インターネットを通じて、商品やサービス、活動などのアイデアを実現するために不特定多数から資金を集める「クラウドファンディング」。1人1人が応援したい気持ちをお金に込めて、より良い未来づくりに貢献できる仕組みとして多くの人々から支持を集めています。

クラウドファンディングの根底にある考え方は、社会問題に対して積極的に取り組んでいる企業への投資を通じて、世の中を応援する「#ため活」の概念に通ずるものと考えられます。そこで今回は、クラウドファンディングサービス「READYFOR」代表取締役CEOの米良はるかさんをお招きし、当社の代表取締役社長である清明祐子と対談。新しい時代における社会貢献のあり方やお金の循環をテーマに語っていただきました。

オンラインで広がる、誰かの“ため”を想うお金の使い方

清明:「クラウドファンディング」という形での応援が、20代〜30代の若者を中心に広がっているようですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。

米良氏(以下、米良):10年前に起きた東日本大震災の頃から徐々にオンライン上での支援が広がったと考えています。私は米国に留学中にクラウドファンディングサービスを知り、ちょうど震災の年(2011年)に帰国してクラウドファンディングのサービス「READYFOR」を立ち上げました。「自分の行動によって大変な状況にある人たちを支援したい」という気持ちがオンラインを通じて多くの人々に広がったのもこの頃です。

清明:私も東日本大震災の頃から、ボランティア活動や寄付することが身近に感じられるようになった印象です。オンラインで気軽に参加できるようになったことは大きな変化ですよね。

米良:それまでは個人からの寄付というと、街頭の募金箱などが主流でした。支援者も募金箱にお金を入れるだけですと、寄付したお金が具体的にどのように使われているのか、イメージしづらい部分があるかと思います。しかし、クラウドファンディングならお金の使い道がオンライン上で分かります。お金の流れの可視化は大きなポイントです。また、デジタルデバイスに常に接している若い世代にとって、オンラインだと気軽に支援ができ、行動に移しやすいという点もクラウドファンディングが広がった要因ではないでしょうか。

親しみのある存在を少しでも応援したい

清明:2020年、弊社が20〜30代の若い世代を対象に行った「社会貢献活動に関する意識調査」では、投資を通じて世の中を応援するという「応援投資」の考え方に共感する方々の80%が、社会貢献に対して支出することに肯定的で、社会貢献につながる支出に前向きな考えが見て取れる結果でした。ひと昔前の感覚だと、“社会貢献はお金に余裕がある人がする”というイメージがあったかもしれませんが、誰もがお金を通じて応援できるクラウドファンディングのような仕組みが身近になったことも、このような意識の変化に表れているのかもしれませんね。

米良:誰もが参加しやすい環境をつくることは非常に重要なポイントだと思っています。クラウドファンディングでは少額での支援も可能で、実際に1人1万円以下の支援も多いです。それは身近に自分が住んでいる地域の病院や、顔なじみの飲食店、行ったことのある観光地…など、近い存在、親しみのある存在を少しでも応援したいという気持ちの表れではないかと考えています。身近な存在をリアルタイムに応援できることが、結果的に社会に役立っているという満足感や充足感にもつながっているのではないでしょうか。

清明:親しみのある存在を少しでも応援したい気持ち、私も凄く分かります!私はマラソンや登山が趣味で、各地域のマラソン大会に出場したり、日本百名山制覇を目標に、コロナ禍前はよく全国行脚していました。大会や登山の前日に現地入りし、美味しい地酒を楽しんだり、土地のものを食べて、文化に触れ、そして感じたことをSNSで発信することで、微力ながらもその土地に何か貢献できれば…と思っていました。

米良:そういった気持ちは日常に溢れていますよね。私もお気に入りの飲食店を応援したくて、コロナ禍で外食が難しいなかでもテイクアウトや、デリバリーサービスを活用しています。このような行為の源には、「○○を食べたいから買う」というのではなく、「頑張っている人たちを応援しながら消費したい」という感情があるのです。それはなぜかというと、私自身は物質的なものより心の豊かさを求めているためではないかと思います。自分の行動が、「何か意味のあること・良いことである」と思えると、精神的にも満たされるような気がしています。

応援の気持ちから生まれる好循環

清明:私も応援することによって心が満たされ、日々のモチベーションにつながっています。例えば、時間というリソースを使って、後輩たちと“呑みニケーション”し、お互いに分かり合えるように寄り添って、自分にできることがあれば応援したいと思っています。人間は1人では生きていけないと思いますし、自ら積極的に応援をすることで、後々自分に巡り巡ってくる好循環を生み出せるのではないでしょうか。

「私が考える、人の”ため”」、「私が考える、社会の”ため”」のアクション

清明:“社会のため”というと、大げさに聞こえるかもしれませんが、よくよく考えてみると、社会とは人との関係性の中で、自分に心地よい環境を作ることだと思うのです。自分がどうすれば相手が心地よいか、お互いを思いやり、応援し合うことで少しずつ周りの環境がよくなり、自分の生活も良くなっていくと思います。

例えば、私は学生のとき、ある財団から、将来の証券市場に貢献する人材育成のための奨励金をいただき、お陰さまで大学を卒業することができました。その感謝の気持ちを忘れず、今も大学の講義依頼を引き受けるなど、証券市場の後輩たちや学生たちに対し、できる限り恩返しをしています。私が奨励金で“応援”されたことを、今度は自分が誰かを“応援”することで、社会をよくすることにつなげていけたらと思っています。“社会”とは、いま自分がいる世界、見ている世界が“社会”であり、人とのご縁やお金では買えない投資が、さらに自分を大きくしていくと思っています。“経済”も、自分がお金を持っているだけでは成り立ちませんよね。お金を使うことでそれが世の中に巡ります。

米良:私も清明さんの考え方に近いです。“世の中のため”が自分の行動基準かというとそうではなくて、自分が育った地域や身近な人たちの関わりの中で、好きなものや心地よいものを応援したい気持ちに基づいて行動していることが多いように感じます。

これからの時代を生き抜くためには、自分は何が好きなのか、どういう人たちと一緒に活動するのが楽しいのか…自分の気持ちに正直になっておくことが大事だと思っています。もし挑戦してみたいことが生まれたとき、デジタル時代なら気軽にチャレンジできます。「READYFOR」が提供しているクラウドファンディングのサービスを活用していただくと、皆さんが新しいことにチャレンジするための資金を集めることやプロジェクトを支援することで応援することもできます

清明:コロナ禍の影響でデジタル化が進み、お金の使い方の変化も加速したのではないでしょうか。応援したい気持ちが込められたお金の循環の輪が、ますます広がるといいですね。

米良:私たちが生きていく世の中は、今後さらにデジタルが主体になっていき、既存の枠組が変化していくでしょう。多くの人はそれに合わせて変化せざるを得ない環境になると思います。私は、これまでのように1つのスキルだけでは一生生活することは難しくなると考えています。スキルをアップデートし続けられるか、各々がいま問われているとのではないでしょうか。

自分の1つの仕事だけではなく、クラウドファンディングのような多くのプロジェクトや支援を通じて、さまざまな価値観や人々と関わることで新たな道ができると考えています。

清明:そうですね。色々なプロジェクトを応援することで、人や社会とのご縁も広がり、ご自身のスキルアップや視野を広げる機会にもなると思います。

本対談は2021年1月13日に実施しました。

米良はるか(めら・はるか)氏
1987年生まれ。2011年、慶応義塾大学大学院在学中に日本初のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を創設。2012年のダボス会議には日本人として最年少で参加。2020年のコロナ禍において、医療・福祉・教育などの活動を支援する基金を同年4月3日に設立。3ヶ月間で、約2万人から総額10億円近くの寄付金を集めた。

清明祐子
マネックス証券株式会社 代表取締役社長
2001年京都大学経済学部卒業後、株式会社三和銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。法人営業およびストラクチャードファイナンスに従事。2006年12月に株式会社MKSパートナーズ(プライベートエクイティファンド)に参画後、2009年マネックス・ハンブレクト株式会社(現マネックス証券株式会社)入社、2011年に同社代表取締役社長に就任。2013年にグループ本社に転籍し、2018年4月より常務執行役。2019年4月よりマネックス証券株式会社代表取締役社長(現任)、2020年1月マネックスグループ代表執行役COOに就任。2021年1月からCFOも兼務。