モトリーフール米国本社、2021年1月14日投稿記事より

2020年12月8日、食品会社タトゥード・シェフ(NASDAQ:TTCF)は、2つの新商品を発表しました。

植物由来のペパロニとソーセージです。

同社の製品は菜食主義者およびビーガン(完全な菜食主義者)向けでしたが、この新商品は同社初の植物由来の代替肉となります。

植物由来の代替肉市場には、ビヨンド・ミート(NASDAQ:BYND)や未公開企業のインポッシブル・フーズなどがすでに存在し、しのぎを削っています。

しかしタトゥード・シェフが参入したとしても、競合が激化することはないでしょう。

意外かもしれませんが、既存企業は友好的で、相補関係にあるのです。

ターゲット

タトゥード・シェフは2020年に特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場しました。

同社は目論見書の中で、ターゲット顧客を 「フレキシタリアン(緩やかな菜食主義者)や菜食主義者、ビーガン、有機栽培やグルテンフリーの食物を摂る層」と明示しています。

そのような層には健康上の理由を抱える人も多く、食料品店では種類が限られ、なおかつ低品質の食物と向き合っているのです。

タトゥード・シェフは、上質の材料で作られた食品を多数揃え、ターゲットのニーズに応えようとしています。

タトゥード・シェフのターゲットは、ビヨンド・ミートやインポッシブル・フーズとは異なります。

ビヨンド・ミートは、目論見書で同社の目標についてこう記しています。

「普段から動物由来肉を食べている人など幅広い顧客にアピールし、市場規模1兆4,000億ドルある全世界の食肉業界と競合する存在となること」としています。

一方でインポッシブル・フーズは非上場企業なので目論見書はありませんが、経営者のインタビューからは、ビヨンド・ミートと非常に似通った層をターゲット顧客としていることが窺えます。

両社は菜食主義者ではなくて肉を好んで食べる層をターゲットにしています。

しかし、ビヨンド・ミートとインポッシブル・フーズには重要な違いが一つあります。

インポッシブル・フーズは、製品に遺伝子組み換え作物(GMO)を使用しています。

同社のパット・ブラウン最高経営責任者(CEO)は2019年に、「GMO(具体的には大豆)の安全性には科学的根拠があり、インポッシブル・フーズは、より美味しい製品を製造している」と述べています。

GMOを使用するというインポッシブル・フーズの決断は、科学的に立証されたものかもしれません。

一方でビヨンド・ミートは、やや異なる層をターゲットとしています。

消費者はGMOに対して懸念を抱いていることは事実であり、ビヨンド・ミートの製品にはGMOを使用していません。

同社のターゲットは、インポッシブル・フーズ同様に肉食を好む人たちです。

しかし、より広い層にアピールするために、問題となる可能性のある点を避けているのです。

競合

競合についてさらに見ると、タトゥード・シェフは目論見書でこう記しています。

「当社の競合は、ネスレ、コナグラ・ブランズ、B&Gフーズ、エイミーズ・キッチンといった、既存の冷凍食品会社である」。

一方でビヨンド・ミートは「当社の競合は、動物性タンパク質を扱う企業」として、ホーメル・フーズやタイソン・フーズなどを挙げています。ちなみに同社は、インポッシブル・フーズを、「陳列棚のスペースを争う二次的な競合」としています。

気候変動問題を契機にして、ビヨンド・ミートとインポッシブル・フーズはフレネミー(友人でもあり敵でもある)の関係にあり、地球温暖化問題を解決するために共に食肉業界に戦いを挑んでいます。

インポッシブル・フーズのブラウンCEOはインタビューで、「ビヨンド・ミートは当社の競合ではない。同社の成功を願っている」と語っています。

筆者は、そもそもタトゥード・シェフのニッチ市場が存在しているのは、市場がそれほど大きくないためだと考えます。

小規模な食品カテゴリーの中の限られた層をターゲットとして、チャンスを掴もうとする企業はそう多くありません。

ビヨンド・ミートのように、1兆ドルを超える規模の食肉業界における幅広い層をターゲットとする方がずっと魅力的です。

影響

だからといって、タトゥード・シェフが成功できないとか、長期でみて優れた投資対象でないとは言っていません。

ただ、今まで述べたことを踏まえると、同社の新製品であるペパロニとソーセージは、ビヨンド・ミートの事業には何の影響も与えないでしょう。

タトゥード・シェフは、ビヨンド・ミートおよびインポッシブル・フーズとの競合を目指すことは可能ですが、口で言うほど簡単なことではありません。

そのためには、まず冷凍庫ではなくて肉のケースに置かれるような製品を作る必要があります。

そのためには配送や取り扱い方法を変えなくてはなりません。

植物由来の製品が動物性タンパク質の代替品として認識されるには、商品を肉のコーナーに置くことが重要なのです。

タトゥード・シェフがいずれはビヨンド・ミートと競合する存在になったとしても、両社がともに成功できないというわけではありません。

今後10年あるいはそれ以上にわたり、植物由来肉が動物性タンパク質市場に取って代わることで、複数の企業が成功できる十分な余地が生まれると考えられます。

 

転載元:モトリーフール

 

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