現在の株価は10%ほど割高との判断

米国株は依然として堅調です。昨年12月までの急落を取り戻すかのように買い戻しが入っています。

米中通商協議への期待が高まっているようですが、この協議は米国が満足するまで終わりません。つまり、それまで現状の関税は維持され、貿易や企業業績に大きな影響が出ます。第1四半期の景気指標や企業業績は、この影響で昨年第4四半期を下回る結果になるでしょう。そうなれば、今の株価の上昇は一時的なものになる可能性が高いでしょう。

リフィニティブによると、ほぼ出そろったS&P500採用企業の2018年第4四半期決算は、前年同期比16.8%の増益となる見通しです。しかし、S&P500採用企業の今後4四半期(2019年第1~4四半期)の予想PERは16.7倍にまで上がっています。

【図表1】米金利とS&P500の推移
出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

過去平均が15倍程度であることを考えると、現在の株価は10%ほど割高との判断になります。今後企業業績が伸びない限り、現在の株価水準は正当化しづらいところまで上がってきています。

株価の上昇はあと1年程度で終わる可能性

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)が公表した投資資金動向調査によると、世界の株式ファンドにはこの1年で最高額の142億ドルが流入したもようです。

モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が先進国と新興国の株式から算出している株価指数は、2018年末から16%上昇しています。相場の変動性が低下し、各国中央銀行が利上げに慎重なハト派姿勢を再び示している中、投資家のリスク選好は全体的に高まっているようです。

もっとも、株式ファンドに流入した資金の大半はETFに向かっています。指数が崩れると、投資家の売りが大量に出やすいポジション状況にあるとも言えます。インデックスに連動するパッシブ運用が主流になっている現在では、株価が下げ始めると、その下げが大きくなりがちです。今後もこの動きには要注意でしょう。

一方、米金利はなかなか上がってきません。これが何を意味するのかを考える必要がありそうです。米2年債利回りはフェデラルファンド(FF)金利を下回る事態に陥っています。

しかし、このような傾向が顕著になった場合は、ドル安が進行する可能性があります。過去に2年債利回りがFF金利を下回ったときには、FRBが政策を転換し、景気後退が発生しています。

そのため、2年債利回りがFF金利を下回ったことで、今後2年間で金融緩和が必要になるとの見方が高まる可能性があります。

これまでのFRBの一連の利上げ後にこの現象が起きたのは、最近の事例ではハイテクバブル崩壊の2000年半ばと、サブプライムローン問題が発生する目前の2006年半ばです。その後の2001年3月と2007年12月に景気後退が発生しています。そして、いずれのケースでも、FRBは2年債利回りがFF金利を下回った後に利上げを停止しています。

これらのケースが発生した後、株価は大きく調整しています。もっとも、2006年のケースでは、株価がピークアウトして下げに転じるまでに1年4ヶ月かかっています。今回のケースでこのタイムラグを考慮すれば、株価は来年6月ごろまでにはピークアウトすることになりそうです。つまり、株価の上昇もせいぜいあと1年程度で終わることになります。

上記で指摘したように、すでに株価は割安ではなくなっています。さらに、金利動向からも株価の上昇期間はある程度見えています。これからの株価上昇に期待して資金を投入しても、リターンは限定されるでしょう。むしろ、いまは高値を追いかけるのではなく、長期的な買い場を待つのが賢明と考えます。