先週のゴールド:横ばいでの推移

金相場はほぼ横ばいの展開でした。週を通してきわめて狭いレンジでの推移となりました。米国株が上昇し、米金利が上昇したことでドルも堅調に推移したものの、全般的には底堅い展開だったといえます。一時は1280.59ドルまで下落し、1月25日以来の安値を付ける場面もありましたが、下値では買われました。

4月5日に発表された3月の米雇用統計では、1年5ヶ月ぶりの小幅な伸びを記録した2月から改善しました。天候の回復で建設業などの部門の事業活動を押し上げました。これを受けて、米国株が上昇したことが重石となりました。ただし、賃金の伸びが減速したことで、下げ幅も限定的でした。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は3月29日のは784.26トンから4月5日に761.67トンに減少しました。株高傾向が続いているため、投資家は金ポジションを減らし、株式に資金を振り向けている可能性があります。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したCOMEX金先物市場での大口投機筋の4月2日時点のポジションは9万4556枚の買い越しとなり、前週から2万5185枚減少しました。買いポジションが2万663枚減少し、売りポジションが4,522枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

円建て金相場は反発しました。ドル建て金相場は横ばいでしたが、ドル円が円安方向だったことで上昇しました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:引き続き底堅い展開を想定

金相場は底堅い展開を想定しています。前週は米国を中心に世界的に株価が上昇し、リスク回避的な動きが後退したにもかかわらず、金相場は比較的堅調だったといえます。

これまで株式市場では、米中通商協議の進展への懸念や中国経済の鈍化、さらに長短金利差が逆転する「逆イールド化」を懸念する向きが多かったことで、株価が不安定になる時期がありました。しかし、中国の製造業購買担当者指数(PMI)が好不況の分かれ目となる50を回復したことで市場心理が好転し、これを受けて株価が上昇したことが、金相場の上値を抑えたといえます。

また、株価上昇で低迷していた金利がやや上昇したことも、金相場の重石になったといえます。しかし、それでも金相場が大きく下げていないところを見ると、下値では買っている投資家もいるものと思われます。

従来であれば、これだけ株価が戻せば、金相場はさらに下げていてもおかしくないといえます。それでも下げていないところに、現在の金相場の底堅さを感じることができます。世界的に中央銀行が緩和策の停止を棚上げし、ハト派になっていることは、株式市場には追い風のように見えますが、一方で政策金利の低迷は政策当局が本音では景気への懸念を抱いていることの証左であるといえます。

また、世界の株価は昨年12月までの急落後、米国を中心に順調に回復してきました。これから発表される第1四半期の米企業の業績発表で、株価の割高感が確認されるようだと、これまで株価が3ヶ月超にわたり上昇してきただけに、調整が大きくなる可能性もあります。その場合には、安全資産である金に関心が向かうことも想定されます。

現在の株高の状況でも下げない金相場は、相当堅調といってよいでしょう。したがって、引き続き1,290ドル前後をサポートしていれば、今後は徐々に上値を目指す展開に移行し、1,305ドルを超えると年初来高値の1,346ドルを試す展開になると考えます。

一方、英国のEU離脱については、状況が日々変わっており、今後の方向性を見極めるのは難しい情勢です。とはいえ、最終的には英国議会の判断で困難を乗り切るのではないかと考えています。

円建て金相場は一時4,700円を下回りましたが、これを回復して維持できれば、再び上値を試す展開に移行すると考えます。したがって、4,700円を明確に乗せたところで買いを検討したいところです。

プラチナ:大幅上昇の展開

プラチナは急伸し、大幅に上昇しました。週初は上値の重い展開でしたが、3日に879ドルまで上昇し、2月に付けた年初来高値を更新しました。さらにその後も上値を試し、週末には一時907ドルまで上昇し、昨年6月以来の高値を付けました。ただし、最終的には895ドルで週末の取引を終えました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したNYMEXプラチナ先物市場における4月2日時点の大口投機筋のポジションは2万3355枚の買い越しとなり、前週から852枚減少しました。買いポジションが1,887枚減少し、売りポジションが1,035枚減少したことで、買い越し幅が縮小しました。プラチナの急伸は、かなり驚きをもって受け止められています。

これまで堅調だったパラジウムが、利益確定売りなどで急落し、3月21日につけた1,620ドルから4月5日には一時1,325ドルまで下落しました。一方、これまで割高に買われてきたパラジウムに対して、安値で推移していたプラチナに資金を移す向きが増えたことから、プラチナが急激に上昇したとの指摘があります。

また、価格が高騰したことで、ガソリン車の自動車触媒の原料であるパラジウムをプラチナにシフトさせる向きが増えるとの憶測も、プラチナの上昇につながったと指摘があります。いずれにしても、投資家の関心がプラチナに移行しつつあることは、今後のプラチナ相場の下値を支えるものと思われます。

また、チャートを見ると、高値が切り上がる一方、下値も切り上がっており、きれいな上昇トレンドを描いています。この基調が継続すれば、900ドルの大台定着となる可能性もありそうです。ただし、875ドルを割り込み、さらに850ドルの大台を割り込むようだと、これまでの上昇基調が一過性のものだったとの見方が広がる可能性がありますので、値動きには注意が必要でしょう。

一方、ドイツ連邦自動車局(KBA)が発表した乗用車統計によると、3月の新車登録台数は前年同月比0.5%減の34万5523台にとどまりました。第1四半期は前年同期比0.2%増の88万92台でした。

国際統一燃費試験法(WLTP)に則した測定による二酸化炭素(CO2)排出量は3月に走行距離1キロ当たり156.7グラムとなり、前月の157.2グラムから減少しました。

ドイツ自動車工業会(VDA)が発表した乗用車統計によると、3月の生産台数は前年同月比14%減の45万1400台に低迷しました。輸出台数が9%減の34万3300台と不振でした。受注台数をみると、2ヶ月連続で2桁伸びていた国内向けが10%減に転換し、輸出向けも8%減少しました。第1四半期の生産は前年同期比11%減の126万4400台、輸出は10%減の97万5300台にいずれも低迷しました。

ただし、国内販売は88万200台を確保し、第1四半期として過去最高となりました。また、ディーゼル車が全体に占める割合は前年同期の32.3%から33.1%に上昇しました。

これらの数値は強弱観が交錯する内容ですが、全般的にはやや弱い印象もあります。今後の動向に注目したいところです。また、株式市場が不安定した際には、プラチナも同時に売られる可能性がある点にも注意が必要と考えます。

余談ですが、2020年の東京五輪の聖火リレーに使用されるトーチの真ん中部分にはプラチナが使用されており、これが炎が消えないための機能を果たしているということです。

円建てプラチナ相場は急伸しました。ドル建てプラチナ相場が急伸したことに加え、為替相場が円安基調になったことが材料視されました。高値を更新したことで、次のターゲットは3,400円から3,500円になろうかと思います。高値つかみを下げる意味でも、できれば3,300円前後の押し目を待って買いたいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:横ばいでの推移

シルバーは反落しました。金相場が横ばいで推移し、非常に似たような値動きとなりました。節目の15ドルをかろうじて週末の取引を終えています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における4月2日時点の大口投機筋のポジションは1万6783枚の買い越しとなり、前週から9,406枚減少しました。買いポジションが2,940枚増加しましたが、売りポジションが1万2346枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

投機筋の中には割安と判断して買っている向きもいますが、一方で上値が重いと判断した向きが売りポジションを積み増しているといえます。

銀相場は独自の材料不足の中、金相場の値動きとほぼ同じ展開になっています。いまのところ、15ドルのはかなり固いサポートとして機能しているように見えます。したがって、この水準を割り込まずに推移することができれば、金相場が上昇したときにつれて上げやすいといえます。その場合には、15.30ドル、さらに15.50ドルにあるレジスタンスを超えるかを確認したいところです。

一方、株価が堅調に推移していることも、銀相場の潜在的な底堅さにつながっている可能性があります。そのため、株価が不安定な動きになった場合には、15ドルの節目を割り込み、大きく調整するリスクもありそうです。その場合には、昨年の底値水準である14ドルを目指す可能性もありそうです。いずれにしても、まずは金相場の動向を見ながら、株価動向にも注意したいところです。

円建て銀相場は上昇しました。ドル建て銀相場は横ばいでしたが、ドル円相場が円安方向で推移したことが押し上げにつながりました。いったんは56円を割り込みましたが、その後は回復しており、底打ちから上値を試す動きに見えます。そのため、まずは56円を維持できるかを確認したいところです。そのうえで、基調が上向きになれば、その時点で買いを検討したいところです。

逆に56ドルを割り込んだ場合には、下落リスクが高まる可能性がありますので要注意といえます。直近安値を割り込んだ場合には、いったんポジションを手仕舞いしたうえで、状況を確認したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成