先週のゴールド:上昇の展開

金相場は上昇しました。週初は小動きでした。株高や米金利の上昇が材料視される中、英国の欧州連合(EU)離脱法案の採決を控えて慎重な値動きとなり、狭いレンジ内を推移しました。

その後は、英国のEU離脱に向けた動きを英議会が一時停止させたことを受けて、金への逃避買いが強まりました。また、世界の主要中央銀行による追加利下げ観測も金相場を下支えしました。その後も小幅ながら上昇し、1,500ドル台を回復しました。

低調な米経済指標を受けて、追加緩和への期待が高まりました。週末には一時、10月3日以来の高値となる1,517.70ドルを付ける場面がありました。

しかし、トランプ米政権が中国との貿易協議について、一部分野で決着しそうだと発表したのを受けて株価やドルが上昇し、上げ幅を縮小しました。ただし、英国のEU離脱をめぐる不透明感が支援材料となり、引けでは1,503.11ドルと、1,500ドルの大台は維持しました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、10月18日の924.64トンから、10月25日には918.48トンに減少しました。株高基調を背景に、投資家が金への投資を減らしている可能性があります。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の10月22日時点のポジションは25万9132枚のネット買い越しとなり、前週から6,105枚増加しました。買いポジションが3,547枚増加し、売りポジションが2,558枚減少しました。

金相場が膠着する中、投機筋は小幅ながら買いポジションを増やしています。週末にかけて金相場が上昇する中、さらに買いを積み上げているかを確認したいところです。

円建て金相場は大幅上昇しました。ドル建て金相場の上昇に加え、為替相場が円安基調で推移したことが上昇につながりました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇基調へ

金相場は上昇基調に入ると考えます。米中通商交渉における「第1段階の合意」の手続きが進捗する中、金融市場では楽観的な見方が広がっており、これが株価や金利の上昇につながっています。しかし、金相場は下落せずにむしろ上昇しています。

投資家の買いがやや減少するなど、ややリスクオンの状況にありますが、一方で金相場が下がらないところを見ると、金への関心は依然として高い状態にあるものと考えられます。

今週は10月29・30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。市場では、7月と9月の会合に続いて0.25ポイントの利下げは完全に織り込まれています。そのため、注目点は会合後の声明文の内容と米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の会見となっています。

今後も利下げ基調を継続するのか、あるいはいったん利下げは終了し、今後の政策については経済データ次第とするのかがポイントになりそうです。利下げをコミットしない姿勢を示せば、これまで利下げを前提に上昇してきた株価はいったんピークアウトし、調整に入る可能性が高まると考えられます。

特に米国株はすでに割高圏で推移していることから、金利低下に歯止めがかかると、手仕舞い売りが強まることが想定されます。その場合には、投資家は警戒的な姿勢に転じる可能性が高く、金市場への関心が高まりそうです。

また、FRBが実施している月額600億ドルの財務省証券の買い入れに関しても、追加的な説明があるかもしれません。今後もこの政策が継続されるとなれば、短期金利が抑制される可能性があり、これも金市場にはポジティブに作用するものと考えられます。

市場の関心が高い米中通商協議や英国のEU離脱交渉については、ある程度は織り込まれており、過剰に反応する必要はないものと考えます。実体経済への影響もある程度見えているだけに、市場の反応に一喜一憂する必要もないでしょう。

むしろ、金利や株価の動きをよく見たうえで、投資マネーのフローがどのような動きになっているのかを注視すべきでしょう。

また、繰り返すように、季節性の面からも金は買い場にあります。統計的にも11月から2月は上昇しやすい傾向が鮮明であり、10月はその動きに備えてポジションを保有するのが得策と考えます。

1,500ドルを回復したのも、そのような潜在的な上昇圧力が背景にあるものと考えられます。そのため、いったん上向き始めると、株価の調整に合わせる形で上昇の勢いを強め、1,550ドルを目指す動きになるものと考えます。

円建て金相場は5,200円を割ることなく5,300円を超えたことから、強い動きに入りつつあります。前週に指摘したこれらのレンジを上抜けたため、上向きやすい地合いにあります。5,300円を回復したため、まずはこの流れに乗る形で買いを検討したいところです。

調整した場合でも、5,300円を割り込まなければ、押し目買いの機会と考えます。これから上昇しやすい期間に入るため、収益性が高いと考えられる今の投資タイミングを逃さないようにしたいところです。

プラチナ:大幅上昇の展開

プラチナは急伸しました。週初は横ばいでの推移でしたが、880ドル前後のサポートを維持する中、10月23日には急伸し、週末にかけて上昇基調が続きました。週末10月25日には一時938.6ドルまで上昇するなど、極めて強い動きになりました。週末は926.2ドルで引けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における10月22日時点のポジションは3万5716枚のネット買い越しとなり、前週から7,469枚増加しました。買いポジションが1,399枚増加し、売りポジションが6,070枚減少しました。

このデータが含まれる10月22日以降にプラチナ相場が急伸しているため、今週末発表のデータで投機筋が買い増しを行っているかを確認したいところです。

プラチナ相場はようやく水準を切り上げてきました。金相場が膠着状態にある中で上昇しており、売り手の買い戻しが入っている可能性が高そうです。まずはこの買い戻しが続くことで、上値を維持する可能性がありそうです。ただし、持続的な上昇には、金相場の上昇など外部要因のサポートが不可欠でしょう。

前週の金相場はそれほど上昇していませんので、プラチナ相場の上昇は金相場の支援ではなく、買い戻し主体で上げている可能性が高いといえます。この動きが続くことで、ある程度の上昇は想定されますが、それ以上の本格的な買いが入るには、金相場の上昇と需要の回復が不可欠でしょう。

金相場の上昇は十分にあり得るといえますが、プラチナ独自の材料にはあまり期待が持てません。そのため、値動きに関しては慎重に見ていくほうが賢明でしょう。もっとも、いったん上がりだすと短期間で相応の値幅になるのがプラチナ相場の特徴です。

この点を理解したうえで、直近高値の960ドル水準を短期間で試す可能性があることを念頭に置いておきたいところです。

また、この数週間解説してきたように、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドが対ドルで上昇していることも、ドル建てプラチナ相場を押し上げている可能性があります。

南アランドは直近では対ドルでやや上値が重くなっていることから、反落するようであればプラチナ相場には手仕舞い売りが出やすくなる可能性がありますので要注意でしょう。一方で、調整した場合でも、880ドルを維持できれば中長期的な上昇基調は継続していると判断してよいでしょう。

円建てプラチナ相場は急伸しました。米ドル/円相場が円安基調で推移する中、ドル建てプラチナ相場が急伸したため、円建て相場も急伸しました。節目の3,300円を超えたことから、3,500円を試す展開に見えます。そのため、今は上昇に追随する形で上値を買い上げていきたいところです。

下げた場合でも、3,300円を維持できれば、格好の押し目買いの好機になると考えられます。一方、米ドル/円相場の動きにも注意しながら見ておきたいところです。円安基調が続けば、これも円建てプラチナ相場の支援材料になるでしょう。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:急伸の展開

シルバーも急伸しました。週初はほぼ横ばいでの推移が続いていましたが、週末にかけて上昇し、週末には一時18.32ドルまで上昇するなど、きわめて強い動きになりました。週末は18.02ドルで取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における10月22日時点のポジションは4万6743枚のネット買い越しとなり、前週から買い越し幅が2,754枚増加しました。買いポジションが4,659枚増加し、売りポジションが1,905枚増加しました。

底堅く推移したことから、新規の買いが入る一方で、前週と同様に新たに売りポジションを作る動きもみられました。しかし、週末にかけて急伸していることから、最新のポジション動向を確認したいと考えます。

銀市場は独自の材料が見えない中、金相場は戻したとはいえ、高値では売りが出ており、依然として明確に強いとは言い難い状況にあります。独自の材料がないことから引き続き金相場の動きを頼ることになりますが、金相場が上げた場合には銀相場はそれ以上に上昇しやすい傾向があります。

金相場が上げやすい期間に入ることから、それにつれる形で銀相場も上昇基調が強まるようだと、投機的な動きになる可能性があります。そのような動きになれば、相応に強い相場展開になるものと思われます。

しかし、そのような値動きには常に注意が必要です。もっとも、このまま基調が維持され、18.80ドルを超えるようだと、かなり強い印象になるでしょう。その場合には、9月高値の19.64ドルを試すことも十分に想定されるでしょう。一方で、下げた場合でも、17.60ドルを維持できれば、再び上向く可能性は残ると考えます。

円建て銀相場は急伸しました。ドル建て銀相場と同様に、週末に大きく値を上げています。これで節目の65円を超えたことになり、上昇に勢いがつきやすい地合いとなりました。今は上昇についていく形で買いを検討したいところです。また、下げた場合でも、64円を維持できれば、押し目買いを検討したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成