売買タイミングが難しい時期、まずは「長期・分散・積立」投資を

ここ最近は、新型コロナワクチンへの期待や米新政権への期待感などから、NYダウ平均が最高値更新、日経平均も約29年半ぶりに2万6000円台を回復するなど、景気回復への期待となる話題をよく耳にするようになりました。

家計相談で多くの人の話を聞いていると、「この波に乗って一儲けしたい」などと個別株への興味を示す人もいますが、今は判断が非常に難しい局面にも思います。

新型コロナワクチンに関連した企業の株価は大きく動き、シクリカル銘柄(景気敏感株)も反発して動き出しています。一方で債券も、例えば米国債10年利回りを見ると上下動きがあるという状況です。

経済の対ともなる医療面では、世界的に新型コロナウイルスの第3波とも言える感染拡大が起きており、今は投資とどう向き合うべきか、売買のタイミングをどう図るべきかなど、短期的に見るとなかなか判断が難しい時期です。

このような難しい状況下でも、成果への期待がそれなりに持てるのは、「長期・分散・積立」を基本とした投資ではないでしょうか。

投資信託への積立投資は予め決められたタイミングで買付けがされるため、売買のタイミングを計る必要がありません。あまり刺激がなく面白みには欠けるかもしれませんが、どのような景気の時にでも、将来の資産形成を目指すことができます。

家計を支える資金としても、相談者の方には個別株よりも、積立投資を淡々と続けることを「まずは」お勧めしています(個別株への投資をやっていけないのではなく、積立投資を優先することをお勧めしているという意味です)。

iDeCo、つみたてNISAの枠が十分に活用されていない現状

ご存知のように、積立投資にはiDeCo(確定拠出年金)やつみたてNISAという国の制度があります。

つみたてNISAは運用益が20年間非課税ですし、iDeCoは運用益非課税に加え、掛け金が全額所得控除というメリットもあります。長期間継続すると時間を味方につけ、複利で資産を増やすことが期待できます。このことを多くの方が知り、投資し始めているようですが、そのメリットを最大限受けるというところまでできている人は少ないようです。

金融庁が四半期ごとに発表している「NISAの開設・利用状況調査」をもとに、2020年6月までにつみたてNISAの2020年の枠がどのくらい利用されているのか、1人当たりの平均額を算出してみると、20代で5万2237円、30代で6万8092円、40代で7万627円です。これを毎月の積立額に計算してみると、20代は8,706円、30代は1万1348円、40代は1万1771円となります。つみたてNISAは年間40万円、月額にすると3万3000円の利用枠がありますので、かなり枠を残してしまっていることがわかります。

iDeCoについても、自営業者は月に最大6万8000円の拠出ができますが、平均拠出額は2万7189円、企業年金のない会社員は最大2万3000円のところ、平均拠出額1万6154円(2020年9月時点)となっており、十分に活用されていないようです。

守りを固めてから攻めの投資を

2019年に老後2000万円問題が話題になり、積立投資の有効性や必要性などが言われてきましたが、現状まだこの程度しか活用されていないのです。

家計のやりくりの状況的にこれ以上の拠出は難しいというケースもあるのでしょう。しかし、別な投資に充てるお金があるのに、ここをきちんと十分に活用できていないのであれば、私は「もったいない」と感じます。

まずは非課税制度での積立投資を可能な限りやってから、他の投資を検討するべきではないでしょうか。

コア・サテライトではありませんが、老後などの生活防衛資金としての「守り」部分をしっかりと固め、その脇で人によってやりたいと思えばバランスを見ながら個別銘柄などの「攻め」もやってみる…といったことで投資の幅を広げていくのはどうでしょうか。まずは将来のためになる「守り」部分をしっかりと作らなくてはいけないと思うのです。

非課税制度などメリットのある積立投資の枠をきちんと使わないということは「お金をこぼしている」という状況にあるとも考えられます。

家計からどうしても現状以上のお金が捻出できないのであれば仕方がないかもしれません。しかし、もしそのような状況の方が、「景気の波に乗って投資を…」と考えているのであれば、その部分のお金を調整するなど、少し立ち止まって投資との向き合い方を再検討してみてはいかがでしょう。

投資についての考え方は、人それぞれ違うと思います。しかし、家計を軸に考えると、まずはしっかり土台になる部分を作る投資をして、それができてから幅を広げることが基本であると私は考えます。つまり、投資信託を積立て、老後資金や必要な資金を作ってから、興味があれば個別株など投資の幅を広げれば良いということです。

もっと投資をしたい、もっとお金を増やしたいと思う気持ちはわかります。しかし、判断が難しい状況下では冒険はせず、「長期・分散・積立」という基本的なベースの形ができているのかをまず確認すべきだと思います。