先週のゴールド:小幅反発の展開

金相場は小幅に上昇しました。週初は下落し、一時3ヶ月超ぶりの安値をつける場面がありました。投資家のリスク資産への投資意欲がさらに拡大し、金を売る動きが強まりました。その後は反発しました。米中貿易合意に関する不透明感を背景に買い戻しが入りました。

トランプ米大統領は11月12日午後に行った講演で、米中貿易協議「第1段階」の合意文書の署名は「近いうちに実現する」と言明しました。しかし、署名の場となる首脳会談の開催時期や場所について具体的な言及を避けたほか、合意できなかった場合には追加関税を発動するとの強硬姿勢を示しました。

11月13日には、米下院にてトランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる初の公聴会が開催されました。弾劾訴追に向けた動きに加え、香港で激化する抗議活動が嫌気され、安全資産である金を買う動きが強まりました。ただし、米国株が過去最高値圏を維持する中、上値を追う勢いは抑えられました。その後も続伸しました。

米中貿易協議の合意が近く実現することはないとの見方が根強い中、リスク資産やドル相場が軟化したことが支援要因となりました。世界経済の減速を示唆するような弱い経済指標が相次ぎ、株式・ドルが下落し、債券利回りが低下したことが追い風になりました。

週末は反落しました。米中貿易協議が「第1段階の合意」に向けて進展しているとの米当局者らの発言を受けて、米国の主要株価指数が過去最高値を付けるなど、リスクオンの状況となったことで、金を売る動きが強まりました。

ロス米商務長官は、11月15日に第1段階の合意に向けて米中の電話協議が近く 開かれる予定と明らかにしました。こうした発言などを受けて、投資家の楽観度が高まりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、11月8日の901.19トンから、11月15日には896.77トンに減少しました。株高基調を背景に、投資家が金への投資を減らす傾向は続いています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の11月12日時点のポジションは26万7066枚のネット買い越しとなり、前週から1万2762枚減少しました。買いポジションが2万1402枚減少し、売りポジションが8,640枚減少しました。

円建て金相場は続落しました。ドル建て金相場は上昇しましたが、為替相場が円高水準で推移したことが上値を押さえました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:反発基調へ

金相場は下値固めから上値を試す動きに移行するとみています。現在の金相場は安値から徐々に回復する動きにあります。まだ目立った反発ではありませんが、底割れの動きが回避されています。

また、投資家の金離れが目立ってきましたが、その背景には株価の上昇があります。特に、米国の主要株式指数は連日のように過去最高値を更新しています。

このように、主要指数の上昇は株式市場の好調さを印象付ける効果があります。しかし、株式市場の中身を見ると、世界の新興国株価指数は早々に下落しており、さらに米国の中小型株も上値が抑えられるなど、すべての株式が上昇しているわけではないようです。このような状況の中、米国の主要株価指数のバリュエーションは、歴史的な割高圏に突入しました。

今の水準は、ハイテクバブル以来の割高感と呼んでもおかしくないほどに買われているといえそうです。持続不可能な水準であることを考えると、今後は株価の急速な調整にも注目しておきたいところです。そのような展開になれば、安全資産である金への関心は必然的に高まるでしょう。

現在の株式市場の環境では、冷静さが必要なようです。上げ続ける相場はないことを考えると、今は高値を追いかけることは避け、次に起きそうなことに対する備えを充実させる時期のように思います。すぐに市場に変化が起きるとはいえませんが、次の大きな動きは相当な揺り戻しになるものと思われます。株価が高値を更新する中でも、金相場は崩れていないことも重要なポイントかもしれません。

投資家は金から株式に資金移動を進めているようですが、今の市場環境では割高に買われている株式から資金を引き出し、金に移すべきといえそうです。株価は上げるときは徐々に上げますが、大きく上昇した後に下げるときは、短期間で大きな幅で下げることが少なくありません。

その際には、投資家が現金化を急ぎ、保有している資産のすべてを売る可能性があります。そうなった場合には、金にも売りが出る可能性があります。しかし、そのようなケースでは、金は下げ幅が小さいケースが多く、立ち直りも早いのが特徴です。

また、金相場が下げると、安いところを買いたいと考える世界の中央銀行が買いを入れるものと思われますので、下値も限定的になるでしょう。このような行動がきわめて強い下値抵抗を作ることになりそうです。

また、繰り返すように、11月から2月は金相場が上昇しやすい期間です。1年間でもっとも売ってはいけない期間であることも念頭に置いておきたいところです。いまは1,485ドルから1,495ドルに上値抵抗がありますが、これを抜けるような動きになれば、再び高値を目指す展開になりそうです。

円建て金相場は5,200円を割り込んだ水準で推移しています。ただし、直近安値は下回っていません。この動きを続けていれば、いずれ反発する可能性もありそうです。現在の水準で下値を固めることができるかをまずは確認したいところです。そのうえで、5,200円を超える動きになれば、その動きについていく形で買いを検討したいところです。

現在の水準で買いを検討してもよいと思われますが、より安全性を重視すれば、上記のような対応が賢明と判断します。逆に安値を更新するようであれば、底値を確認することを優先させたいところです。

プラチナ:反発の展開

プラチナは反発しました。週初は先週の急落の流れを受けて下げましたが、860ドルにあるサポートを維持したことや、金相場の反発もあり、週末にかけて上昇し、889ドルで取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における11月12日時点のポジションは3万8459枚のネット買い越しとなり、前週から7,236枚減少しました。買いポジションが3,827枚減少し、売りポジションが3,409枚増加しました。ただし、週末にかけて値を戻しているため、投機筋が再び買いポジションを積み上げているかに注目しておきたいところです。

プラチナ相場は860ドルにあるサポートを維持して反発していることから、目先は上値を追う可能性があります。金相場も下げ渋っており、株式市場が不安定になり、金市場に関心が向くようであれば、その動きにつれる形でプラチナ市場にも目が向きやすくなるものと思われます。

一方、同じ白金族系メタルのパラジウムは、過去最高値を付けたあと、やや上値が重くなっています。パラジウムの割高感とプラチナの割安感の連想が強まれば、プラチナへの買い圧力が強まり、相場の押し上げにつながる可能性もありそうです。

また、先週はやや値を下げていた、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドが、対ドルで再び上昇し始めている点も、ドル建てで取引されるプラチナ相場の押し上げ要因になります。

南アランドが1ドル=14.65ランドを超えてランド高が進むようだと、プラチナ相場をサポートしそうです。上昇に転じた場合には、890ドルにある上値抵抗線、さらに節目の900ドル、915ドルがターゲットになります。これらを上抜けると、950ドルから960ドルを目指す展開になるものと考えます。

一方、860ドルを割り込んでしまうと、下げ基調入りになります。その場合には、840ドルから節目の800ドルを目指す弱い展開が想定されますので注意が必要と考えます。

円建てプラチナ相場は続落しました。ただし、3,100円を維持し、3,200円をうかがう展開にあります。底打ちから3,200円超えを試す動きになれば、早々に買いを検討したいところです。ただし、3,100円を割り込んだ場合には、下げを試す可能性が高まりますので、その場合には押し目買いを避け、底値を確認することを優先したいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:反発の展開

シルバーは反発しました。週初は前週の下げ基調の流れを引き継ぎ、安値を付けましたが、長期的なサポートを割り込まずに反発しており、辛うじて底割れは回避されている状況にあります。週末には16.94ドルと小幅に戻して引けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における11月12日時点のポジション3万7364枚のネット買い越しとなり、前週から買い越し幅が1万633枚減少しました。買いポジションが7,847枚減少し、売りポジションが2,786枚増加したことで、ネット買い越し幅が縮小しました。週末に下げ渋りの動きの中、投機筋が買い戻しを行っているかに注目しておきたいところです。

銀相場は引き続き材料不足の中、金相場や金融市場などの外部要因に影響を受けやすい地合いが続きそうです。金相場の上昇は引き続き支援材料になるものと思われます。まずは金相場の動向をしっかりと見ておくことが肝要です。

金相場が上昇すれば、銀相場はそれ以上に上昇するケースが多いため、短期間での上昇が狙えるといえます。その機会が近づいているように思われます。現在の水準で底値固めができれば、17.50ドルを超えて上昇に勢いがつくでしょう。

明確に上昇基調に入るには、17.70ドル超え、さらに18ドル超えが必要でしょう。まずは金相場の動向を確認したいところです。

一方、16.4ドルを割り込むようだと、長期トレンドを下回ることになり、基調は大きく崩れる可能性があります。現時点でそのような状況は想定していませんが、金相場が下げに転じるようだとそのような展開になる可能性もあります。現時点では上昇・下落の両方の可能性を念頭に置きつつも、上昇に備えておきたいと考えます。

円建て銀相場は値を下げました。安値圏でのもみ合いとなり、底値を固める動きに見えます。61円前後で辛うじて下げ止まっている格好であり、ここから反発できれば、その流れに乗る形で買いを検討したいところです。ただし、61円を明確に割り込んだ場合には、押し目買いを避け、節目の60円での下げ止まりをまずは確認したいと考えます。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成