モトリーフール米国本社、2020年8月10日投稿記事より

アップル(NASDAQ:AAPL)が2020年7月末に発表した株式分割は市場にとってサプライズとなりました。ハイテク銘柄の株式分割はほぼ過去のものとなっていたからです。

アップルの今回の株式分割は同社にとって4度目ですが、アマゾン・ドット・コム(NASDAQ:AMZN)など大半のハイテク企業はここ数年、株式分割を避けてきました。

アップルが株式分割を決定したからといって、他の企業が株式分割に積極的になるとは限りません。

しかし、アマゾンが前回株式分割を実施したのは20年以上も前のことであり、再び検討する好機が到来していると考える説得力のある理由があります。

以下、その3つの理由を説明します。

理由1:アマゾンの高い株価は政治家からの批判の的

アマゾンは、従業員の処遇の仕方から税金を正しく支払っているかどうかに至るまで、様々な慣行を理由に米国議会から攻撃されています。

政治家は、アマゾンの株価上昇とそれがもたらすCEO兼創業者ジェフ・ベゾス氏の資産増大を、同社だけでなく米国企業全体の貪欲さの象徴だと指摘しています。

株式分割によってアマゾンの時価総額とベゾス氏の資産が目減りすることはありませんが、企業価値増大を測る最も明白な尺度が失われる可能性はあります。

株式分割によって株価が目立たない水準になれば、政治家の同社への関心を低下させるかもしれません。

理由2:アマゾンのダウ平均への組み入れが現実味を帯び始めた

ダウ・ジョーンズ工業株30種平均(DJINDICES:^DJI)は、指数を構成する30銘柄に様々なセクターの企業を含めるよう努めています。

アマゾンが一般にハイテク株と考えられていたころは、既にいくつかハイテク企業が組み入れられていたため、アマゾンがダウ平均に加えられる可能性は低いとみられていました。

しかし、新たなセクター分類としてコミュニケーションサービスが創設されたことで、同社のビジネスは事実上ハイテクから外れることになりました。

同社のインターネット小売事業は一般消費財に該当し、傘下のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は顧客のクラウドベースのコミュニケーションの促進に利用されています。

ただし、アマゾンがダウ平均に組み入れられるには、株価は大幅に下落していなければならないでしょう。

ダウ平均は構成銘柄の株価の加重平均であり、アマゾンの高い株価はダウ組み入れの阻害要因になっているからです。

アマゾンがダウ平均への組み入れを望むのであれば、15対1または20対1の株式分割が行われると予想されます。

理由3:アマゾンはアップルに後れを取りたくない

最後に、アマゾンは世界で最も重要な企業になりたいという願望を常に持っています。

そのためには同社はアップルに後れを取らないようにする必要があります。

アマゾンはアップルの株式分割が将来の株価の推移に影響を与えるかどうかを注視するでしょう。

アップルによる株式分割の発表は、株価が既に目覚ましい水準を超えていたにもかかわらず、同社の株式への関心を高めました。

これによりアップルの時価総額は1.9兆ドルを超えています。

一方のアマゾンの時価総額は1.6兆ドルに近い水準で推移しています。

アマゾンのような成功した企業が時価総額のランキングに注意を払うのは狭量と思うかもしれません。

しかし、ベゾス氏は持ち株のかなりの部分を売却し始めています。

同氏が売却し続けるつもりなら、あらゆる手段を使って株価を高止まりさせることも考慮する必要があるかもしれません。

大手ハイテク銘柄の株式分割は必然の流れ

アップルが株式分割を発表する前、アマゾンによる株式分割の可能性ほぼゼロでした。

しかし、状況は変化しています。

今や、アマゾンを含む大手ハイテク銘柄が株式を分割し、政治的なスポットライトから抜け出そうとする可能性は以前よりはるかに高まっています。

 

転載元:モトリーフール

 

免責事項と開示事項
記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Dan Caplingerは、アップル株を保有しています。モトリーフール米国本社は、アップル株、アマゾン株のオプションを推奨しています(2022年1月の1940ドルのショート・コール、2022年1月の1920ドルのロング・コール)。