モトリーフール米国本社– 2026年9月5日 投稿記事より
ここ数年、人工知能(AI)投資はソフトウェアが主役のストーリーのように見られてきました。投資家はGPUメーカー、クラウドプラットフォーム提供企業、AIモデル開発企業など、日常のユーザーためにAIモデルを稼働させる銘柄に投資してきました。しかし、見過ごせなくなっているもう一つの分野があります。それは、AIが必要とする巨大な実物インフラの分野です。
サーバーは、電力なしに大規模なAIモデルを動かすことができません。AIの計算を高速化するアクセラレーターを大量に搭載したラック(棚)は、膨大な量のデータを転送したり、半導体から発生する熱を除去しなければ稼働しません。こうした状況は、AIへの投資機会を求めながらも、少数の同じような超大型銘柄を買うことを避けたい投資家にとって、興味深い機会をもたらしています。
AIシステムの性能向上によって生じる物理的なボトルネックの解消に取り組む銘柄3選
今回取り上げた3銘柄、各社は全く異なる市場で事業を展開していますが、いずれも、AIシステムの性能向上によって生じる物理的なボトルネックの解消に取り組んでいます。
1. アステラ・ラボ[ALAB]はデータ転送問題を解決
アステラ・ラボ(以下、アステラ)の技術はCPU、GPU、メモリー半導体、ネットワーク機器の接続に使われ、データをやり取りする役割を担っています。GPUの設計ほど派手ではありませんが、AIシステムが複雑化するほど、この領域は極めて重要になります。
アステラの最新製品である「Scorpio X-Series 320レーン・ファブリック・スイッチ」は、AIシステムをラック単位で設計しており、大量のアクセラレーターを接続できるようになっています。また、同社はメモリー不足を解消するCXLメモリコントローラー、イーサネット接続、光接続にも事業を拡大しています。言い換えれば、アステラは単一製品に依存するのではなく、より幅広いコネクティビティ(接続)プラットフォーム企業になろうとしているのです。
この点が魅力的に思えます。AIの性能は、GPU・CPUに十分なデータを供給し続けられるかどうかにますます依存するようになっています。どれほど高速で作動する半導体ができても、情報が効率的にやり取りできなければ、その性能を十分に生かすことはできません。
2. モーディン・マニュファクチャリング[MOD]はAIの冷却に専念
モーディン・マニュファクチャリング(以下、モーディン)は、AI関連銘柄の中では分かりにくい存在ですが、同社の事業はシンプルです。高性能なAIサーバーは大量の熱を発生するため冷却が必要ということです。
モーディンのAiredale(エアデール)事業は、データセンター向けに冷却システムを製造しており、高密度のGPU環境に対応する新たな冷却システム「TurboChill 3+MW」のプラットフォームも含まれています。また、Airedaleブランドの冷却機器は2029年まで40億ドル超の長期契約を結びました。この契約では、顧客から前払いで受け取った1億6,500万ドルの資金を設備拡大のために活用することになっています。
この顧客によるコミットメントは重要です。冷却設備は予算が厳しくなったからといって削ることが可能な選択肢とはならないからです。演算密度が高まるにつれて、冷却・熱管理はデータセンターの基本設計に不可欠な要素の一部になっています。モーディンは2026年、データセンター専用の事業セグメントを新設しました。これは、経営陣がこの市場を重点領域として扱うべき大きな機会として捉えていることを示しています。
3. フレックス[FLEX]は、設計されたAIをシステムに組み立てる
フレックスは3銘柄の中で、最も実務的な企業かもしれません。
同社は複雑な電子システムを製造しており、その専門性をAIインフラに応用しています。フレックスのAI向け標準デザインは、電力・高密度ラック・ネットワーク接続機器・液体冷却装置を組み合わせ、実装を加速するためにモジュール化して設計されたシステムです。フレックスによれば、この方式を利用すれば設置に必要な時間を最大30%短縮することが可能とのことです。
フレックスは米国において、半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]から「Instinct」ブランドのAIシステムの製造も受託しており、8基のAMD製GPU、高帯域幅メモリー(HBM)、高速インターコネクト装置、同社のJetCool事業が供給する水冷式ハードウェアを備えた完全なプラットフォームも含まれています。このような事業を擁するフレックスの立ち位置は注目されます。同社は次世代のAIモデルを開発しようとしているわけではなく、他社が設計したAIを、顧客向けに実用的なシステムへと作り上げる役割を担っているのです。
AIの成長を支える3分野「接続・冷却・製造」
これら3銘柄を相互に乗り換え可能なAI投資先と見るべきではなく、それぞれに投資対象として配分するのがよいでしょう。
アステラが提供するのは半導体接続分野への投資機会であり、モーディンはAIが物理的に避けて通れない制約である冷却・熱管理、フレックスはAIインフラ構築における製造とシステムの統合という側面から投資機会を提供します。
AIの時代は、ますます「物理的な世界」へと広がっています。サーバー、電力システム、冷却装置、接続機器、および工場に巨額の資金が投じられています。投資家は、最高性能のAIモデルを設計する企業の株式を保有しなくても、その投資からの恩恵を得ることができるのです。
免責事項と開示事項 元記事の筆者Micah Zimmermanは、記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、モディーン・マニュファクチャリングの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、アステラ・ラブズとフレックスを推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示ポリシーを定めています。

