人生は「何をするのか(時間配分)」「誰と付き合うのか」、そして「どこに住むのか」の3つによって変えられると喝破したのは、元マッキンゼー日本代表のコンサルタント、大前研一氏です。
3つの中でも住む場所については、明確な目的もなく、生まれ育った街や就職先の近くに何となく住み続けることが多いと思います。
しかし「何をするのか」「誰と付き合うのか」と同じように、もっと意識的に住む場所を選択することが、人生を豊かにすることにつながるのではないでしょうか?
リタイアしたら職場の近くに住む必要はない
このコラムをお読みの方の多くは、私と同じように、仕事をしながら東京をはじめとする日本の都市圏に住んでいると思います。
日本国内で仕事が集まっているのは都市部ですから、職住近接が当たり前かもしれません。ただ、見方を変えれば、仕事を辞めたら都市部に住む必要は必ずしも無いということです。
ライフスタイルの優先順位を明確にする
リタイアや転職などでライフスタイルが変わった時は新たな拠点を決めるチャンスです。住む場所を探す前にやるべきことは、自分の生活で何を優先するのかを明確にすることです。つまり自分の人生の夢や目標から住む場所を選択すべきなのです。
例えば、海外旅行に出かけるのが趣味という人であれば、羽田空港や成田空港にアクセスしやすい場所に住むのが便利でしょう。あるいは豊かな自然の中で生活したいのなら日本各地に自然が残っている場所がたくさんあります。
勤務先が東京都心であっても海やサーフィンが好きなので鎌倉や江の島といった湘南エリアに住む人も増えています。
また京都、沖縄、北海道など、観光地として人気の場所に住むのが夢という人もいるでしょう。観光客としてではなく、住人として生活することで人生の満足度が高まるかもしれません。実は私も観光でしか行ったことのない京都や福岡への移住を模索したこともあります。
海外に移住する選択肢
国内に限定することなく、海外に移住する方法もあります。以前は、リタイアした人たちが東南アジアのマレーシアやタイに移住し、日本の年金を受け取りながら生活する人もいました。しかし、円安と現地の生活コストの上昇により、そのようなライフスタイルは以前より難しくなっています。
また、最近では節税目的でドバイやシンガポールに移住する富裕層も出てきています。暗号資産や株式のキャピタルゲインにかかる税率の低さや、相続税の軽減などを期待した移住です。さらに、子供の教育のために家族でハワイやマレーシアに移住する例も少なくありません。ただ、子供の教育のためなら理解できますが、節税だけを目的に移住することは、納得しにくいものがあります。
海外移住の最大のネックは安全と食事です。その点では、日本国内はかなり優れた水準でしょう。
まずはお試しで住んでみる
国内外に限らず、せっかく自分が住みたい場所に引っ越しても、しばらくするとその場所に馴染めなくなり、結局定住しない人もいます。住んでからしばらくしないとわからない生活環境というのはどうしてもあります。また近隣との人間関係も住環境に影響します。
最初から住居を購入するのではなく、お試しでしばらく住んでみて、気に入ったら本格的に移住をする。そうした慎重な手順が、特に海外への移住などでは重要です。
2拠点生活もあり
完全移住ではなく、2拠点生活から始めるという選択肢もあります。もう1つの拠点を作って行き来をしているうちに、どちらかの拠点だけで良いと思えるようになれば、そこに拠点を絞れば良いのです。私も東京に住みながら別の拠点があっても良いと考え、伊豆や熱海、箱根の10物件近くを視察しましたが、今のところピンとくる物件には出会えていません。
また、最近千葉の九十九里浜にトレーラーハウスを購入しました。こちらは投資用で普段は貸出しますが、予約が入っていなければ実費だけで泊まることができます。ペットも連れて行けるので、都内で散歩させるよりも、広々とした敷地で遊ばせられ、豊かな自然も楽しめます。房総半島は今までほとんど訪れたことのない馴染みのない場所ですが、何回か出かけてみて気に入れば、2拠点生活から始めるのもありだと思っています。
やっぱり必要なのはお金
住みたい場所は人それぞれですが、その最大の制約条件となるのは、やはりお金です。借りるにしても買うにしても費用はかかりますし、引っ越しや家具・備品の購入費用なども馬鹿になりません。さらに不便な場所に引っ越せば、移動にかかる交通費なども新たな負担となる場合があります。
せっかく住みたい場所があっても、経済的な理由から断念するのは本当に残念なことです。好きな場所に住むための経済的な余裕を作るには、長期の資産運用が有効です。やはりお金は人生の夢や目標を実現するための大切な手段です。
私も今は東京の湾岸のマンション暮らしですが、漫然と住み続けるのではなく、将来を見据えてどこに住むべきかアンテナを張りめぐらしながら情報収集を続け、行動するつもりです。

