政策金利は1.0%で据え置き 物価見通しは引き下げも依然リスクを意識

日本銀行は、7月30日・31日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すことを決定しました。賛成8名での決定となった一方で、反対票を投じた髙田委員は「海外発のディマンドショックによる物価の上振れリスクや海外の金融環境の転換に即応した機動的な対応が必要な新たな局面に入った」との理由で同レートを1.25%程度とする議案を提示したものの、反対多数で否決となりました。

同時に展望レポートも公表されました。消費者物価指数(除く生鮮食品)の見通しは、2026年度が前年比+2.8%から+2.5%へ0.3ポイント下方修正されました。主因は、政府による夏場の電気・ガス料金負担軽減策であり、物価の基調そのものが大きく弱まったとの判断ではありません。

2027年度は+2.3%から+2.4%へ上方修正され、2028年度は+2.0%で据え置かれました。また、景気の下振れリスクの後退が指摘されており、7月は原油価格が一時期と比べて下落したことなどから、景気のリスクバランスを「概ねバランスしている」へ変更されています。

【図表】2026~2028年度の政策委員の大勢見通し
対前年度比、%。なお<>内は政策委員見通しの中央値。前回時点:2026年4月
出所:経済・物価情勢の展望よりマネックス証券作成

会合結果は事前の市場予想に沿ったもので、大きなサプライズとなりませんでした。また、7月31日未明には政府・日銀による為替介入観測もあり、米ドル/円は1ドル=157円台まで円高進行したものの、再び160円台をつけ、金融政策決定会合の結果公表後も円安基調で推移しています。

物価上振れリスクが懸念事項/基調物価の上振れにも言及

上振れ時の政策対応に含みをもたせる

7月31日15時30分から開始された植田日銀総裁の記者会見では、従来通り丁寧なコミュニケーションとなりました。

物価については上振れリスクを意識する局面にあるとの認識を示しました。展望レポートでも言及されているように、上振れ要因として考えられる「賃金・価格設定行動の積極化」「AI関連需要」「円安」などの各種要因を次回会合までに点検していくとしました。また、基調的な物価がターゲットである2%に近い水準にある現状において、その2%を超えるケースにも言及があり、上振れ時の政策対応に含みを持たせました。

前回会合(2026年6月)での政策金利引き上げの影響や先行きの利上げ見通しについて、多くの質問がありました。引き続き、利上げによる経済への影響をモニタリングしていくといった前提のもとに、足元では利上げによる負の影響が大きく表れていないといったスタンスを示し、先行きの金融政策方針については従来通り、時々の経済動向・データ次第としました。

データ次第のスタンスだが、今後追加利上げの可能性も

総合すると、前回会合比では各種リスクは低下したといった評価の中で、物価の上振れが目先の懸念事項といった様子がうかがえました。また従来通り、次回の政策変更タイミングについてはデータ次第のスタンスであったものの、物価上振れへの対応策として追加利上げの可能性は相応にあるといった印象を受けました。

今後については、足元の為替円安や、コスト高が消費者物価ないしは基調的物価に波及していく速度がポイントとなりそうです。