先週のゴールド:反発の展開

金相場は反発しました。金相場は1%上昇。サウジアラビアで石油関連施設が攻撃されたことを受けて、中東情勢が緊迫化するとの懸念が高まり、安全資産とされる金が買われました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待が相場を支えました。

しかし、9月17・18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FRBは市場の予想通りに利下げしたものの、将来の金融政策について明確な手掛かりに欠けたことから、金相場を圧迫しました。

FRBは市場の予想通り、今年2度目となる0.25ポイントの利下げを決定しましたが、政策の先行きに関しては曖昧な印象を与えました。これを受けて、金相場は一時1,484.16ドルまで値を下げる場面がありました。その後はドル安を背景に反発しました。

FRBが追加の金融緩和に高いハードルを設けると示唆したことを受けて、投資家は今後の金利見通しの明確な方向性を探る展開となりました。

週末には上昇し、1,516.75ドルで引けました。引き続き、中東情勢の緊張を背景とした安全資産としての買いが金相場を支える構図となりました。

一方、米国は先週末のサウジアラビア石油施設への攻撃を受けて、イラン中央銀行に対する制裁措置を発表するなど、両国の関係の緊迫化が高まっており、これが金相場の下値を支える構図となっています。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、9月13日の874.51トンから、9月20日には894.15トンに増加しました。ただし、週末にかけて調整色が強まっており、投資家の金買いの動きが弱まっている可能性があります。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の9月17日時点のポジションは28万2599枚のネット買い越しとなり、前週から1万2874枚増加しました。買いポジションが7,397枚増加し、売りポジションが5,477枚減少しました。

円建て金相場は小動きでした。為替相場が円高基調になりましたが、ドル建て金相場が上昇したことで、値動きが相殺される格好となりました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:反発の動きを想定

金相場は徐々に反発基調を強める動きを想定します。市場が注目したFOMCでは、FRBが政策金利を0.25ポイント引き下げ、年1.75~2.00%にすることを決めました。

米中貿易摩擦や世界経済の減速を受けて不確実性が残っていると判断し、7月に続いて利下げに踏み切りました。

声明では「景気が緩やかに拡大した」と判断したものの、貿易摩擦や世界経済減速、インフレ率の2%目標未達など「先行きに不確実性が残っている」と警戒感を表明しました。さらに、「景気拡大の持続に向け適切に行動する」と改めて強調し、10月以降の追加金融緩和に含みを残しました。

パウエル議長は記者会見で、「リスクに対する保険をかけるために措置を講じた」「リセッションは予想していない」として、「予防」として小幅利下げにとどめたとの認識を示しました。

政策決定では投票権を持つ10人のうち3人が0.25ポイントの利下げに反対しました。1人は0.5ポイントの大幅利下げを主張し、2人が据え置きを求めました。

また、FRBが公表した会合参加者17人による政策運営の見通しでは、年内の利下げ打ち止めが示唆されました。ただし、7人はさらに1回の追加利下げを見込みました。さらに、2019年の実質GDP伸び率は2.2%(6月時点2.1%)、2020年は2.0%(同2.0%)に減速すると予想しました。インフレ率が目標の2%に到達する時期は2021年に据え置きました。

FOMCの結果は市場の予想通りでした。反対者も7月と同じです。ただし、年内の利下げ回数がゼロになったことは、FOMC参加者の本音を示しているといえます。市場の圧力に屈して仕方なく利下げをしたというのが本音でしょう。

パウエルFRB議長の会見も、予防的な利下げとしながらも、本音は利下げしたくないということがうかがえます。むしろ、金利上昇の可能性が出てきているため、利下げはしたくないということです。

今回のFOMC関係者のドットチャートは、その意味では久しぶりに「市場動向をよく理解している」と評価してよさそうです。とはいえ、パウエル議長やクラリダ副議長が言明するように、今後の政策運営は「指標次第」です。固定観念を持たずに、市場動向を見ていくことが肝要です。

FOMCを通過したことで、市場の関心は再び米中通商交渉の行方に向かいそうです。これまでトランプ大統領は、交渉に関して楽観的な発言をしたり、逆に懸念を示したりと、一定のリズムで硬軟両方の発言を繰り返し、市場を混乱させてきました。

しかし、ここには一定の意図も感じます。トランプ大統領が交渉に関して懸念を示すことで株価が急落する際には、その直前に株価は必ずといってよいほど高い水準にあります。

したがって、トランプ大統領の発言は、株価の過熱感を一定程度冷やす効果があります。しかし、株価が急落すると、今度は楽観的な見方を示し、株価の急落を回避させてきました。このリズムを理解することがきわめて重要であるといえそうです。

米国は「株価資本主義」ですので、株価が大きく下げると、個人消費が減少し、GDP成長率が低下します。それを避けるために、基本的には株価が上昇するように政策を打ちだします。この点を理解したうえで、金融市場や金相場の動きを見ていくことが肝要です。

短期的には、株式市場にやや上値の重さが感じられます。米中通商協議への懸念が高まっていることが背景にあります。市場がそれを感じ取っていることが、現在の金相場の底堅さの背景にあるといえます。

FRBは金利を低下させましたが、重要なことは、市場金利が低い水準を維持し、さらに地政学的リスクなどが高まることが、金相場の上昇の必要条件になります。特に短期的には、安全資産として買われることは、金相場の上昇には不可欠といえます。

1,480ドルをサポートしたこともあり、いまは徐々に下値を切り上げる動きにあります。直近高値の1,557ドルを上抜けるかを確認したいところです。もっとも、繰り返すように、米実質金利から見た金価格の理論値は1,400ドル台です。

いまの金相場の水準はすでに割安ではないことは念頭に置いておきたいところです。逆に1,480ドルを割り込むと、これまでの上昇基調はいったん終了です。この点も注視しておきたいところです。

円建て金相場は一時5,300円が重い状況にあります。ドル建て金相場の上昇を円高が相殺しており、膠着感が強まっています。ドル建て金相場がある程度上昇しないと、円建て金相場は上昇しづらい地合いにあります。

下値は5,200円ですが、これを割り込むとこれまでの基調が崩れることになります。その場合には、いったんポジションを解消し、次のサポートを確認することを優先したいところです。逆に5,300円を超えてくれば、強い動きに転じることができそうです。その動きを確認したうえで、買いを検討したいと考えます。

プラチナ:続伸の展開を想定

プラチナは続伸しました。週前半は調整色が強い展開でしたが、週末に向けた金相場の反発を受けて、プラチナ相場も上昇しました。9月23日には一時962ドルまで上昇するなど、堅調な動きを示しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における9月17日時点のポジションは3万3648枚のネット買い越しとなり、前週から1,271枚減少しました。買いポジションが5枚減少し、売りポジションが1,266枚増加しました。

週前半の膠着感から、投機筋は小幅にポジションを縮小させました。しかし、週末にかけて相場が上昇しており、その際に再び買い直しているかを週末発表の最新データで確認したいところです。

直近の値動きを見ると、中期上昇トレンドに支えられる形で下値は支えられてきました。その中で上値を切り上げており、短期的には上値追いが期待できそうです。もっとも、これはあくまで短期の資金フローを背景としたものになりそうです。需給面でのサポートを期待するのは引き続き難しいと考えられます。

最大のディーゼル車市場である欧州では、8月のEUの新車販売台数(乗用車、マルタを除く)は前年同月比8.4%減の104万1856台でした。EUの新燃費試験法導入を直前に控えて販売が急増した昨年8月の反動もあり、2ヶ月ぶりのマイナスとなりました。

7月の販売台数は1.4%増の129万4506台でした。1~8月の累計販売台数は前年同期比3.2%減の1,052万238台と、引き続き軟調な数値になっています。

これらを見る限り、ディーゼル車に搭載される自動車触媒向けのプラチナ需要の劇的な増加は見込みづらいといえます。この点は繰り返し指摘している点ですが、常に念頭に置いておきたい材料でしょう。

もっとも、プラチナ相場自体は短期的には市場センチメント次第で変動しそうです。下値を切り上げていますので、買われやすい地合いにあるといえます。9月5日につけた997.15ドルの直近高値を超えるのか、ダブルトップを付けて反落するかを確認したいところです。

円建てプラチナ相場は反落しました。ドル建てプラチナ相場は堅調でしたが、為替相場が円高基調になったことが上値を押さえました。3,400円に絡む動きとなっており、この水準からどちらに放れるかを見ていくことになります。

放れたほうに動きやすいと考えられますので、まずは3,300円を割り込んだ場合には、手仕舞い売りを検討したいところです。そのうえで、サポートを確認したいところです。

一方で、3,500円に向かう展開にあれば、上向く可能性が高いといえます。その場合には、その動きについていく形で上値を買っていくことを検討したいところです。ただし、引き続き為替相場の動向にも注意しておきたいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:急伸の展開

シルバーは先週末、小動きでしたが、週明けの市場で急伸しています。9月23日には18.6ドル台で終了しており、再び上値を試す展開になっています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における9月17日時点のポジションは5万5978枚のネット買い越しとなり、前週から4,253枚減少しました。買いポジションが5,788枚減少し、売りポジションが1,535枚減少したことで、ネットの買い越し幅が縮小しました。

引き続き買い手と売り手の両方がポジションを縮小させており、やや気迷いの感があります。しかし、週明けの市場で急伸しており、基調が再び強まりそうです。

直近までは金相場の調整を受けて、軟調に推移していました。また、高値を付けたこともあり、手仕舞い売りが出たことも、上値を抑えてきたといえます。しかし、下値を徐々に切り上げる展開となり、上値を試しやすい地合いになりつつあったところで、週明けの市場で金相場が上値を試したことで、銀市場にも買いが戻ってきたといえそうです。

目先の投機的に上昇した相場を見た投機筋が、再び高値を付ける可能性に賭け、新規で買ってきている可能性があります。その場合には、9月4日に付けた19.64ドルの高値を試す可能性もありそうです。

テクニカル指標でも上昇余地があることが示されており、過熱感はありません。そのため、いったんは上値を試すことになりそうです。ただし、上値を追いきれずに18ドルを割り込むようなことになれば、急落リスクもありますので、慎重に見ていくことが肝要です。

円建て銀相場は軟調に推移しました。ドル建て銀相場の上値の重さに加え、円高基調になったことが上値切り下げの動きにつながりました。しかし、ドル建て銀相場が急伸しており、これを背景に目先は上値を試しそうです。

66円を超えてくると、直近高値の69円水準を試しそうです。もっとも、そのためにはドル建て銀相場の上昇に加え、為替相場のサポートも必要でしょう。円高基調が続くようだと、上値を抑えられる可能性もありますので、要注意といえそうです。

逆に63円を割り込むようなことになれば、下値を試す可能性が高まります。その場合には、押し目買いを避け、下値を確認することを優先させたいところです。銀相場は再びボラティリティが高まりそうです。注意深く市場動向を見極めたいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成