〇今回から本コラムに寄稿させていただくことになったシニア・アナリストの齊藤聡と申します。マネックス証券においてレポートなどを通じて情報発信をしております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
〇足元、日本の証券取引所における過去1ヶ月平均の売買代金と出来高(東証プライムベース)をみると、売買代金は10兆円超、出来高は23億株強とそれぞれ過去10年平均(約3.5兆円、約16.0億株)を上振れており、国内株式市場は活況です。
〇最近では株式市場に関する報道を目にする機会も増え、資産運用が世の中に少しずつ浸透してきたと感じられます。先日、クイズ番組である挑戦者の方が、「賞金を獲得したら後輩にその半分を配り、資産運用にあててもらう」、とおっしゃっているのを目にし、投資がここまで社会的に身近な存在になってきたのか、と隔世の感を覚えた瞬間でした。
〇筆者自身は地方都市の出身ですが、地元の友人にNISA制度や株式投資、資産運用について質問を受けた経験があります。その際、新鮮だったのは「株式投資って何をみれば良いの?」「取引って実際にどうやってすればよいの?」などなど、投資に詳しい方にとっては基本動作になっている部分で躓いているケースに直面したことでした。足元、投資を始める方が増えている状況ではありますが、多面的なサポートがまだまだ重要と筆者は感じています。
〇政府は2026年7月21日に公表した「成長投資を促進するための金融戦略ー資産運用立国のアップグレード」で、2040年までに家計金融資産に占める株式・投資信託・債務証券の割合を40%と2025年3月末の約23%から増加させる目標を明らかにしました。他方、資産形成の重要なツールの一つであるiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数は約400万とNISA口座開設者数の7分の1以下にとどまっているうえ、加入者の約20%が元本確保型商品のみで運用しており、実質的な資産価値が毀損し続けるリスクに直面している、としています。個人と資産運用の関わりにはさらなる広がりと深化の余地があると言えそうです。
〇2027年1月には未成年の資産形成をバックアップする新しい非課税制度「こどもNISA(仮称)」も開始される見通しです。奇しくも、米国でも、子どもの将来に向けた資産形成を支援する制度の導入や議論が一段と進んでいます。世代を超えて「お金に働いてもらう」意識が高まっているのは共通の現象と言えるかもしれません。個人投資家ならではの「時間」という強みをいかした長期投資の広がりが、今後の日米市場をどのように支えていくのか、アナリストとしても一人の投資家としても楽しみに注目しています。

