モトリーフール米国本社、2021年5月17日投稿記事より

小売大手のウォルマート(NYSE:WMT)は一見すると、今までと何も変わらない形の営業を続けているように見えます。

何でもそろっている倉庫型の大きな店舗で、ほとんどの価格に競争力があります。

これこそ、同社が実店舗型の小売業者として成功した理由と言えます。

しかし、同社をより詳しく、より論理的に見てみると、ウォルマートが単に多くのものを低価格で販売するだけではない存在へと進化していることがわかります。

同社は、人々の考え方、ショッピングや生活のあり方をアピールし、消費者とより深い関係を築くことに取り組んでいます。

5年後のウォルマートは「ライフスタイルブランド」へと生まれ変わっているでしょう。

5年後を想定した場合、今ウォルマート株に投資をすべきでしょうか?

親世代のウォルマートとは違う

「ライフスタイルブランド」はよく使われる言葉ではありませんが、思ったより身近な概念かもしれません。

たとえば、eコマース大手のアマゾン・ドット・コム(NASDAQ:AMZN)はライフスタイルブランドです。

お気に入りのオンライン・ショッピング・サイトがスマートスピーカーに統合されていて、プライム会員になれば送料は無料です。

おまけにオンデマンドの動画にもアクセスできるという一連のサービスを、同社の顧客は気に入っています。

食料品の提供も急速に広まっています。

アマゾンでショッピングをする人たちは、同社のサービスが利用しやすい点を気に入っているのと同時に、自分が信じているスタイルを支持しています。

他のライフスタイルブランドには、イケア、アップル、そして程度の差はありますがナイキなどがあります。

3社とも顧客の基本的なニーズを満たすだけでなく、常にその生活やライフスタイルにフィットする製品を作っています。

確かに、ウォルマートはアップルのようなブランドへの愛着を生み出すことはできません。

しかし、顧客とのゆるぎない関係を育むことはできます。

ヘルスケアを例にとってみましょう。

長年にわたり単なる薬局に過ぎなかった同社ですが、今では店舗とは直接関係のないクリニックを十数カ所運営しています。

また、メディケア(高齢者向け医療保険制度)の保険代理店サービスも提供しています。

ヘルスケアは、小売業者の参入分野としては変わっているかもしれませんが、現在の環境からすれば賢明な動きであるといえます。

ヘルスケアは複雑になり過ぎただけでなく高価になり過ぎています。

ウォルマートは店舗の運営と同じく、新たなクリニックを開き保険代理店のネットワークを運営することにより、この問題の改善に取り組んでいます。

世界最大の小売業者である同社は、新型コロナウイルスのパンデミックで確立された消費者の長期的な期待に応えるために、昨年9月に「Walmart+(ウォルマートプラス)」を導入しました。

Walmart+は、Amazonプライムに対抗するものです。

月額12.95ドルまたは年間98ドルの会費を支払えば、会員は無制限のオンライン・ショッピング無料配送サービス、店舗で買い物をしたときのスピーディーな「スキャン&ゴー」アプリの利用、提携ガソリンスタンドで給油する際の割引といった特典を利用することができるます。

膨大なオンデマンド動画の視聴ができないという点を考えると、Amazonプライムに匹敵するものではありません。とはいえ、無料の配送サービス(多くの場合最寄りの店舗から)は、ウォルマートの店舗で買い物をする時間がない消費者に喜ばれています。

電子決済データプロバイダーPYMNTSの最新の消費者調査によると、米国の消費者のうち6,000万人強がWalmart+の会員であると推定されます。

それでも、Amazonプライムの世界全体の会員数2億人をはるかに下回っていますが、Amazonプライムは何年もの実績がある一方で、Walmart+はまだ数カ月しか経っていないことを考慮する必要があります。

ウォルマートの買い物客が目にする機会が増えているライフスタイル関連の取り組みの中には、高級アルコール飲料の販売や、オンライン・ショッピング・サイト「Walmart.com(ウォルマート・ドット・コム)」上のサードバーティー販売者をしてその数を増やすこと、そして家庭でのテクノロジー導入サービスの試験的な実施などがあります。

また、自動運転車に参入するなど、ほんの数年前は考えられなかったようなアイデアばかりです。

投資する理由

ライフスタイル企業に進化するためのウォルマートの取り組みが、すべて期待どおりの結果を生むわけではありません。

たとえば、同社は2017年にオンライン限定の婦人服ブランド「モドクロス(ModCloth)」を買収しましたが、結局2019年に売却しました。

この「デジタル・ネイティブ・ブランド(DNB)」は実店舗で成功をおさめることができず、巨大小売業者の傘下にあるがために、一部のオンライン顧客に対しても苦戦しました。

しかし、こうした取り組みの多くはうまくいっているようで、従来通り必需品を購入するためだけの場所ではなく、より上質な商品にアクセスできるブランドになりつつあります。

こうした新たな動きが、大きな成長を推し進めるとは考えにくいものですが、どの取り組みも成長を促すものであり、長期投資家が、この世界最大の小売業者は安定した成長を遂げるであろうと期待できる理由の1つです。

あと5年もすれば、こうした努力が実を結ぶでしょう。

 

転載元:モトリーフール

 

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者James Brumleyは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、アマゾン株、アップル株、ナイキ株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、以下のオプションを推奨しています(アマゾン株の2022年1月の1940ドルのショート・コール、アマゾン株の2022年1月の1920ドルのロング・コール、アップル株の2023年3月120ドルのロング・コール、アップル株の2023年3月130ドルのショート・コール)。