クレジットカード有名国際ブランドの1つであるMastercard(NYSE:MA)。

日本のカード会社が発行しているクレジットカードのなかでもMastercardブランドが付与されているものは非常に多いので、すでにお持ちの方もいらっしゃるかもしれません

このように私たち日本人にとっても馴染みのあるMastercardですが、実は米国企業なのです。

同じようなビジネスモデルを展開しているVisaとの違いも気になるところです。

本記事では、適宜比較しながらMastercardについて徹底解説していきます。

【銘柄紹介】Visaってどんな企業?

基本情報

まずは、Mastercardの基本情報をご紹介します。

本社…ニューヨーク州 ハリソン パーチェス
創業者…マイケル・フィリップス
創業年…1966年
現在のCEO…エージェイパール・シン・バンガ
上場市場… ニューヨーク証券取引所(シンボル:MA)
時価総額…3,270億3,960万ドル(2020年2月4日現在。Yahoo!ファイナンスより)
決算日…12月31日
発行済株式数…9億9,600万株(2020年2月4日現在。Bloombergより)

概要

クレジットカードによる債務残高は、2019年初め頃に過去最高額となりました。

eコマースやキャッシュレスの利用者増加によって、クレジットカードビジネスが追い風を受けていることが読み取れます。

クレジットカード市場ではVisaがシェアを約半分確保していて、続いてMastercardが2番目にシェアが大きく約30%を確保しています。

また、クロスボーダー送金においては技術的にVisaよりも先行しています。この優位な部分を、引き続き成長させていくことが大切でしょう。

投資銘柄として魅力的なのが、なんといっても株価です。2019年の1年間では+41.4%の成長を遂げました。売上高が過去5年で約2倍になっていることもあり、業績の成長性が伺えます。

今後は、送金技術のテクノロジー化やキャッシュレス・eコマースによる追い風から成長株として期待が高まっていくでしょう。

業績

では、Mastercardの業績を見ていきましょう。

データはすべて「投資家向け広報ページ」から抜粋しています。

(図1)

図1は、売上高と当期純利益のグラフです。売上高は年々順調に伸びていて、2014年からの6年間で、約1.8倍に成長しています。

米国の調査会社モフェットネイサンソンのシニアアナリストであるリサ・エリス氏によると、消費者の買い物によるデジタル決済の割合は2010年の28%から現在43%にまで拡大しているとのことです。

(出典:https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/02/1ec.php)

eコマースやキャッシュレスといった時代の流れを受けて、MastercardやVisaといった決済システムを提供する国際ブランド企業は非常に恩恵を受けていることが分かります。

また、これらの2社は世界のクレジットカード市場の約8割を席巻しているため、ほかの企業の新規参入であっという間にポジションを奪われるといったことは考えにくいです。

そのため、現在の市場規模拡大の恩恵を大いに受けることでしょう。

 

(図2)

図2は、売上高と営業利益のグラフです。

Mastercardは、売上原価の大半が決済システム利用によるデータ処理のコストになります。

なので、小売業や製造業のように、営業利益率が低すぎるということにはなりません。

直近の2019年では売上高営業利益率は57.4%と、かなり高い水準です。

ちなみに競合他社であるVisaは、同時期に65.3%の売上高営業利益率を記録しており60%台をキープしています。

なぜ、同じようなビジネスモデルなのにこのような差が生じているのでしょうか?2019年の2社の営業費用を見てみましょう。

Mastercardは7,219百万ドル、Visaは7,976百万ドルと、大差ありません。

しかし売上高を見てみると、Mastercardは16,900百万ドル、Visaは22,977百万ドルと約1.34倍もの差があったのです。

つまり、営業費用に対する売上高の大きさが異なっていることから、売上高営業利益率に差が生まれているということになります。

市場シェアに伴って売上高に差が出てしまうのは、当然のことなのです。

しかしMastercardは、Visaと同じくらいコストをかけてしまっています。

とくに人件費やマーケティング費用がVisaと同等になっているので、今後もっと効率のよい経営になれば株価にも好影響を与えるのではないでしょうか?

 

(図3)

図3は、売上高の内訳を示したグラフです。

ここでは、Mastercardの収益源についてそれぞれご説明していきます。

まず「米国内」という項目は、アクワイアラ(加盟店を管理している会社)から受け取る一定割合の手数料とライセンス料のことです。

次に「米国外」という項目は、米国以外で発行されたMastercardブランドのクレジットカードを使用されることで受け取る、取引額の一定割合のクロスボーダーフィーのことです。

米ドルで決済された場合は0.6%、米ドル以外で決済された場合は1%のクロスボーダーフィーが発生します。

次に「データ処理」という項目は、クレジットカードの一連決済システムを提供することにより受け取るシステム利用料のようなものです。

最後に「その他」は、決済ビジネスによって得ることができた顧客の情報を利用しておこなう、コンサルやデータ分析による収益です。

以上のような収益によって、Mastercardのビジネスは成り立っています。

(図4)

図4は、GDV(Gross Dollar Volume)のグラフです。GDVとは、Mastercardが公表する年間決済高のことです。

クレジットカードおよびプリペイドカードとデビットカードに分けて表示していますが、どちらも年々増加しています。

しかしデビットカードの増加幅が著しいことが読み取れます。

(図5)

図5は、キャッシュフローのグラフです。

投資キャッシュフローが非常に少なく営業キャッシュフローは順調に増加しているため、フリーキャッシュフローが多く自由に使える現金が手元にあることがわかります。

Mastercardのビジネスモデル

クレジットカードに関連する企業のビジネスモデルは、大きく2つに分けることができます。

1つ目は、MastercardやVisaのような決済システムだけを提供するモデル、2つ目は、American Expressのような決済システムの提供に加えてクレジットカードの発行もおこなうというモデルです。

前者のビジネスモデルの場合は、消費者のクレジットカード利用先である加盟店が「加盟店手数料」をアクワイアラに支払い、アクワイアラが一定の割合を手数料としてMastercardに支払います。これが収益の1つです。

また、一連のクレジットカード決済において決済システムを提供しているため、「データ処理」の収益も得ています。

このデータ処理の収益が、メインビジネスになっているのです。

ブロックチェーンでVisaに先行

実は、Mastercardらが提供する決済システムは、テクノロジーが発達している時代においては大きな問題を2つ抱えることになっているのです。

それは、送金のスピードが遅いことと、コストがかかりすぎることです。

先にVisaはこれらの問題を解決するために、ブロックチェーン技術を用いた決済プラットフォーム「B2B Connect」の使用を始めました。

しかしこれは、一部分にブロックチェーンが使用されているだけであって、完全なブロックチェーンではないという欠点があります。

そこで、Mastercardは2019年初め頃にクロスボーダー送金技術を持っている「TransFast」を買収しました。

また同年9月にはブロックチェーンソフトウェア企業の「R3」と送金技術で提携することを発表したのです。

このようにMastercardはVisaに負けじと対策を講じているのですが、そのような中、新たな競合として、決済サービス企業の「Square」が現れました。

Squareはビットコインベースで送金が可能となるようなシステムの構築に励んでいて、FacebookのLibra開発に参加していたメンバーもそのなかに含まれているようです。

Mastercardが、今後どれくらいのレベルまで送金技術を進歩させることができるかが、投資対象としての魅力を大きく左右すると考えられますね。

まとめ

本記事ではMastercardについてご説明してきました。

クレジットカード市場のシェアは、競合他社のVisaが約半分、Mastercardが約30%を占めています。

この市場においては、新たな競合他社にシェアが脅かされるといったことは考えにくいでしょう。

また、売上高営業率に関してVisaと大きく差があることがわかりました。

売上高に対してコストがかかりすぎているので、もう少し経営効率を高める必要がありそうです。

また、近年ではブロックチェーン技術に注力していて、将来Visaよりも安価かつ便利な決済システムを構築できる可能性があります。

株価が短期間で2倍成長していることも見受けられますので、成長株としての投資が期待できる銘柄といえるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、MastercardやVisaといったクレジットカード関連企業にも目を向けてみてはいかがでしょうか?

 

転載元:モトリーフール