先週のゴールド:高値更新の展開

金相場は下落しました。ただし、高値圏は維持しています。週初は横ばいで推移しました。翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利に関する決定が想定される中、取引が手控えられました。ただし、中東での政治的緊張が金相場を下支えしました。

その後は小幅下落し、1週間ぶりの安値を付けました。さえない米経済指標が支援材料になったものの、ドル高に圧迫されて一時は7月17日以来の安値となる1,413.80ドルまで下げました。その後は、主要中央銀行が金融政策のハト派色を強めるとの期待に支援されました。

また、ドル相場が対主要通貨で7週間ぶりの高値を付け、米国株も過去最高値をつけましたが、金相場への影響は限定的でした。その後は下落しました。

FOMCに注目が集まる中、7月25日に開催された欧州中央銀行(ECB)の定例理事会で、緩和的な金融政策への転換を決定したものの、堅調な米経済指標が材料として勝る形となり、金は1週間ぶりの安値を付けました。一時は1,410.77ドルと、7月17日以来の安値を付けました。7月26日には上昇しました。

米国内総生産(GDP)が予想を上回る増加となりましたが、物価上昇率が伸び悩んだことで利下げへの期待感が持続しました。週間ベースでは、3週間ぶりの下落となりました。

4~6月期の米実質GDP速報値は、年率換算で前期比2.1%増加しました。物価上昇率は加速しましたが、引き続き緩やかな傾向が示されました。同期の上昇率は1.8%となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を下回りました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は7月19日の820.49トンから818.14トンに減少しました。7月22日には一時825.18トンに増加する場面がありました。この水準は今年1月末以来であり、投資家の金買いの動きが戻ってきていることがわかります。

CFTC(米先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の7月23日時点のポジションは25万1250枚のネット買い越しとなり、前週から5,749枚増加しました。買いポジションが2,346枚増加し、売りポジションが3,403枚減少しました。相場が高止まりする中、投機筋は買いポジションを積み上げ、売りポジションの解消を進めています。

円建て金相場は下落しました。ただし、節目の5,000円を維持するなど、高値圏を維持しています。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:引き続き高値圏での推移を想定

金相場は高値更新の動きが続くと考えます。ただし、FOMCでの決定内容とそれに対する市場の反応次第では、大きく変動する可能性があります。

ECB理事会は金にはサポート要因にはなりませんでした。理事会当日は、ドラギ総裁の発言が想定よりもややタカ派的だったことが嫌気され、金にとっては売り材料だったといえます。

一方、市場の関心はFOMCの結果に向かっています。いまのところ、0.25%の利下げが確実視されています。一部には依然として0.50%の利下げを期待する声もありますが、拙速な利下げは将来の利下げ余地の低下につながるため、今回はやはり0.25%にとどまるでしょう。市場ではすでに織り込み済みですので、この点だけに関して言えば、市場の反応は限定的でしょう。

ポイントは、今後の金融政策について、重視するポイントを明言するかにあります。9月以降の利下げの可能性を示唆するのか、あるいはいったん打ち止めとするのか、様々なケースが考えられます。

しかし、最終的には「データ次第」などの文言にとどまり、明確な方針を示すことをせず、結論を9月以降に先延ばしすることが考えられます。その場合、市場がどのように反応するかをまずは確認することになるでしょう。いずれにしても、今の金市場の堅調さが、低金利を背景にしていることは間違いないところです。したがって、利下げの打ち止め感や、市場金利の上昇などがみられるようだと、金には売りが出やすくなると考えられます。

一方で、株安傾向が鮮明になれば、安全資産としての金買いが加速する可能性もあります。その場合には、7月19日の高値である1,452ドルを超えるかを確認したいところです。一方、利下げ織り込みで1,400ドルを割り込むようだと、いったん調整する可能性が高そうです。その場合、1,380ドル程度まで調整が進む可能性があると考えておきたいところです。

金融市場では、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BOAメリル)は投資家に対して、夏場も強気姿勢を保つよう呼び掛けているもようです。予想されている米利下げで、新興国株式などのリスク資産が上昇するとみていることが背景にあるようです。

過去1週間で合計71億ドルが世界の主要な地域の株式市場から引き揚げられ、137億ドルが安全資産とされる債券に流れ込んだもようです。債券への資金流入は29週連続です。このように、投資家の資金は依然として債券市場に流入しています。

しかし、BOAメリルの投資ストラテジストは、株式などのリスク資産に対して夏場も引き続き強気な見方を示しています。ただし、これらの見方は、今後も低金利状態が継続することを大前提としています。

景気悪化などで社債の償還に問題が出るなどの事態になれば、金利が上昇し、現在の多くの投資家が行っている投資戦略の大前提が崩れることになり、金融市場は大きな影響を受けることになるでしょう。その際に、金が買われるのか、それとも金利上昇で売られるのかは極めて難しい判断といえます。

今すぐにこのような状況になるとは考えにくいところですが、将来のリスクとして頭の片隅に置いておきたいところです。

円建て金相場は節目の5,000円を維持できるかがポイントになりそうです。下値を切り上げて上昇基調は維持されています。したがって、5,000円を維持しているうちは、ポジションを維持しながら、さらなる上昇を狙いたいところです。

ただし、割り込めば、いったん手仕舞い売りを行い、底値を確認したいところです。これまで堅調に推移してきただけに、いったん下げ相場になった場合には、調整が深く、長引く可能性もあります。押し目買いは慎重に行いたいところです。

プラチナ:高値更新の展開

プラチナは続伸し、直近高値を更新しました。週初こそやや値を下げましたが、その後は順調に水準を切り上げ、25日には今年5月以来となる884ドルまで上昇する場面がありました。ただし、その後は上値を切り下げ、週末は860ドルで引けました。

CFTC(米先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における7月23日時点のポジションは2万890枚のネット買い越しとなり、前週から5,298枚増加しました。買いポジションが2,306枚増加し、売りポジションが2,992枚減少しました。相場の上昇を受けて、投機筋は前週と同様に売りポジションの解消に加え、買いポジションの積み増しも始めています。

プラチナ相場は、これまで重かった840ドルを超えて、これを維持する展開に移行し始めています。金相場や銀相場が高値を更新する中、プラチナ相場もようやく高値を目指し始めたように見えます。

繰り返すように、欧州を中心にディーゼル車の販売台数が低迷しており、プラチナ需要の主要な部分を占めるプラチナ触媒向けの需要の低迷が懸念されてきました。こうした材料で、需要の抑制につながるとの連想がプラチナ相場の上値を抑えてきた経緯があります。

しかし、現在の市場において、この材料を織り込みながら上昇しているとすれば、投資家のマネーフローが相場を押し上げる可能性も出てくるでしょう。

「プラチナ相場は金や銀に比べて出遅れ感がある」などといったことがテーマになれば、そのような値動きに移行し、節目の900ドルを試す可能性もありそうです。逆にプラチナ相場の押し上げ要因である金相場が反転するようであれば、プラチナ相場も影響を受けることになりそうです。

860ドルは短期的な上昇基調をサポートする水準と判断していますが、これを割り込むと、再び840ドルを維持できるかを確認することになります。維持できれば、再び上昇に転じる可能性が残りますが、割り込んだ場合にはいったん調整局面が続くと考えるべきでしょう。

逆に節目の900ドルを明確に超えるようだと、節目の1,000ドルを試すでしょう。この水準は昨年初め以来の水準であり、これを超えると1,200ドルを目指すような極めて強い展開になると考えます。

しかし、現実的にはそのような動きになるには、かなりハードルが高いように思われます。したがって、まずは900ドルを試す動きになるかに注目したいと考えます。

円建てプラチナ相場は節目の3,100円を超え、一時3,200円を超える場面がありました。ドル建てプラチナ相場の上昇が続けば、3,200円を超えて、3,300円を試すことになりそうです。したがって、3,100円を割り込むまではポジションを維持して利を伸ばし、3,300円超えを待ちたいところです。

ただし、調整した場合、3,100円を割り込めば、その時点でいったん手仕舞いを検討したいところです。その場合には、安易に押し目を買わずに、まずは下値形成の動きを待ちたいと考えます。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:続伸の展開

シルバーは続伸し、高値圏を維持しました。週初から徐々に水準を切り上げ、7月25日には一時16.64ドルまで上昇する場面がありました。その後は高値から値を下げたものの、週末は16.38ドルで取引を終え、高値圏を維持しました。

CFTC(米先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における7月23日時点のポジションは、5万4761枚のネット買い越しとなり、前週から1万7336枚増加しました。買いポジションが9,680枚増加し、売りポジションが7,656枚減少しました。

先週後半以降に相場が急伸したことから、前週に続いて投機筋の買い意欲が強まっており、新規の買いが入る一方、売り方の買い戻しがさらに進んでいることがわかります。銀相場は上昇基調を維持し、高値も更新していますが、徐々に買い疲れの動きも見て取れます。

また、テクニカル的にも買われすぎ感が強まっており、このまま上昇基調を続けるのはやや困難なようにも見えます。もっとに、金相場が堅調さを維持しているうちは下げにくい状況が続くものと考えられます。現在の水準は、過去にももみ合っているところであり、これを明確に超えることができれば、17ドル台前半から後半に上昇する可能性が高まりそうです。

しかし、このような動きになるには、金相場の上昇や株式市場の堅調さなどの外部要因が不可欠なことも事実です。したがって、まずは銀そのものの値動きを見る一方、外部要因にも目を配りたいところです。

金/銀レシオは前週の88倍をやや下回る水準から、26日時点では86倍台にまで調整してきました。金相場の上昇に銀相場がついていく形で、レシオの割高感が解消されています。とはいえ、まだ歴史的にもかなり高い水準であることに変わりありません。この調整が金相場の下落によってもたらされるのか、あるいは銀相場がさらに上昇することで起きるのか、注目しておきたいところです。

本来、景気が良く、株価が堅調なときにはレシオは低下しやすいところ、いまはその状況でも上昇しています。いまの金融市場が正しいのか、あるいは金/銀レシオの動きが正しいのか、いずれ答えが出るでしょう。その際には、極めて大きな市場の変化がみられるはずです。その兆候が金/銀レシオに表れているとすれば、今は株式市場の調整を気にすべきなのかもしれません。

円建て銀相場は続伸し、高値圏を維持しました。60円をさらに上抜けるようであれば、相当強い相場になるといえます。その場合には、利益を伸ばしていきたいところです。ただし、直近では上値を切り上げる展開ではなくなっているようにもみえます。したがって、節目の60円を超えられないと手仕舞い売りが出やすくなりそうです。

58円を割り込むようであれば、少なくとも保有している買いポジションはいったん手仕舞いしたほうがよさそうです。58円を割り込まずに推移できれば、その時点で押し目買いを検討してもよさそうです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成