2019年も残り1ヶ月足らずとなりました。今回は年末ということもあり確定申告の備えになりそうな話題を取り上げます。まずは、年末にかけて当社によくいただくお問い合わせのうち「取引による所得の損益通算」について解説します。

損益通算ってなに?

「損益通算」とは利益と損失を相殺し、本来支払わなくていけない金額よりも多く源泉徴収されている場合に、税金の一部もしくは全額の還付を受けることができる仕組みです。

たとえばA証券会社で株式取引を行い100万円の利益を獲得し、B証券会社では50万円の損失が出たとします。

源泉徴収ありの特定口座を開設していた場合、B証券会社の損失は考慮されず、A証券会社の100万円の利益に対して20.135% (所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率を掛けた20万3150円が税金として源泉徴収されます。

しかし、AとBを合せた実際の利益は100万円‐50万円=50万円なので、本来支払い義務のある納税額は10万1575円のはずなのですが、何もしなければ20万3150円が徴収されっぱなしとなってしまいます。

そこで、確定申告をすることでA証券会社の利益とB証券会社の損失を通算することができ、結果として多く支払っている税金の還付を受けることができます

NISAやFX、先物は損益通算できない?

また、1つの証券会社でのみ取引をしていて、源泉徴収ありの特定口座を開設されている場合も、すでに確定した利益に対する源泉徴収税の還付を目的として、マイナスとなっている保有資産を売却して損益通算をされている方もいます。

ただし、NISA、つみたてNISAでの取引は確定申告をしても損益通算することができません。
課税口座での取引で利益が出たので、NISA口座でマイナスになっている株式を売却しても損益通算はできないのでこちらも要注意です。

また、取引商品によっては所得区分が異なるため、損益通算ができない場合もあります。

図表1の通りFXや先物オプションは雑所得に区分され、損益通算ができないので注意が必要です。

少しややこしいのですが、株式の配当金、投資信託の分配金は配当所得、債券の利金は利子所得に分類されますが、譲渡所得との損益通算が可能です。

【図表1】取引商品の所得区分
出所:マネックス証券作成

いつからいつまでの取引が損益通算の対象になるの?

損益通算が可能なのはその年の1月1日から12月31日までの取引となります。

日付の基準は取引が成立した日である約定日をベースにしても、受渡が到来した日である受渡日をベースに計算しても問題ありませんが、特定口座の場合は受渡日を基準に損益計算がされることとなります。

具体的には国内株式取引の場合、2018年12月26日約定分から2019年12月26日約定分が損益通算可能な取引期間となります(※)。

そのため、特定口座を利用している場合、12月27日以降の取引は2020年の損益として計算されてしまいます。2019年分の損益通算をしたいのであれば国内株式は12月26日までに売却をしましょう。

(※)商品によって受渡日は異なるため、売却前に受渡日の確認が必要です。

2019年の損益を確認することはできる?

マネックス証券での特定口座内取引は「売却損益明細」で確認することが可能です。

ログイン後画面の保有残高・口座管理にカーソルを合わせ、売却損益明細をクリックすると表示される「譲渡損益額」が、年間に特定口座で行った取引(株式、外国株式、投資信託、債券)の損益額となります。

株式等の譲渡所得と配当金等の配当所得は損益通算が可能なので、図表2の赤枠で示した「譲渡損益額」と「配当等課税対象額」の合計がプラスになっていると、その金額に対して20.315%を掛けた金額が税金として差し引かれます。

【図表2】特定口座内取引「売却損益明細」の例
出所:マネックス証券作成

資産を増やすことを目的に投資をされているはずですが、損失を一切出さないということは非常に難しいことだと思います。

しかし、損失を上手に活用することで税金の還付を受けられるケースもあります。今年も残りあと少しなので、この機会にご自身の損益をご確認してみてはいかがでしょうか?