先週のゴールド:反落の展開

金相場は反落しました。週初は上昇しました。ドルの下落や株高基調に勢いがなくなったことで、リスク選好度がやや弱まりました。

また、中国人民銀行(中央銀行)が金を買い付けたことも材料視されたもようです。中国人民銀行の統計によると、3月末の金準備高は0.6%増の6,062万オンスとなりました。さらに、国際通貨基金(IMF)が今年の世界経済の成長率見通しを引き下げたことで、ドルや株価の下落につながったことが押し上げにつながりました。

一方、欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)がともに緩和的な政策スタンスを維持する方針を示唆する中、英国のEU離脱や米国の政局、米中・米欧の貿易摩擦の懸念を材料に、4月10日には一時2週間ぶりの1,310.50ドルを付けました。しかし、4月11日には反落し、節目の1,300ドルを割り込みました。

強い米経済指標を手掛かりにドルが上昇したことや、米金利の上昇もあり、安全資産としての金の魅力が薄れました。3月の米卸売物価指数が予想を上回り、物価上昇圧力が確認され、FRBによる利上げの可能性が浮上したことでドルが上昇し、金に売りが出やすい地合いになりました。

また、英国のEU離脱が10月末まで延期されたことで、安全資産としての金の魅力が低下しました。週末には続落しました。米国株高が重石になった一方で、ドル安となったことで下げ幅は限定的でした。

米金融大手JPモルガン・チェースの好決算をきっかけに、米国株は過去最高値近辺にまで上昇しました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は4月5日の761.67トンから12日には757.85トンに減少しました。株高傾向の継続で投資家は金ポジションを減らし、株式に資金を振り向けていると考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したCOMEX金先物市場での大口投機筋の4月9日時点のポジションは10万5364枚の買い越しとなり、前週から1万808枚増加しました。買いポジションが5,723枚増加し、売りポジションが5,085枚減少したことで、買い越し幅が拡大しました。

円建て金相場は反発しました。ドル建て金相場は下落しましたが、為替相場が円安方向となり、上昇しました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:底値を探る展開

金相場は底値を探る展開を想定しています。これまで高値圏で膠着していた米国株が4月12日に上昇しました。米主要企業の第1四半期決算が本格化する中、業績見通しは減益が予想されています。しかし、実際の業績が市場予想より良い内容だったことが確認されれば、株価が一段高になり、米金利が上昇することで金相場が押し下げられる可能性があります。

また、米中通商協議の進展への期待や英国のEU離脱が延期されたことによる目先の安心感から、株価がさらに上昇するようなことになれば、金市場への関心はますます低下する可能性があります。また、これまで投資家が積極的に行ってきた債券投資に歯止めがかかれば、金利が上昇する可能性があり、これも利子のつかない金の価値を相対的に押し下げる可能性があります。

このように、市場環境が急速に変化する可能性が高まっていることから、金相場が直近安値水準の1,290ドルを明確に下回るようだと、地合いは急速に悪化するものと思われます。その場合には1,265ドル程度までの下落になる可能性がある点には要注意です。

もっとも、ここで下げ止まれば、長期的な上昇基調は継続していると判断できます。当面はこの水準を注視していくことになりそうです。

また、値動きをチャートで確認すると、2月20日の高値1,346ドル、3月25日の高値1,324ドル、さらに直近高値の1,310ドルと、徐々に上値を切り下げています。このような値動きパターンはよい形とはいえません。したがって、直近安値の1,280ドル前後を割り込んだ場合には、相応の注意が必要と考えます。

円建て金相場は上昇基調が続いていましたが、4,750円前後で打たれた格好となっています。また、3月の高値水準を超えられなかったことから、4,700円を割り込むと深押しする可能性がありそうです。したがって、ポジションを保有している場合には、4,700円割れではいったんポジションを整理することも検討すべきでしょう。

逆に直近高値水準である4,700円台後半を明確に上回れば、4,800円を試す動きになると考られますので、その場合にはむしろポジションの積み増しを検討したいところです。

プラチナ:高値圏でのもみ合い

プラチナは反落しました。4月8日には一時914ドルまで上昇し、昨年5月以来の高値を付ける場面がありました。しかし、その後は徐々に上値を切り下げる展開となり、週末は886ドルで引けました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したNYMEXプラチナ先物市場における4月9日時点の大口投機筋のポジションは3万1844枚の買い越しとなり、前週から8,489枚増加しました。買いポジションが5,684枚増加し、売りポジションが2,805枚減少したことで、買い越し幅が拡大しました。

しかし、4月10日以降は上値が切り下がっていることから、投機筋のポジションが縮小している可能性がありますので、その動きを確認したいところです。

前週までのプラチナの急伸の背景には、プラチナETFへの資金流入があったとの指摘が聞かれます。同じ白金族系メタルであるパラジウムの上昇に一服感が出たことで、資金をパラジウムからプラチナに移したとの見方です。

このような投資フローは、金市場などに比べて取引量が少ないプラチナ市場に大きな影響を与えることがあります。今回もそのようなケースに相当するものと思われます。そのため、資金が流出した際には大きく下落することもあり得るので、このようなリスクも念頭においておく必要があります。

需要の半分以上が工業用ですので、景気の鈍化や株価の下落などに連動しやすい傾向がある点には要注意といえます。プラチナはガソリン車の窒素化合物を抑制するための自動車触媒の原料となります。

そのガソリン車がメインの中国では、3月の新車販売台数が前年同月比5.2%減の252万台となりました。景気減速や米中貿易摩擦の長期化などを背景に、9ヶ月連続で前年実績を割り込んでいます。ただし、減少幅は前月の13.8%を下回り、7ヶ月ぶりに2桁の落ち込みから脱しています。とはいえ、1~3月の全体の販売台数は前年同期比11.3%減の637万2000台でした。

これまでの減少トレンドが完全に払しょくされるには、相当の販売台数の伸びが必要であり、これらのやや悲観的なデータがプラチナ市場のセンチメントを悪化させるリスクがある点にも注意が必要と考えます。

目先は870ドルでサポートされるかがポイントになりそうです。これを維持できれば、反発の可能性を残すと考えられます。しかし、割り込むと840ドル前後までの調整となりそうです。その意味では、今週の動きは今後の動向を占ううえで重要になりそうです。株価動向も併せて確認したいところです。

円建てプラチナ相場は高値圏を維持しました。ドル建てプラチナ相場は下落しましたが、円安基調が下値を支えました。3,400円が重くなっていますが、これを超えると勢いがつきそうです。その場合には、その勢いに乗って買いを検討してもよさそうです。

ただし、反落した場合には、まずは3,300円水準で下げ止まるかを確認したいところです。その上で、サポートが確認できれば、その時点で買いを検討したいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:大幅反落の展開

シルバーは大幅反落しました。金相場が下落したことなどから、徐々に上値を切り下げ、11日には急落し、節目の15ドルを割り込みました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における4月9日時点の大口投機筋のポジションは1万6418枚の買い越しとなり、前週から365枚減少しました。買いポジションが2,583枚減少し、売りポジションが2,218枚減少しましたが、わずかに買いポジションの減少の方が多かったことで買い越し幅が小幅に縮小しました。

しかし、週末にかけて下落していることから、投機筋のポジションは買い越し幅が減少しているものと思われます。週末のデータで確認したいところです。

銀相場は引き続き独自の材料不足の中、金相場に連れる展開が続いています。ただし、金相場が調整した場合でも、下げが大きくなりやすい傾向にあり、現在も金相場よりも弱い展開にあるといえます。

また金相場と同様に、2月20日に16.21ドルの高値を付けて以降、下落した後は3月21日に15.63ドルの戻り高値をつけ、その後に戻り切れずに下げています。

このような値動きを見ていると、直近安値を下回るようだと、下げに拍車がかかる可能性がありそうです。

したがって、まずは15ドル台を大きく下放れるかを確認することになります。下げ渋った場合には、反発の可能性が高まりやすいといえます。しかし、14.90ドルを割り込んでいくようだと、売りが売りを呼ぶ展開につながることも想定されます。

その場合には、株価の調整が進むなどの外部要因の影響が大きくなる可能性があります。まずは、株価動向と金相場の推移を確認したいところです。その上で、14.90ドルを維持し、反発基調に転じて15.20ドルを超えるようだと、再び上値を試しやすくなると考えます。

円建て銀相場は下落しました。米ドル/円相場が円安方向で推移しましたが、ドル建て銀相場の下落が影響しました。節目の56円をわずかに割り込んでおり、まずはこれを回復できるかがポイントになりそうです。55円台半ばでサポートを形成できれば、再び上値トライとなる可能性があります。

もっとも、57円を明確に超えないと、本格的な回復基調とは言えない状況です。したがって、今は慎重に方向性を見極めるのが得策と考えます。55円半ばでのサポート形成で押し目買いを検討する一方、57円超えではトレンドに追随する形で買いを検討したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成