先週のゴールド:反発の展開

金相場は反発しました。週初の9月30日は対ユーロでのドル高を背景に売られ、大幅続落しました。しかし、10月1日には一時2ヶ月ぶりの安値となる1458.50ドルを付けたあと、切り返しました。弱い米製造業指標が追加利下げ観測につながり、ドルが下落したことが金相場を押し上げました。その後も続伸しました。

米民間雇用統計が予想より弱い内容だったことなどから、米経済への懸念が強まったことから、安全資産としての買いが入り、10月3日には一時1,518.50ドルまで上昇する場面がありました。

週末10月4日も堅調でした。この日発表された9月の米雇用統計は強弱感が交錯する内容でしたが、金市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に積極的に利下げするとの見方が後退し、上げ幅を削りました。

9月の非農業部門雇用者数の伸びは前月比13万6000人と市場予想を下回りましたが、失業率が約50年ぶり低水準の3.5%となり、リセッションに至っているとの懸念が和らぎました。ただし、週末は1,504.35ドルと、節目の1,500ドルを超えて引けました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、9月27日の922.88トンから、10月4日には923.76トンに増加しました。投資家の金買いの動きは続いています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の10月1日時点のポジションは26万8993枚のネット買い越しとなり、前週から4万3451枚減少しました。買いポジションが4万7593枚減少し、売りポジションが4142枚減少しました。投機筋は金相場が下落する中、買いポジションを手仕舞う一方、売りポジションも買い戻しています。

円建て金相場は下落しました。ドル建て金相場は上昇しましたが、為替相場が円高に振れたことが下げにつながりました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇を想定

金相場は底堅い展開から上昇を想定します。先週は米経済指標の軟調な内容を受けて、米金利が低下したことから反発しました。

10月1日発表の9月の米ISM製造業景況感指数が2ヶ月連続で節目の50を割り込み、米国株が急落したことで利下げ観測が強まり、金相場が上昇しやすい素地が整いました。

10月4日発表の9月の米雇用統計では、強弱感が交錯したものの、米国株式市場では利下げ期待が高まったことで株価が上昇し、金市場では利下げ観測から金利が低下したことが買い材料視されました。

このように、金利低下が株式と金の両方の市場に好感されるという現象が確認できます。この金利低下は両市場にとって押し上げ要因になりますが、現時点では株式市場の方が不安定な状況にあると考えられます。ISM製造業景況感指数の大幅低下は、短期的な株安要因ですが、これが全く織り込まれていません。

将来的には、これまでの2回の利下げが効いてくることで、株価は上昇する可能性が高いと考えられますが、そのためにはまずは下落が必要な局面にあります。その意味でも、いまはまだリスクオフの状態にあるといえ、株安・金買いの動きになりやすいと考えられます。

米中通商交渉に関する閣僚級の会合が10月10・11日に実施される予定ですが、ここで新たな合意に至る可能性はほとんどないことから、この結果に失望する形で株価が調整する可能性があります。その場合にも、金相場は押し上げられるといえます。

また、季節性にも注目しておきたいところです。10月の金相場のパフォーマンスはよくありませんが、一方で11月から2月は上昇しやすい傾向が鮮明です。10月の安値を拾い、2月末まで保有すれば、リターンが獲得できる確率は過去8割を超えています。

これは、中国が国慶節や春節で金を買う習性があることや、クリスマス商戦で宝飾品向けの金需要が増加することなどが背景にあると考えられています。いずれにしても、このような明確な季節性は、金投資のタイミングを計るうえで、これまでのきわめて重要な指標になってきました。

また、直近でも節目の1,500ドルを回復するなど、上向き傾向になりつつあります。テクニカル的には上昇余地も残っていることから、上値を試すと考えておきたいところです。直近高値の1,535ドル、さらに9月4日の高値1,557ドルを超えるかに注目しておきます。

円建て金相場は一時5,200円を割り込んだことから、下落基調への転換リスクが高まりました。しかし、週末には5,300円を回復しており、上昇への足がかりが整いつつあります。ドル建て金相場が想定通り上昇に向かえば、多少の円高傾向を吸収する形で上昇に向かう可能性が高まりそうです。したがって、現在の水準から5,300円を超えるところで買いを検討したいところです。

プラチナ:底堅い展開を想定

プラチナは反落しました。9月30日には急落し、一時60ドル近く値を下げる場面がありました。その後も安値圏で低迷し、週末4日は876.5ドルで引けました。金相場は堅調に推移したものの、ほとんど材料視されませんでした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における10月1日時点のポジションは2万6598枚のネット買い越しとなり、前週から8,381枚減少しました。買いポジションが5,986枚減少し、売りポジションが2,395枚増加しました。

プラチナ相場はこれまでの高値もみ合いの動きから、大きく水準を切り下げる展開になっています。目立った買い材料がないことはすでに解説した通りですが、金相場の上昇だけでは上値を追いづらくなってきているようです。やはり、需給ファンダメンタルズの下支えがないと、少なくとも高値圏を維持するのは難しいようです。

また、プラチナ相場の低迷には、世界最大のプラチナ生産国である南アフリカの通貨ランドの低迷もあるようです。通常、生産国の通貨が下落すると、ドル建て価格は上値が重くなりやすい傾向があります。南アランドは昨年3月に対ドルで11.8891ランドの高値を付けましたが、その後はほぼ一貫して下落し、直近では今年8月に15.4975ランドを付けるなど、大きく下落しました。

こうなると、生産者はドル建てでプラチナを販売する一方、ランド安を背景に手取り収入が増えることになり、結果的にドル建てプラチナ価格が上昇しづらくなります。事実、南アランド建てのプラチナ価格は堅調さを維持しており、生産者が利益を確保できている様子がうかがえます。

このように、通貨の側面もドル建てコモディティの価格に影響を与えることが少なくありません。したがって、現在の南アランド安の傾向がある程度解消されることが、ドル建てプラチナ価格の本格的な反転の必要条件といえそうです。

短期的には860ドルにあるサポートを維持できるかを注視したいところです。この水準を維持できれば、上昇に向かう可能性は残るといえそうです。その場合には、890ドルを超えることで、再び920ドル前後程度までの反発が期待できそうです。

逆に、860ドルを割り込むと、これまでの上昇相場はいったん終了し、下値を確認することになります。その場合には、830ドルでの下げ止まりをまず確認することになりそうです。

円建てプラチナ相場は続落しました。ドル建てプラチナ相場の下落と円高傾向を背景に大きく値を下げています。高値圏を維持していた際のサポートだった3,300円を割り込んだことで、大きく水準を切り下げる展開になっています。節目の3,200円も下回ったことで、目先は3,100円を維持できるかを確認することになります。

ここをサポートできれば、買いを検討したいところです。ただし、割り込んだ場合には、下げ基調が続きそうです。その場合には、節目の3,000円で下げ止まるかを確認し、そのうえで押し目買いを検討したいところです。

逆に3,200円を回復すれば、上昇基調への回帰が期待できるため、その時点で買いを検討してもよさそうです。いずれにしても、ドル建てプラチナ相場の動きを確認することが肝要でしょう。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:ほぼ横ばいの推移

シルバーはほぼ横ばいでの推移となりました。ただし週初は続落しました。金相場の下落に影響を受け、10月1日には一時16.85ドルまで値を下げる場面もありました。ただし、その後は下げ渋る中でわずかに水準を回復し、週末には17.55ドルで引けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における10月1日時点のポジションは4万9815枚のネット買い越しとなり、前週から914枚減少しました。買いポジションが4,035枚減少し、売りポジションが3,121枚減少したことで、ネットの買い越し幅が縮小しました。

銀相場が下落基調にある中、買い方が買いポジションを整理するとともに、売り方は利益確定の買い戻しを入れていることがわかります。銀市場では目立った材料がない状態が続いており、金相場次第の状況が続いています。

しかし、一時の高値更新の勢いには陰りも見えるため、いまはまだ明確な方向性が見出しにくいといえます。まずは金市場の動きに注目することが肝要でしょう。

そのうえで、銀相場そのものの値動きを注視したいところです。目先は16.85ドルがサポートになっています。そのため、まずはここをサポートできるかを確認したいところです。

逆に17.80ドルを上抜くようだと、再び上値を試しやすくなります。そうなれば、9月24日につけた直近高値の18.73ドルを試す動きになりそうです。金相場の動向を見ながら、銀相場の重要な節目に注目しておきたいところです。

円建て銀相場は続落し、一時直近安値を更新しました。ドル建て銀相場の下落が影響しています。ただし、節目の60円は維持しており、ドル建て銀相場が反転すれば、回復の可能性は残ると思われます。その場合には、63円を超えるのをまずは確認したいところです。63円を超えてくれば、買いを検討できるでしょう。

もちろん、60円を割り込むような下げになった場合には、下げ止まるのを待ったうえで買いを検討することになります。その場合には、相当慎重な対応が必要になるでしょう。また、円高基調になれば、円建て銀相場への下げ圧力が強まりますので、為替動向にも注意しながら対処したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成