モトリーフール米国本社 – 2026年7月20日 投稿記事より

AI関連銘柄は現在の株式市場における最大の成長テーマとなっており、それが最も明確に表れているのが半導体業界です。AIの学習や推論を支える半導体は、数兆ドル規模に及ぶ投資の中心に位置しています。この夏は株価がやや不安定な局面もありますが、いまのところAIインフラ整備の勢いは衰える気配は感じられません。

適切な投資戦略は、特定の1銘柄に投資するのではなく、半導体サプライチェーン全体に分散して投資することでしょう。今回は、AIブームの異なる成長分野で恩恵を受け、アウトパフォーマンスが期待される半導体株5銘柄を紹介します。

1. AI相場全体を牽引するエヌビディア[NVDA]

半導体大手エヌビディアは、引き続きAI相場全体を牽引しています。同社最新の次世代グラフィック処理装置(GPU)「Vera Rubin」プラットフォームは既に本格的な量産体制に入り、直近のデータセンター向け売上高は前年比90%超の増加となりました。経営陣は2027年までに約1兆ドルの需要を見通せる状況にあると述べています。

株価は2026年夏に一服していますが、世界的には膨大なAIインフラの構築が続いており、これは株価の崩壊というより、一息つくための調整と捉えることができます。企業が生産できる半導体をすべて販売できるほど需要が旺盛な状況では、短期的な株価の弱さは投資家にとっては魅力的な買い場になる可能性があります。

2. 最先端半導体の生産を拡大する台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]

台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(以下、TSMC)は、エヌビディアを含むほぼすべての先端AI半導体を実際に製造している企業です。同社の経営陣はAI需要は「極めて強固」と述べ、予想成長率を30%超に引き上げる一方、米アリゾナ州の製造拠点にさらに1000億ドルを投じ、最先端の2ナノメートル半導体の生産拡大を進めています。

こうした最先端の製造能力を代替できる企業は事実上存在しないため、TSMCはAI経済全体にとって絶対的な独占状態と言えるでしょう。

3. 2つの優位性をもつブロードコム[AVGO]

ブロードコムはAI向け半導体分野のもう一つの巨大企業であり、2つの点で優位性があります。1つ目は、大手ハイテク企業が自社のAIシステムを構築するのに使う専用のカスタム半導体の設計です。2つ目は、データセンター内で数千個の半導体を相互接続するネットワーキング機器分野で圧倒的なシェアを持っていることです。

経営陣はAI向け売上高が年間1000億ドルに達する可能性があるとの見通しを示しており、大規模なソフトウェア事業が安定性を高めています。ブロードコムは、GPU向け半導体にとどまらず、より広いAI関連市場に投資できる銘柄といえるでしょう。

4. メモリは2027年まで需給逼迫が続くか、マイクロン・テクノロジー[MU]の株価の下落は好機か

マイクロン・テクノロジー(以下、マイクロン)はメモリ関連の代表銘柄であり、取り上げた5銘柄の中で最も強気な選択肢と言えるでしょう。AIの計算を高速処理するAIアクセラレーターは、高帯域幅メモリ(HBM)が横になければ役に立ちません。そのメモリは供給不足にあり、多くのアナリストは需給逼迫が2027年まで続くと予想しています。

一方で、問題はメモリ株が最近、サイクルのピークを迎えるという懸念から株価が下落し、投資家心理が冷え込んだことです。しかし、筆者はこの下落をむしろ好機と捉えています。メモリ供給不足がこの夏も解消しないようであれば、マイクロンの株価は急反発する可能性があります。ただし、メモリ業界は好況と不況の波が非常に大きいため、マイクロンはこの5銘柄の中で最もボラティリティが大きい点を念頭に置いておくべきです。

5. 過去最高の受注を記録した ASMLホールディング[ASML]

オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング(以下、ASML)は、AI向け半導体市場に投資する上で、「つるはしとシャベル(Pick-and-Shovel)」に相当する銘柄といえます。同社は、最先端半導体の製造に不可欠な回路をウェハに書き込む先端リソグラフィ装置でほぼ独占的なポジションを占めています。TSMC、サムスン電子、インテル[INTC]が建設する新たな半導体受託生産拠点はASML製の装置を必要とします。

ASMLはAI需要に支えられて過去最高の受注を記録し、通期決算見通しを上方修正しました。次世代リソグラフィ装置 High-NAは1台当たり約4億ユーロ(約4億5750万ドル)で販売され、現在では半導体の量産に使われています。ASMLを保有すれば、どの半導体企業が勝者になろうとその恩恵を受けられる可能性があります。

半導体関連で知っておくべきリスクとその対処法

もちろん、取り上げた5銘柄にはリスクもあります。半導体業界は非常に景気循環の影響を受けやすく、AI関連銘柄は全体的にバリュエーション水準が高い水準にあります。そのためAI投資に減速の兆しが見えれば、これらの銘柄は一斉に大きく下落する可能性があります。

特にメモリは、マイクロンの最近の株価急落が示すように、激しい値動きになる特徴があります。TSMCやASMLには台湾、中国、輸出規制に関連する地政学リスクもあります。これらの銘柄は非常に大きな成長が期待される一方で、過去に例のない規模で拡大しているAI市場に支えられた成長株であることを理解しておく必要があります。

AIを巡る競争でどの半導体銘柄が唯一の勝者になるかを予測するのではなく、バリューチェーン全体での保有を選んだほうがよいでしょう。すなわち、AIの頭脳としてのエヌビディア、半導体製造を支えるTSMCとASML、カスタム半導体とネットワーキングのブロードコム、そして全体を動かすメモリのマイクロンを保有することです。

各銘柄は今後も続くAI投資の進展から恩恵を受ける有力な候補です。投資をする際は、一度にまとめて購入するのではなく、時間分散して買い進めることを意識し、株価のバリュエーションに注意し、日々の値動きに一喜一憂するのではなく、AIインフラ整備が着実に進んでいるという長期的な流れを重視して投資判断を行うころが重要です。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Micah Zimmermanは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、ASMLホールディング、ブロードコム、インテル、マイクロン・テクノロジー、台湾積体電路製造の株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。