モトリーフール米国本社、2020年2月20日投稿記事より

1990年代後半、アップル(NADSAQ:AAPL)は破綻の瀬戸際にありました。

格付け機関はアップルの社債の格付けをジャンク級に引き下げ、1998年度の債務残高は9億5,400万ドルに達していました。

アップルが最初のiMacを発売したのはこの年度の後半のことでした。

これを機にアップルの復活劇が始まりました。

2001年にiPodという革命的な商品を発売すると回復のペースは加速し、2004年には48億ドル近くの手元現金を抱えるまでになりました。

債務を完済した際にスティーブ・ジョブ氏は社員に宛てたメモでこう述べました。「本日は我が社にとってある意味で歴史的な日です」。

現在の状況

それから16年後の現在、アップルの債務残高は1,080億ドルに上っています。その間には多くの変化が起こりました。

iPhone、iPadが発売され、膵臓癌に倒れたスティーブ・ジョブズ氏に代わりティム・クック氏が最高経営責任者(CEO)に就任し、時価総額が米国企業で初めて1兆ドルを突破しました。

アップルは売上高の急増に伴い、節税戦略の一環として海外子会社に資金を振り向けるだけでなく、現金を海外子会社に貯め置くようになりました。

利益を海外で「継続的に再投資」することを条件に、米国での課税を繰り延べることができたからです。

皮肉なことに、アップルが無借金経営に転じた2004年、米連邦議会は(1年間の時限措置として)海外利益を国内に環流する際の税率を5.25%に引き下げるという初の「レパトリ減税法案」を可決しました。

その結果、企業各社には次回の減税措置を待つためのインセンティブが生じたため、米企業の海外子会社の現金保有総額はその後13年間にわたり増え続けることになりました。

アップルが多額の債務残高を保有する理由

2012年にアップルは配当と自社株買いを通じた現行の資本還元策に着手しました。

当時の手元現金は1,400億ドル近くまで膨らんでいたため、その一部を株主に還元することにしたのです。

アップルは海外に蓄積していた現金を35%の法定税率を支払って国内に環流させる代わりに、社債を発行し始めました。

この債務戦略は負債の節税効果を通じて加重平均資本コスト(WACC)の低減に役立ちました。

アップルではこの戦略を利用して2013年初から2017年末までに1,100億ドルの債務を積み上げました。ところが、2017年12月、税制改革法案の可決を受けて事態は一変しました。

法案の中には海外子会社の留保利益に対してみなし環流税を課す規定が盛り込まれていたためです。

それ以降、アップルは満期が到来した社債を(借り換え発行せずに)そのまま償還させています。

9月には税制改革以降初めて社債を発行しましたが、債務残高は全体として減少基調を辿っています。

過去20年の間にアップルは生き残りのため債務に依存する企業から、任意で多額の社債を発行できる企業へと変身しました。

 

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Evan Niuは、アップル株を保有しています。モトリーフール米国本社は、アップル株を保有し、推奨しています。

 

転載元:モトリーフール