モトリーフール米国本社、2019年12月22日投稿記事より
防衛関連株は好調に推移しており、SPADEディフェンスインデックスのトータルリターンは過去5年間で107.9%に達しており、一方、S&P500は61.87%でした。
しかし、来年は大統領選の年であり、不透明要因があります。
そのような中でも来年に向け注目すべき防衛関連銘柄として、ロッキード・マーチン(NYSE:LMT)、ブーズ・アレン・ハミルトン(NYSE:BAH)、ゼネラル・ダイナミクス(NYSE:GD)を紹介します。

ロッキード・マーチン
ロッキード・マーチンの株価は年初来で30%上昇しており、世界最大の防衛関連企業は米国防総省(ペンタゴン)からの様々な受注の恩恵を受けています。
その中でも最大のプロジェクトは、F35ステルス戦闘機です。
受注総額は1兆ドルに達するとみられ、同社と関係企業は長期にわたり生産に従事することになります。
さらに、ロッキード・マーチンは2018年初め、超音速ミサイル開発で40億ドル以上の契約を勝ち取りました。
同ミサイルは音速の5倍以上の速度で飛び、中国およびロシア対策でペンタゴンがプライオリティを置いているプロジェクトです。
ロッキード・マーチンはまた、ミサイル防衛システムでもリードしています。
同社のTHAADミサイル防衛システムは、北朝鮮の脅威に備えるため韓国に配備されています。
ロッキード・マーチンは、優れた防衛機器・システムのポートフォリオを有し、防衛関連銘柄の中では最も高い配当利回り(2.51%)となっており、予想PER(株価収益率)は16倍です。
今後の成長ポテンシャルも考慮すると、防衛関連の中では最も注目すべき銘柄とみられています。
ブーズ・アレン・ハミルトン
ブーズ・アレン・ハミルトンは多角的な企業で、政府、ヘルスケア企業、エネルギー企業に対して、コンサルティング、IT、エンジニアリング、サイバー関連サービスなどを行っています。
なお、米国家安全保障局(NSA)の情報監視活動を暴露したエドワード・スノーデンが、NSAへの契約社員として属していたのがブーズ・アレンです。
2019年の売上高の約半分が防衛関連で、23%が政府のインテリジェンス関連、残りが民間企業関連です。
ブーズ・アレンは、防衛費増大の恩恵を受けています。
2015年に策定した「ビジョン2020ストラテジー」では、同社は防衛関連のAI(人工知能)、ブロックチェーン、サイバーセキュリティなどで圧倒的なベンダーを志向しており、各種のペンタゴンからの受注で奏功しています。
ブーズ・アレンの株価は過去3年間で約2倍に上昇しており、同社は2020年のオーガニック増収率も約10%と見ています。
今後の大きな成長ポテンシャルと事業機会にもかかわらず、予想PERは20倍程度のため、株価のさらなる上昇余地を指摘する見方があります。
ゼネラル・ダイナミクス
ゼネラル・ダイナミクスは近年、最も出遅れていた防衛主契約企業でした。しかし、ロッキード・マーチンやブーズ・アレンと同様に防衛費増額の恩恵を受けています。
ゼネラル・ダイナミクスは近年、ガルフストリーム・ビジネスジェット部門の不調に悩まされてきました。
リーマンショック後、ビジネスジェットの需要が低迷していたためです。
しかしここに来て、減価償却規則の変更に加え、企業所有のビジネスジェットの経年化が伴い、ビジネスジェットの需要が復活しています。
ガルフストリーム部門では、2020年に新鋭機を導入するため、同部門はゼネラル・ダイナミクスにとっての逆風から追い風に転換するとみられています。
なお、ゼネラル・ダイナミクスの防衛関連ポートフォリオは、早期段階のプロジェクトが多いため、2019年は利益率が低下しています。
特に海軍向けのコロンビア級弾道ミサイル搭載潜水艦は史上最高額の潜水艦と予想されており、当初の開発関連費用も膨大なものとなります。
しかし、開発と製造工程の歩留まりが改善し、2020年以降には利益率は改善すると予想されています。
ゼネラル・ダイナミクスは近年、競合に対してかなり出遅れてきており、PERも15倍程度です。
しかし、上記の理由で今後はアウトパフォームするとの見方があります。
転載元:モトリーフール