る必要はないのです。
未来の自分を救う「長期投資」という選択
よく長期投資は「未来への仕送り」といわれますが、社会が大きく変わる中にあって長期投資をしないという選択は、未来の行き詰まりを意味しているといっても過言ではありません。
少しずつでいい、ぎりぎりで捻出した資金を投じて、未来の自分を救ってほしいと思います。
年齢は若いに越したことはありません。長ければ長いほど複利の恩恵を受けられます。改めて言うと、複利とは「利子にも利子がつく」ことです。
手元に100万円あるとして年2%の利子がつくとすると、翌年には102万円になっています。その翌年は102万円に2%の利子がつくので104万400円となります。まさに雪だるま式に増えていくというわけです。
それに長ければ長いほど、短期的な市場の動きに左右されにくくなります。さらに、これが毎月などの決まった積立であれば、株価が高いときに買うこともあれば低いときに買うこともあるため、リスクを抑えることができます。
タイミングを分散することでリスクも分散する「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法です。
人生100年時代、変わる「高齢者像」と投資の常識
しかし、ここで強く主張したいのが「年齢であきらめない」ということです。40代、50代はもちろん、60代以上にも投資は不可欠です。
例えば高齢者に投資は向かないと一般的にいわれますが、そんなことはありません。なぜなら、高齢者の定義が変わってきているからです。
60歳で定年を迎えて、その後はゆっくりと…といった昭和の老後像はすでに破綻しています。令和は、高齢者であっても働くことを求められる人生100年時代です。一般的に60代の人の方が20代の人より預貯金はあります。投資は投じる金額によって、リターンが変わってきます。
もちろん老後の貯えを全て投資にと言っているわけではありません。今60歳だとして、現状、年金をもらわずに働いていらっしゃるとすれば、働いている間はとにかく使わずに稼いだ分を投資に回す。70歳まで働くのであれば10年は投資資金を拠出できるはずです。
「100年に1度の危機は5年に1度やってくる」というブラックジョークがありますが、「リーマン・ショック」「コロナ・ショック」「トランプ・ショック」といった市場の波も、10年あれば乗り越えられないことはありません。
年金は本当に破綻するのか?
老後の話をしたついでに、年金について触れておきます。年金積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は2025年度末、国内債券、海外債券、国内株式、海外株式を25%ずつ保有しています。
総額で約300兆円を運用する世界最大規模の機関投資家です。
GPIFの実績を見ると、市場運用開始(2001年度)からの運用実績は累計で約197兆円、2025年度だけで40兆円超の収益を上げています。増え続ける高齢者の数を考えれば決して安心できるとまでは言えないものの、安定はしていると判断できます。
この先いつか破綻することがあるかと問われれば、少なくとも直近はNOと言えます。よく「年金は破綻するから払わない方がいい」という言説を耳にしますが、そもそも年金が破綻するのは国が滅びるのに等しいほどの一大事です。
年齢にとらわれず、年齢に応じた形で投資を
しかし、年金一本で暮らしていくのは至難の業です。日本の年金はよく「2階建て」と表現されます。20歳以上60歳未満の全ての人が加入する「国民年金」と会社などに勤める人が加入する「厚生年金」です。
厚生年金は、働いていたときの給料と加入期間に応じてもらえる金額が決まります。また、現役時代に納める保険料に国民年金の保険料も含まれますので、加入者はその分も含めて受け取ることができます。
厚生労働省の資料によると、厚生年金の平均給付額(2024年度)は15万円ほどです。住んでいる場所や持ち家か否か、家族の状況にもよりますが生きていくことができない金額ではありません。ただし現役世代が想像する「豊かな老後」は、これだけではとうてい難しいでしょう。
では国民年金はと言うと、同資料によると6万円にも満たない水準です。これだけでどう生きていけと言うのでしょうか。生存権すらおぼつきません。従って、いずれにしても投資が不可欠になります。
大切なのは、年齢にとらわれず、年齢に応じた(当然、そこには家族の状況などさまざまな要素があります)形で資金を投資に回すことです。時に慎重に、そして、時に大胆不敵に。それが人生を好転させることにつながります。
※出所:GPIF2025年業務概況書
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

