英国議会のEU離脱を巡る荒れ模様、ブラジル・アマゾンの火災、米国同様の自国第一主義指導者による政治は世界経済のみならず人々の生活上の不安につながります。

前回のコラム「消費税増税による負担増はどれくらい?」では、消費税増税後の家計負担について取り上げ、負担以上のリターンが家計にあると強い味方になること、そのためには預貯金だけでは足りないことを書きました。今回はその対策について考えていきましょう。

いざとなったら解約できるNISAを活用する

それは増税に対しては非課税で対抗するという方法です。

以前、老後2,000万円問題について取り上げたときに、圧倒的な非課税効果のある長期投資向けの制度としてiDeCoをご紹介しました。

>>投資利回りアップに効果が期待できるiDeCoの税制優遇

非課税効果としてはiDeCoが最も効果的ではありますが、老後資金形成を主に目的としているいわゆる「年金」なだけに60歳までは原則引き出すことができません。

それに対し、NISAとつみたてNISAは長期的に運用しつつも、いざとなったら解約して引き出せる、でも引き出さない限りは非課税で運用できる、という痒いところに手が届く制度と言えます。

【図表1】NISAとつみたてNISAのちがい
※1口座を開設する年の1月1日時点で、20歳以上の日本の住居者、または、20歳以上で恒久的施設を保有する非住居者が対象です
※2ロールオーバーとは、NISA(一般NISA)で購入した株式・投資信託等を、非課税期間(5年間)が満了する際にその翌年のNISA非課税投資枠へ移すことを言います。ロールオーバーによって実質的に非課税期間を延長することができます
出所:マネックス証券作成‐NISA(少額投資非課税制度)

NISAとつみたてNISAは、年間の非課税投資枠、非課税期間、投資対象商品、買付方法などに違いがありますが、いずれも投資で得た利益が非課税になります。

また、同時(同一年)に併用はできないものの、切り替えることができます。その年の非課税枠を使っていなければその年中に、使用済みであれば翌年からの切り替えです。

また、NISA口座は1人1口座という決まりがありますが、口座開設をしている金融機関を変更することも可能です(非課税投資中の残高は、そのまま変更前の金融機関で非課税期間終了まで非課税運用を継続できます)。

つみたてNISAは厳選されたラインナップで投資初心者向け

NISAとつみたてNISAは、長期投資を前提に少額ずつ買い付けして分散投資を図るという運用方法にどちらも適しています。自身で数多くの上場株式、ETF、投資信託等から投資対象商品を選択するのは、まだハードルが高いという投資初心者であれば、厳選された投資信託が投資対象商品としてラインナップされているつみたてNISAで始めてみるのが良いでしょう。

つみたてNISAは年間の非課税投資枠が40万円と少なめではありますが、前回コラムの表でもご紹介したように、一般的な家計では投資に回せる資金は残念ながら多くはなく、年収1,048万円以上のクラスでも有価証券の購入額は年間10万円未満というのが実態です。

【図表2】年間収入十分位階級別年間金融資産の純増分
出所:「家計調査 / 家計収支編 総世帯 詳細結果表 表番号3」(総務省統計局) 【2019年8月利用】
※「家計調査結果」(総務省統計局) を基に執筆者作成 

運用額を増やすなら非課税投資枠が120万円あるNISAへ

そういう意味では年間上限40万円のつみたてNISAで一見十分なように思えます。ただ、年収258万円以上のどのクラスでも預貯金の純増は年間59万円以上あります。ですので、つみたてNISAはスタートラインとしては良いのですが、運用はこれのみというのは少々心もとなく、もう少し投資に資金を回すことも考えたいところです。

投資に少し慣れてきたのでさらに運用金額を増やしたい、上場株式やETFなどにも挑戦したい、国内のみならず米国株や中国株も!と投資に一層の関心が出てきたら、非課税期間は5年と短くはなりますが、非課税投資枠が120万円あるNISAにスイッチすると良いですね。

制度上注意すべき点はまだいくつかありますが、消費税増税に対抗してこれから投資を始める場合、非課税というのは確実におトク度が高くなりますので、ぜひ検討してみましょう。