モトリーフール米国本社、2020年6月11日投稿記事より

株式市場全体が反発しているなか、アップル(NASDAQ:AAPL)の株価は反発どころか350ドルを超え、史上最高値を付けています(執筆時点)。

同社が進める利益率の高いサービスを中心とした、製品販売への依存度が低いビジネスモデルへの変貌は、投資家の大きな支持を得ています。

株価は過去12カ月で85%という信じられないほどの上昇をしているため、同社が引き続き「買い」なのかは、多くの投資家にとって気になるところでしょう。

以下、同社のビジネスとバリュエーションについて見てみたいと思います。

アップルの2020年以降の成長ストーリー

10年前、アップルの成長は基本的には単一の商品、すなわちiPhoneにかかっていました。しかし、2020年現在、同社をめぐるストーリーは大きく変わりました。

iPhoneは現在も同社のビジネス全体にとって極めて重要ですが、投資家はiPhoneの売上が今後大きく成長するとは考えてはおらず、今後10年間の成長は、おそらくサービスが主な原動力になると見ています。

現在稼働中の同社製デバイスは15億台を超え、この巨大なユーザー層は同社がサービスを販売するうえで大きな機会を提供してくれます。

同社は主に2つの方法をとっており、1つ目は独自のサービスを立ち上げ販売すること、もう1つは同社のApp Storeを通じて販売される他のサービスから利益を得ることです。

サービス分野の重要性は、2019年度のサービス分野売上が16%増の463億ドルとなり、総売上の18%を占めていることからも分かります。

注意が必要なのは、サービスは製品販売よりも粗利率がはるかに高いため、同社の業績にとっては売上の比率から受ける印象よりも重要性が高いということです。

2019年度のサービスの粗利率は64%でしたが、製品の粗利率は32%でした。さらに、サービスの粗利益率は2018年度の60.8%から2019年度は63.7%に上昇しています。

同社が提供するサービスは拡大を続けており、昨年はニュース定額料金サービス、ゲーム配信サービス、動画配信サービス、新型クレジットカードと、4つの新サービスを開始しています。

これは、Apple Pay、Apple Music、iCloud、AppleCareなど、同社の他の重要な独自サービスに続くものです。

さらに同社は、同社基本ソフト上で動作するアプリの販売や、とりわけ力強い他社定額料金サービス成長の恩恵を受けており、第2四半期(直近四半期)決算説明の電話会議で経営陣が明かしたところによれば、他社定額料金サービスからの収入は前年同期比で30%増加しています。

第2四半期の自社および他社定額料金サービス契約の合計件数は5億1,500万件で、前年同期比で1億2,500万件増加しています。

実際、定額料金サービス契約の件数は連続で3,500万件の増加を続けており、同社にとって、これまでで最も順調な増加となっています。

ウエアラブル機器も重要な成長分野

iPhoneだけではなくMacおよびiPad部門も堅調で、Macの2019年度の売上は前年比2%増の257億ドルとなり、iPadの売上は前年比16%増の213億ドルとなっています。

しかし、投資家がとりわけ期待する製品ビジネスの分野は、アップルウォッチ、エアポッド、およびBeatsヘッドフォンなどといったウエアラブル機器の販売です。

ウエアラブル機器を含む「ウエアラブル、ホーム、アクセサリー」分野の2019年度の売上は、エアポッドとアップルウォッチの力強い成長により41%増の245億ドルとなりました。

この分野は、iPhoneに次ぐ2番目に規模の大きいサービス分野よりもはるかに小さいですが、サービス分野より成長が速いため、同社にとっては重要な成長分野となっています。

iPhoneはワイルドカード

もちろん、投資家は依然としてiPhoneがアップルの事業を支配しているという事実から逃れることはできません。

2019年度の同社総売上高2,600億ドルのうち、1,420億ドルはiPhoneによるものです。

全体として、iPhone事業は健全なようですが、胸を踊らせる理由もありません。

2019年度のiPhoneの売上は前年比で14%減少しましたが、2018年度のiPhone売上が18%増加しているため、厳しい比較になった面もあります。

最近では、iPhone 11とiPhone 11 Proのラインアップは消費者の支持を得ているようで、実際、2020年度第1四半期のiPhone売上は、前年比で8%増加しています。

第2四半期の売上は前年比で7%減少しましたが、これは新型コロナウイルスによる逆風が原因です。

新型コロナウイルスによる一時的な後退を除けば、同社のiPhone事業は、今後数年は横ばいないし緩やかな成長を期待して良いでしょう。

ただ、同事業が驚くような成長や苦戦をしても驚きではありません。

買いか、売りか、それともホールドか?

アップルのiPhone事業が競争力を維持できると仮定すれば、サービスおよびウエアラブル分野にかなりの勢いがあることから、同社の株は350ドルでも魅力があるように思われます。

しかし、現在の株価収益率(PER)が約28倍(執筆時点)であることを考えると、安心して買える水準とは言えません。

同社の株を今購入するのであれば、ポートフォリオに占める割合を小さくしておく方が良いかもしれません。

しかし、何らかの理由で同社の株価がさらに5〜10%下げるようなら、長期保有を目指す投資家にとってはより注目すべき銘柄となるでしょう。

 

転載元:モトリーフール

 

免責事項と開示事項

記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Daniel Sparksは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、アップル株を保有し、推奨しています。