家電女優としてテレビ番組や雑誌など多くのメディアで活躍中の奈津子さん。15歳で女優デビューを果たし、SDN48のメンバーとしてアイドル活動するなど、華々しい人生を歩まれてきたように見えます。しかし、その陰には喪失感を経て培った自立心がありました。試練をバネに進化し続ける奈津子さんに、オススメの便利家電からお金との向き合い方、家計の節約術などをお聞きしました。

●奈津子さんプロフィール●

ドラマ「野ブタ。をプロデュース」で女優デビュー。以降様々な作品に出演。20歳でSDN48のメンバーとなり、アイドル・歌手活動も経験。グループ卒業後は「家電アドバイザーGOLD等級」を取得し、現在は家電女優としてテレビやラジオ、雑誌など多くのメディアに出演。私生活では150台以上の家電に囲まれて暮らし、生後6ヶ月になる息子を育児中。

家電との運命の出会い

――家電女優になったきっかけを教えてください。

15歳から女優として映画やドラマで活動を始め、20歳で歌手活動にもチャレンジしたいと思いました。そこで「SDN48」のオーディションを受けてみたところ、合格。23歳頃までアイドル業もしていました。しかし、突然グループが解散することに。

仕事量が減り、「私は演技と歌のほかに何ができるのか…」と毎晩考えました。そんな中、パフォーマンスしていたAKB劇場がある秋葉原で公演の合間にふらりと訪れていた電気屋さんで「家電って面白い!」と夢中になっていたことを思い出したのです。

女優業を続けながらも、家電好きであることは特技になるかも…と思い、半年間ほど猛勉強して「家電製品アドバイザー」の資格を取得。家電の知識を活かして「家電女優」と称して発信していく決意をしました。

今思うと、アイドル活動していた「秋葉原」は、家電との運命の出会いの場だったのかもしれません。

――若くして芸能界入りされていますが、金銭感覚はどのように身につけられましたか。

私が小学生の頃に父親が突然、脳梗塞で倒れ、6年間の入院生活を経て亡くなりました。その後、母子家庭になったこともあり、15歳から工場やコンビニでアルバイトをしていました。

ちょうどその頃、スカウトしていただき芸能界に入りましたが、女優業での収入は家計や貯金に回し、時間がある時にはアルバイトも続けていました。自身の高校3年間と、短大2年間の計5年間分の奨学金も抱えていたこともあり…。

借金に対しては様々な考え方があって良いと思うのですが、私自身は「夢を追うにしても、借金があるままでは集中しにくい」という思いがありました。いずれ、返すべきものですし、お金がないままでは選択肢も広がりませんから。そのためにも“奈津子”という看板で1つでも多くの仕事を受注し、1円でも多く稼ぎたいと20代半ばで決意しました。

それによって「お尻に火がついた状態」になれたのは良かったです。どの収録でも爪痕を残すように臨み、家電に関する知識もメーカーの開発者の方々に負けないぐらいのレベルで身につけ、新製品についても積極的に勉強していきました。

また、自分で家電のレビュー記事をインスタなど多くのメディアで発信していたことで、TVを含む様々なメディアから出演の依頼も入るようになりました。

家電女優として工場にも取材

結果的にアルバイトをやめて芸能活動のみで生活できるようになり、その収入で奨学金も完済。1円の重みを感じながら地道にキャリアを構築していったことが、今の金銭感覚に繋がっていると思います。

――金銭感覚とともに自立心も育まれたようですね。

そうですね。父を亡くしてから、母親1人で4人の子どもを育てる姿を見ていたので、家族に迷惑をかけたくないという気持ちが強くありました。

売れるか売れないかは、私だけでなく個人事業主として活動する全ての人にとって未知なことであり、それは業界問わず言えることではないでしょうか。私は“不確かな夢”はどうなるかわからないけれど、目指す世界の範囲内に食い込んで「自立した人間になる」ということは叶えやすいと思っています。

私の場合は、それが「家電女優」というポジションだったのだと思います。まだまだ頑張らないといけない立場ですが、少しでも価値を提供できるように励んでいるところです。

自分の商品価値を客観的に捉える

――新しいことにチャレンジする上で、不安や迷いはありませんでしたか。

もちろん、芸能界は不確かな要素が多いので将来に対して不安になることも多々ありますよ。特に20代半ばから後半にかけては経済的に不安定でしたので、毎日のようにファミレスで1人会議をやっていました。その会議の中で、自分の思いと向き合って今のベースとなる考え方を築いてきたように思います。

エンタメ業界は単価が少なくてもやりがいで成立している案件もあります。しかし、私は1円でも多く稼ぎ、自立しているからこそ見える景色やタレントとしての価値・表現があるのではないかと思っています。

だから、タレントさんの中では珍しい方だと言われますが、私は自分の仕事の単価をすべて把握するようにしています。単価によって手を抜くようなことは当然ありません。ただ、今の自分の立ち位置や商品価値を客観的に捉えておくことは、不安の軽減にもなると思います。

――1人会議とは、自問自答する感じでしょうか。

そうですね。でも1人で考えていると煮詰まってくることもあるので、ビジネス書をたくさん読みました。経済学や経営学は芸能界にも通ずるところが多いです。本からの学びは、不確かな大海原を横断する上で凄く参考になっています。

――奈津子さんにとってのバイブルは?

ラス・ハリス著の『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』(筑摩書房)が特に印象に残っています。タイトルは一見、相反することを言っているようなのですが、「マインドフルネス」に基づく思考方法がテーマです。“多くの人の役に立ちたい”とか“稼ぎたい”と願うのであれば、強欲になるのではなく、あえて自分の欲を手放すことで、結果的にそれが夢を叶えることに繋がる…といったことが書かれています。

経営に関する本は突き詰めていくと似たようなことが書かれている場合が多いですが、この本にはその真髄が書かれているように思います。他には、アンジェラ・ダックワース著の『やり抜く力 GRIT(グリット)』(ダイヤモンド社)から学んだことも多いです。

――年間100冊読まれているそうですね。

はい。読書などインプットに関する投資には惜しみなくしてつぎ込んでいます。ページをめくる感覚が好きで、本だけはデジタルではなく紙の書籍を買うようにしています。

ただ、出産は脳にも影響があるそうで、私自身、5月に出産したばかりなので頭のキレが戻っていないように感じています。もう本当にぼけぼけで・・・(笑)。なるべく早く脳が回復できるよう、読書のペースは落とさず、ひたすらインプットするようにしています。

時短だけじゃない家電の魅力

――ご自宅に今、どれぐらい家電をお持ちですか。

今のところ、150点以上あります。掃除機だけでも10台ぐらい、電動歯ブラシも8本ぐらい…。マニアに近い感覚で集めていますね(笑)。

――家電を活用するメリットを教えてください。

ひと昔前までは衣類を洗って干したり、ご飯を炊いたり、部屋を掃除するにも、非常に手間と時間がかかっていました。それが今では、洗濯乾燥機や炊飯器、ロボット掃除機などの登場によって、これまでの家事負担が大きく減りました。浮いた労力と時間を仕事や育児など他のことに充てることができます。

もう1つの大きなメリットは、生活を豊かにしてくれることです。私がもともと秋葉原で家電の魅力に惹かれたのも、「こういうライフスタイルに憧れるなぁ」という気持ちが満たされるからです。家電は次々と新製品が出て、それまでのデメリットが新機能としてアップデートされていく場合が多いので、それを追いかける楽しさもあります。

>> >>【後編】「家電への先行投資で暮らしはより豊かになる」

※本インタビューは2021年11月5日に実施しました。