むしろ2,000万円では足りない人の方が多い

先日の「老後資金は年金だけでは2,000万円足りない」という金融庁の発表を聞き、「自分はどうやったら2,000万円の資金を作ることができるだろうか」と考えた人も多いようです。今は昔と異なり、非正規雇用や契約社員など退職金がもらえないことが多い働き方をする人が増えています。多くの人が老後資金は退職金で準備しようなどと簡単に考えられなくなったため、その心配はなおさらです。

この発表がある以前から、年金だけで老後の生活を維持することは難しく、3,000万円、6,000万円、いや1億円もの老後資金が必要だと言われていました。その高額な老後資金を準備するためにどうするべきか、準備ができない場合はどうすると良いのか、そのようなことが長く話題となってきたのではないかと思っています。

この「2,000万円足りない」については、ごく一般的に考え得る金額であり、理論上も間違いではないとは理解できているかと思います。ただ、大事なことは自分にとって必要な老後資金がいくらなのかです。無論、全員が2,000万円必要なわけではないですが、むしろ2,000万円では足りないという人の方が多いかもしれません。

自分に必要な老後資金はどうすれば知ることができるでしょう。大まかに計算することは可能です。まず、公的年金、私的年金を合わせ、自分は老後に毎月いくらの年金を受け取ることができるのかを把握します。そして、1ヶ月にかかる生活費を大雑把でも良いので知り、差額を出してみます。

その金額の20年分、30年分など、自分が生きる見込みの期間までを計算してみると、それが不足する生活資金、最低必要な老後資金です。他に、医療介護、リフォームなどにかかる費用を予備で持っておくと安心です。

若い人、子育て中の人はまだ1ヶ月に必要な生活費の額は変わっていくでしょうから、正確な金額は出ないかもしれません。ですが、大雑把でも老後必要となる金額の目安が分かると、お金を貯めていく目標ができてきます。

老後に必要な資金を準備するために取り組みたい3つのこと

老後に必要な資金を準備するにあたり、貯めたり、生活を維持するために必要なことは、

1.毎月の収入金額を上げること
2.毎月の支出金額を減らすこと
3.運用などでお金を増やすこと

この3つです。

収入金額を増やすには、今の仕事の休日を削ってまで働くということではなく、趣味を仕事にできるようならそれで収入を得ることを考えたり、可能な状況なら夫婦で働いたり、可能な範囲で、ということです。定年後働くことを考えることも、良いことです。

支出を減らすことは、いつもお話しすることですが、支出状況を把握して見直し、無駄を省くことです。生活が維持できないつらい節約をするのではなく、楽しく豊かな生活をしながら支出を抑えられるような、メリハリのある支出を目指しましょう。支出が少なくなり、1ヶ月の生活費が年金受給額に近づくと、補填額が少なくなり、老後資金が長持ちします。

運用は少額からでも「はじめてみる」ことが大切

そして、最後に運用を検討し、少額からでも良いので「はじめてみる」ことも大切です。日本人は運用慣れしていませんし、尻込みしている人も多いと思います。ですが、ここ数年で、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「つみたてNISA」といった、長期分散が可能な、積立型の非課税投資制度を国が用意しています。

運用なので全くリスクがないとはいえませんが、長期的にみれば預貯金よりも利回りが期待でき、老後資金作りに適した投資制度です。投資が嫌い、どうしても抵抗があるという人は無理をすることはないですが、少なくともiDeCoを利用すると、定期預金など元本確保型で積みたてながら、所得控除を受けて税金を安くすることができますので、検討の価値はあると思います。

今回の2,000万円不足するという話題で、老後資金を準備しなくてはいけないこと、そして投資をすることも多くの人に意識されるようになったでしょう。

人生100年時代と言われる時代に、現役時代を終了した後の30~40年を国の保障だけで、または自分の資産だけで何とかしようとするのは簡単なことではありません。できることは、気が付いた時から資金の準備に取り組むことです。

そして急に作ることができない金額ですから、生活費をある程度楽しみが持てる範囲で維持しつつ抑え、かつできるだけ長く働くということも念頭におくこと。これが老後資金を作ることや、老後を生き抜くために必要なことだと私は考えています。