先週のゴールド:急伸の展開

金相場は急伸し、週初から値を上げました。米中貿易摩擦の激化を嫌気した投資家が高リスク資産を売り、金など安全資産を買いました。ドル安も金相場を押し上げました。

一時は2013年5月以来の高値となる1,469.60ドルを付けました。その後も上昇を続け、8月7日には6年超ぶりに1,500ドルを突破しました。米中貿易摩擦や世界経済の減速など多数の不安定要因に動揺した投資家らが安全資産である金を買い進め、一時は2013年4月以来の高値となる1,510ドルを付けました。

8月8日には大幅高となった後を受けて利益確定の売りが出たことで反落しました。米欧を中心に世界の株価が持ち直し、投資家のリスク警戒感が緩んだことが手仕舞い売りを促しました。週末8月9日も利益確定売りがやや優勢となり小幅続落し、1,496.84ドルで引けました。ただし、週間ベースでは3.5%上昇しました。

トランプ政権が中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)に対する制裁緩和を先送りしているとの報を受けて、前日に一時1,521.10ドルの高値をつけましたが、その後は利益確定売りが優勢となり、結局は1,500ドルをやや下回って引けました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は8月5日の835.16トンから、8月12日には847.77トンに増加しました。投資家の金買いの勢いがさらに増していることが確認できます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の8月6日時点のポジションは、29万2545枚のネット買い越しとなり、前週から3万8157枚増加しました。買いポジションが3万8344枚増加し、売りポジションも187枚増加しました。

堅調に推移する中、投機筋は買いポジションをさらに積み上げています。また、週末にかけてさらに相場が上昇していることから、投機筋がさらに買いポジションを積み上げている可能性が高そうです。週末のデータで確認したいところです。

円建て金相場は上昇しました。為替相場は円高基調で推移しましたが、ドル建て金相場が上昇したことで値を上げました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:引き続き高値圏での推移を想定

金相場は高値圏で推移が続くと考えます。市場では、世界的な金利低下の動きに注目が集まっています。先週もニュージーランドやインド、タイの中央銀行が相次いで利下げを決めるなど、世界的な金融緩和の流れが意識されたことで、金相場は6年4ヶ月ぶりに1,500ドルの節目を突破しました。

前週末も、トランプ米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)に対して1.0%の大幅利下げを要求する場面がみられるなど、市場への利下げ圧力が強まっており、これが金利を生まない資産である金への資金流入を支えています。今後も市場によるFBRへの利下げ圧力は続くものと思われ、金利の低下傾向が継続すれば、金相場の上昇を支える可能性があります。

フェドウォッチによると、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)における0.25%ポイントの利下げ確率は100%となっており、すでに利下げが織り込まれています。さらに、10月のFOMCでの利下げも7割以上の確率で織り込まれており、市場における利下げ圧力はさらに強まっています。

また、トランプ米大統領が中国に対して強硬姿勢を変えておらず、8月9日も中国との貿易協議で「合意する準備ができていない」と発言し、9月上旬に米ワシントンで予定されている閣僚級協議の開催が不透明であるとしたことも、不安感を誘っています。ファーウェイと米国企業との取引を厳しく取り締まる方針も改めて示しており、投資家のリスク回避姿勢の強まりも金相場を支えるものと思われます。

このように、金市場を取り巻く環境はきわめて良好であり、引き続き投資資金の流入が金相場の下値を支えるものと思われます。すでに節目の1,500ドルまで上昇したことで目先の達成感もある中、市場では「2,000ドルまで上昇する」などといった強気な見通しがまだ聞かれません。このような強気な声が強まれば、相場はいったん天井を付けることが多いといえますが、まだそのような状況にはなっていないようです。

したがって、まずは節目の1,500ドルを回復し、さらに上値追いとなるかに注目したいところです。そのうえで、周辺材料が金市場を支えるようであれば、さらに節目の1,550ドルや1,600ドルを目指すと考えておきたいところです。

また、調整した場合でも外部環境に大きな変化がなければ、押し目買いが下値を支えることになりそうです。その場合、1,450ドルを維持できれば、上昇基調は継続していると考えてよさそうです。

円建て金相場はこれまで抑えられてきた5,100円を超えて、一時5,200円を超える場面もありました。100円単位で水準を切り上げる動きにあり、今後もそのような動きに注目したいところです。

ドル建て金相場が堅調さを維持できれば、金価格の予想は再び5,200円を超えて上昇しそうです。これまで保有しているポジションは、5,100円割れまでは維持してよさそうです。また、5,200円を回復して、さらに上値を試すようであれば、その流れについていく形で買いを検討したいところです。

また、調整した場合でも、5,000円でサポートを確認できれば、その段階で徐々に買いを検討したいと考えます。ただし、夏場は円高になりやすいことから、上値が抑えられる可能性がある点に注意が必要です。

プラチナ:反発の展開

プラチナは反発しました。前週の下落の流れが止まる一方、金相場が堅調に推移したことで、値を戻しました。7日には869ドルまで戻しましたが、直近高値の884ドルを超えられなかったこともあり、週末はやや値を下げて859ドルで引けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における8月6日時点のポジションは2万1944枚のネット買い越しとなり、前週から3,824枚減少しました。買いポジションが2,373枚減少し、売りポジションが1,451枚増加したことで、ネットの買い越し幅が縮小しました。

8月6日までは安値圏で推移していたことから、買い方の手じまい売りが進んだものと思われます。その後は週末にかけて反発しており、最新のデータで投機筋の動向を確認したいところです。プラチナ相場は高値圏を維持しています。

金相場の上昇が材料視されていますが、これまでに比べても下値が堅くなっており、上昇基調も維持されています。そのため、金相場が崩れない限り、基調は維持されそうです。

また、前週もこれまで重要な節目として取り上げてきた840ドルをサポートし、下値をも堅くなっているように思われます。そのため、金相場の上昇につれて水準を切り上げるかに注目したいところです。

今のところ、投資マネーを中心とした買いが下値を支えているため、今後はこれらの資金流入が維持されるかにも注目しておきたいところです。また、株価が調整局面に入ると、工業用向け需要がメインであるだけに、景気との連動性が意識されることで売りが出やすくなります。この点にも注意が必要でしょう。

また、ディーゼル車向け触媒需要の減退懸念には常に注意が必要です。ドイツの7月の乗用車生産台数は前年同月比5%減の35万9400台でした。輸出台数は6%減の28万8000台と引き続き不振です。1~7月累計の生産台数は前年同期比12%、輸出台数は14%それぞれ減少しており、今後もこれらの動向には注意したいところです。

プラチナ相場は、目先は直近高値の884ドルを上抜けるかどうかに注目しておきます。これを超えると、4月の高値914ドルが視野に入ってきます。さらにこれを超えると、昨年5月の929ドルなどが視野に入るでしょう。

そのような動きになるには、やはり金相場の上昇は不可欠と考えられます。一方で、下値は引き続き840ドルでサポートされるかを注視しておきたいところです。

円建てプラチナ相場は上昇しました。先週末の下値を割り込まず、節目の3,000円も維持しています。このような動きが続きドル建てプラチナ相場は上昇すれば、3,100円超えから再び3,200円を試す動きになるものと思われます。その動きを確認したうえで、買いを検討したいところです。

逆に節目の3,000円を割り込んだ場合には、一転手仕舞いし、下値を確認したいところです。3,000円を割り込まなければ、上昇基調は継続していると判断してよさそうです。ただし、夏場は円高になりやすいことから、上値が抑えられる可能性がある点には注意が必要でしょう。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:急伸の展開

シルバーは急伸しました。金相場の堅調さや株価の下げ止まりなどから、活発な取引が行われ、7日には一時17.23ドルまで上昇する場面がありました。週末にかけてやや値を下げましたが、それでも高値圏を維持し、16.94ドルで週末の取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における8月6日時点のポジションは、4万9832枚のネット買い越しとなり、前週から1万4465枚減少しました。買いポジションが5,248枚減少し、売りポジションが9,217枚増加しました。

8月6日までは前週の高値を上回れずに横ばいで推移したことから、それまでの上昇により収益を獲得した向きが手仕舞い売りを出したものと思われます。しかし、その後は相場が急伸しており、投機筋が新たに買いポジションを積み上げている可能性が高いものと思われます。週末発表のデータで確認したいところです。

銀相場は突然上昇したかのように見えます。これが銀相場の特徴です。以前より、高いボラティリティを伴って、短期間で急速に水準を切り上げることがあります。今回は、それまで重かった15.50ドルを上抜けたところから急伸し始めており、テクニカル主導での投機的な買いが入っているといえます。

このような動きになった場合には、いったんはついていくのが賢明です。その後も16.60ドルまで上昇した後、いったんは16ドルを割り込むところまで調整したものの、上昇基調は維持されたことから、再び買いなおされて高値を付けています。

このように、上昇と調整を繰り返して水準を切り上げる動きは、きわめて強いといえます。このパターンが続く限り、基調は堅調さを維持すると考えられます。もっとも、金相場が調整した場合や、前回のサポートレベルを下回った場合には、注意が必要と考えます。現時点では、16.60ドルを維持できるかがポイントになりそうです。

逆に直近高値を上抜けた場合には、昨年6月の高値17.31ドルや同年4月の高値17.35ドルが視野に入るでしょう。これらも上抜けるようだと、相当強い相場になっているはずです。そのような動きになる可能性は十分にあると考えます。

ただし、銀は工業用需要がメインでもあることから、米中貿易摩擦の再燃や景気減速懸念などは上値を抑える要因になりやすいといえます。また、株安などの動きにも要注意でしょう。

円建て銀相場は急伸し、直近高値を上回りました。節目の60円を超える場面もありましたが、引けではそれを下回りました。ただし、基調は強いといえます。保有しているポジションは、59円割れまでは維持しながら、上昇を狙いたいところです。

60円を超えてサポートを形成できれば、その時点で買いを検討してもよいでしょう。ただし、59円を割り込んだ場合には、下押し圧力が強まりそうです。いったん手仕舞い売りを行うのが賢明でしょう。いずれにしても、まずはドル建て銀相場の動きをよく見ておくことが肝要です。また、夏場は円高になりやすいことから、上値が抑えられる可能性がある点には注意したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成