モトリーフール米国本社ー2026年7月25日 投稿記事より

人工知能(AI)向け半導体を語るうえで欠かせない企業といえば、エヌビディア[NVDA]、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD](以下、AMD)、インテル[INTC]の3社です。しかし、話題の中心になることと競争に勝つことは、必ずしも同じではありません。2026年上半期に、実際に最も成果を上げたのはどの企業だったのでしょうか。その答えは、何を基準に評価するかによって変わります。

エヌビディア、市場シェアは圧倒的

最も重要な指標である市場支配力での勝負は明白でした。エヌビディアは依然として、AIデータセンター向けグラフィック処理装置(GPU)市場の80~90%を押さえています。直近の通期決算において、同社はデータセンター部門だけで約1,940億ドルを稼ぎ、これはAMDのデータセンター事業全体の11倍を超えます。

さらに最新の「Vera Rubin」プラットフォームは既に本格的な量産体制に入っており、需要見通しは数兆ドル規模にまで及んでいます。AIを学習させ、作動させるための半導体を実際に販売するという観点では、エヌビディアは勝者というだけでなく、他社を大きく引き離しています。

唯一、エヌビディアが勝てなかったのは株価です。市場の期待値が既に極めて高かったため、驚異的な決算であっても株価を大きく押し上げるのは難しく、2026年上半期の上昇は小幅にとどまりました。

AMDのデータセンター向け売上高、前年同期比57%増で過去最高を記録

エヌビディアが事業面の勝者だとすれば、投資家の期待を最も集めたのはAMDでした。株価は競合する2社を大きく上回るパフォーマンスを示しました。ウォール街がAMDのAIストーリーを高く評価する中で、2026年の株価上昇率は3桁に達しました。その期待は業績にも裏付けられています。データセンター向け売上高は前年同期比57%増となり、過去最高を記録しました。

また、次世代半導体のMI400シリーズとサーバーのHeliosシリーズは2026年下半期に登場する予定です。さらに注目されるのは、AMDがオープンAIとデータセンター事業が急拡大するメタ・プラットフォームズ[META]から巨額の複数年契約を獲得したことです。これにより、実際の売上見通しが立つことになったのです。

とはいえ、AMDのAI向けGPU市場でのシェアは依然として1桁台半ばにとどまり、エヌビディアの牙城を崩すにはまだ遠い状況です。とはいえ、同社は明確な「業界2位」として急速に存在感を高めており、3社の中では株主に最も大きなリターンをもたらしました。

インテルはAIでは存在感を示せなかった──しかし株価は急騰

そしてインテルです。同社は2026年上半期に全く別の次元での戦いを展開しました。同社が開発したAIの計算を高速化する「Gaudi」アクセラレーターは、市場で十分な存在感を得られませんでした。同社自身も業績に大きく寄与するほどの売上は見込めないと認めており、製品の投入スケジュールも安定しませんでした。

インテルは事実上、AIアクセラレーターの競争から姿を消し、次世代のデータセンター向けAI半導体が登場するのは2027年のかなり遅い時期になるとみられています。それにもかかわらず、驚くべきことに、インテルは3社の中で最も株価上昇率が好調で、2026年初来の上昇率は約340%に達しました。ここに、思わぬ理由があります。その株価の急騰はAI半導体事業とはほとんど無関係なのです。

インテルの株価は、同社が半導体受託製造(ファウンドリー)事業の再建に成功しつつあり、他社向け半導体の受託製造企業になろうとしていることに対する投資家の強い期待を反映しています。つまり、インテルはAI向け半導体競争とは異なる事業展開によって、非常に高い評価を受けているのです。

結局、勝ったのはどの企業なのか?

以上から、次の点が指摘できるでしょう。エヌビディアは競争に勝ち、少なくとも真に重要な競争では勝者です。なぜなら、同社はAI半導体市場で支配的な地位を維持し、驚異的な利益を生み出し続けているからです。一方、AMDは株主リターンと株価上昇の勢いという点では勝者でした。確かな製品ロードマップと有力顧客を獲得したことを背景に、有力な挑戦者としての地位を確立しています。対照的に、インテルはAI半導体競争では明らかに後れをとりました。ただし、別の分野でより長期的な事業展開に取り組んでいます。

「競争に勝つ」ということが市場の支配と利益創出を意味するなら、エヌビディアは揺るぎない王座を維持しています。株主に報い、事業基盤を最も広げた企業という意味であれば、2026年上半期の勝者はAMDです。いずれにせよ、AI半導体は2社の競争となっており、インテルはその戦いを傍観する立場に置かれています。

この枠組みは、ほとんどの投資家にとって理解しやすいものでしょう。エヌビディアは依然としてAI半導体の王者であり、AI向け半導体銘柄を保有する上で比較的リスクが低い選択肢となるでしょう。その圧倒的な競争優位は、想像以上に長く維持される可能性があります。一方のAMD は、より大きな上昇余地を持つ挑戦者であり、3社の中で最高の株主リターンをもたらし、実態を伴った成長の勢いがあります。ただし、株価には更なる大きな期待が織り込まれています。

インテルにはAI半導体ではなく、ファウンドリー事業の再建という全く別のテーマが必要です。2026年前半に成果を上げた投資家は、AMDの勢いとエヌビディアの圧倒的な市場支配力に乗った人たちです。筆者にはインテルが追いつくのを待つより、引き続きエヌビディアとAMDの動向を見守る方が良いように思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Micah Zimmermanは、記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ、インテル、エヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。