先週のゴールド:小幅反発の展開

先週の金相場は上昇しました。週初は下落しました。米中貿易協議が第1段階の最終合意に間もなく至るとの期待の高まりを受けて、リスク資産への投資意欲が強まり、安全資産である金は売られました。

その後も一時2週間ぶり安値を付けるなど、軟調に推移しましたが、11月の米消費者信頼感指数の低下を受けて切り返しました。しかし、米国株が過去最高値を更新する中、上値を切り下げる展開が続きました。週末は米中貿易協議の新たな展開待ちとなる中、上昇しました。

トランプ米大統領が、香港の反政府デモを支援する「香港人権・民主主義法」に署名し、同法が成立したことを受けて、中国政府は11月28日、「報復措置」を取るとの意向を示しました。ただし、具体的な内容には触れられず、市場の警戒感が広がる一方、米中貿易協議での合意への可能性が後退したことで株価が下落し、金相場が押し上げられました。11月は月間ベースで2018年6月以来の下げ幅となりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、11月22日の891.79トンから、25日には896.48トンに増加しました。株高基調が続く中、一部の投資家は再び金への投資を増やし始めているもようです。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場における最近の大口投機筋のポジションは、米国が11月28日は感謝祭で祝日だったため、最新のデータは現地12月2日に発表されます。

円建て金相場は小幅続伸しました。ドル建て金相場が上昇したことに加え、為替相場が円安で推移したことが金相場を押し上げました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇を試す展開に

金相場は底打ちから上昇を試す展開を想定しています。米中両国による貿易協議の「第1段階」の合意が近いとの楽観的な見方が広がり、株価は世界的に最高値水準まで上昇し、資金の安全な逃避先として金の需要は後退していました。

しかし、その間も金相場は下げ渋り、重要なサポート水準である1,440ドルを維持して推移しました。週末には米国株が調整する中、金相場は値を上げており、地合いの変化が感じられます。

米中貿易協議に対する市場の期待は高いものの、実際には交渉が長引いていることや、景気後退への懸念もあることから、一部の投資家が再び金を買い始めており、これらが金相場を支えているといえます。米国を中心とした株価次第の面がありますが、これまで上昇し続けてきた米国株にもそろそろ一服感が出てもおかしくありません。

バリュエーション面ではかなり割高になっていることもあり、株式市場に手仕舞い売りが出るようだと、金市場への関心が高まる可能性がありそうです。また、リスク指標として注目されるハイイールド債も先週末に下落しており、この動きが続くようだと、投資家のリスク回避姿勢がより強まりそうですので、注目しておきたいところです。

金相場は、短期的には1,465ドルを超えると上げやすい地合いにあります。明確に上昇に転じた場合、1,490ドルを超えると、節目の1,500ドルを試し、さらに1,520ドルを超えると直近高値の1,557ドルまで上昇する可能性も出てくるでしょう。

今後は年末に向けて、市場の金利動向がポイントになりそうです。金融市場では、年末にかけて資金需要が増えます。その結果、短期金利が上昇する可能性があります。今年9月には一時的に銀行間取引における資金不足を背景に、短期金利が急騰する場面がありました。

そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)は直ちに対応し、月600億ドルの短期証券の買い入れを決定し、それを開始しました。これにより、短期金利の上昇は抑制されていますが、再び金利急騰のようなことが起きれば、金融市場の不安定化が嫌気され、債券と株式が同時に売られることで、資金が金市場に逃避する可能性もあるでしょう。

もっとも、金利が上昇すると、金利がつかない金には不利な状況になりますので、その場合でも上値が限定的になる可能性がある点は念頭に置いておきたいところです。

一方で、金価格は11月から2月に上昇しやすい傾向が鮮明です。11月の金相場のパフォーマンスは芳しくありませんでしたが、12月以降に大きく上昇する可能性があるともいえそうです。11月の下げがよい押し目だったとすれば、今後の金相場は安定的かつ堅調な値動きになりそうです。また、米実質金利から見た金価格の理論値が1,440ドル程度であり、この水準で下げ止まっていることも、今後の上昇を示唆しているともいえそうです。

円建て金相場は一時直近安値を下回りましたが、10月の安値を下回らずに反発しました。これで5,200円を回復できれば、上昇しやすくなりそうです。ドル建て金相場の上昇基調が鮮明になれば、買いやすくなります。まずは5,200円超えを確認し、上昇基調への回帰を確認したうえで、買いを検討したいところです。

もっとも、上記で示したアノマリーからも、押し目は買いでもよいともいえそうです。今後は金融市場が不安定になる可能性がありそうですので、早めに現在の水準で買いを検討してもよいかもしれません。

プラチナ:小幅続伸の展開

プラチナは小幅に続伸しました。前週末の急落の際の安値である881ドルを下回ることなく推移しました。下値は堅い値動きでしたが、一方で上値も910ドル前後で重い状況が続き、きわめて狭いレンジでの推移となりました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における最近の大口投機家のポジションは、米国が11月28日は感謝祭で祝日だったため、最新のデータは現地12月2日に発表されます。

プラチナ相場は徐々に下値が堅くなってきた印象があります。値動きが日々小さくなっており、今週は上昇・下落のいずれかの方向に大きく動きそうです。現在は880ドルと910ドルのきわめて狭いレンジになっていますので、このレンジを抜けたほうに市場参加者がついていく可能性が高そうです。

もっとも、プラチナ市場を取り巻く環境に変化はありません。先週も解説したように、来年は需給バランスが供給過剰に転じるとの見通しがありますので、これが上値を抑える可能性があります。

一方、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドは引き続き堅調さを維持しています。この動きが続けば、プラチナ相場の下値が支えられる可能性もありそうです。また、同じ白金族系メタルのパラジウムが1,844ドルまで上昇し、過去最高値を更新しています。この動きにプラチナ相場がなかなかついていけない展開ですが、市場参加者がこの点に注目するかを見ておきたいところです。

円建てプラチナ相場は上昇しました。ただし、ドル建てプラチナ相場と同様に、狭いレンジでの推移となっています。したがって、まずはドル建てプラチナ相場がレンジを抜けるかを確認することになりそうです。円建てプラチナ相場もその動きにつれるものと思われますので、レンジを上抜けた場合には、その流れに乗る形で買いを検討したいところです。

逆に下回った場合には、3,200円前後のサポートを維持できるかをまずは確認することになるでしょう。割り込んだ場合には、押し目買いは控え、直近安値水準を維持したことを確認したうえで買いを検討したいところです。また、引き続き為替相場の動向にも注意が必要です。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:小幅反落の展開

シルバーは小幅に反落しました。ただし、きわめて狭いレンジでの推移にとどまり、方向感の見出せない値動きでした。週末は節目の17ドルをわずかに下回って取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における大口投機家の最近のポジションは、米国が11月28日は感謝祭で祝日だったため、最新のデータは現地12月2日に発表されます。

銀相場は16.80ドルを底値に、上値は17.20ドルときわめて狭いレンジでの推移となっています。このレンジでの値動きは2週間続いていますので、そろそろ抜けてもおかしくないでしょう。その場合には、レンジを抜けたほうに大きく動くことになりそうです。

銀相場はもともとボラティリティが高いのが特徴です。その意味では、今の値動きは非常に珍しいとも言えます。連動性の高い金相場にも動きがないことが、銀相場の停滞につながっているものと思われますので、まずは金相場の動向を見ることになるでしょう。そのうえで、金相場に上昇の動きがみられた場合には、銀相場はそれ以上に大きく上昇しそうです。値動きが煮詰まっているだけに、比較的近い時期にそのような値動きになる可能性は十分にあると考えられます。

一方、金/銀レシオですが、依然として86倍台と、金が銀に対して割高水準で推移しています。この点も、銀相場の上昇余地を示唆しているといえます。これから、銀相場は17.20ドルを超えて上昇した場合、17.50ドルにある上値抵抗を超えるかが極めて重要なポインントになりそうです。これを上抜けるような上昇になれば、18ドル超を試すことになるでしょう。

18ドルを超えると、9月高値の18.23ドル、さらに年初来高値の19.64ドルまでの上昇の可能性も高まるでしょう。いずれにしても、金相場の動向をまずは注視したいところです。

円建て銀相場は小幅続伸しました。ドル建て銀相場と同様に、きわめて狭いレンジでの推移が続いています。まずはレンジ上限の62円を超えるかを確認し、これを抜けた場合にはその流れに乗る形で買いを検討したいところです。

一方、61円まで下げた場合には、下げ止まりを確認できれば押し目買いを検討してもよさそうです。ただし、61円を割り込んだ場合は、底値を確認したうえで買いを検討したいところです。また、為替相場の動向にも注意しておきたいと考えます。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成