先週のゴールド:続伸の展開

金相場は上昇しました。米経済指標を受けてドルが下落する中、節目の1,300ドルを回復しました。週間ベースでは2週連続のプラスでした。

米国株は堅調に推移しましたが、一方で米長期金利が低下しており、これがドルの上値を押さえ、ドル建て金相場の割安感にもつながりました。

また、米中通商協議の先行き不透明感や北朝鮮情勢の緊迫化なども材料視された可能性があります。一方で、3月19・20日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で緩和的な政策が維持される一方、政策金利の見通しを下方修正するとの見方も下値を支えたもようです。

米朝交渉については、北朝鮮側は米国が求めている「完全な非核化」について譲歩の意思はなく、核・ミサイル実験再開の可能性を示唆しました。

米国は米朝交渉における揺さぶりと見ていますが、一部廃棄された北朝鮮のミサイル発射場で復旧の動きが報告されるなど、緊張感が高まっています。これが直接的に金市場の材料になるかは不透明ですが、今後の展開には要注意といえます。

一方、米中通商協議に関しては、楽観的な見方も出ており、これが株高につながっています。これが金相場の上値を抑える場面も見られました。中国側からは、李克強首相が「前進する流れは変わらない」と発言しています。

また、中国・新華社通信が3月14日に劉鶴副首相とムニューシン米財務長官が電話会談し、実質的な前進があったとしています。ただし、ムニューシン財務長官は米中首脳会談の開催が4月以降にずれ込むと発言するなど、交渉の長期化を示唆し、情報は錯そうしています。

さらに、トランプ米大統領も交渉の行方について明言を避けており、これらの通商交渉が不透明であることも金相場を支えているといえます。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は3月8日の766.59トンから3月15日には771.04トンに小幅増加しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したCOMEX金先物市場での大口投機筋の3月12日時点のポジションは7万8819枚の買い越しとなり、前週から9,199枚縮小しました。買いポジションが2,622枚増加しましたが、売りポジションが1万1821枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

円建て金相場は反発しました。ドル建て金相場の上昇に加え、為替相場が円安になったことが押し上げにつながりました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:底堅い展開が続く

金相場は引き続き底堅い展開になると考えます。現在は市場全体の方向感がなくなりつつあり、判断がやや難しい状態にあります。

米国を中心に株価の上昇が続いていますが、一方で景気への警戒感や政治面での先行き不透明感もあり、安全資産に対するニーズはやや強くなっているように思われます。

今週のFOMCでは、経済・金利見通しの下方修正が予想されており、これが金利低下につながれば、金相場にはプラスに作用するものと思われます。一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)の保有資産の圧縮に関しても、年内で終了するとの見方が示される見通しです。そうなると、金融政策の引き締めがいったん終了するとの見方につながり、これも金相場にはポジティブに作用しそうです。

もっとも、基本的には株価次第の面があり、今後も米国を中心とした株価を含めた金融市場全般の動きを注視することになりそうです。ただし、1,300ドルの節目を挟んだ水準で下げ渋る展開が続けば、上昇につながる可能性がありそうです。下げた場合でも、1,270ドルを維持できれば、大きく崩れることはないと考えます。

円建て金相場も堅調さを維持するものと考えます。為替相場が円安基調を維持しており、これも下値を支えそうです。4,700円を維持して上昇していることから、4,800円を超えると勢いがつきそうです。下げた場合でも、引き続き4,700円が堅いサポートになれば、安心感が高まりそうです。これらから、目先は押し目を買うことを検討したいところです。

プラチナ:反発の展開

プラチナは反発しました。先週の急落の動きが止まり、再び上値を試す展開となりました。一時は850ドル目前まで値を戻す場面があるなど、強含む場面もありました。また、金相場が底堅い展開となったことも、下値を支えたと考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表したNYMEXプラチナ先物市場における3月12日時点の大口投機筋のポジションは1万6348枚の買い越しとなり、前週から5,115枚縮小しました。買いポジションが1,224枚減少し、売りポジションが3,891枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。プラチナ相場の重要なサポート水準である815ドルを維持しました。

これにより、再び上値を追いやすい地合いになっています。最も上値も850ドルで打たれており、直近高値を下回る展開となっていることから、上値の重さも感じます。したがって、目先は815ドルと850ドルのレンジのどちらに抜けるかを注視することになりそうです。

材料面では、欧州の自動車動向がやや改善しています。欧州自動車工業会(ACEA)が発表した2月のEUの新車販売台数(乗用車、マルタを除く)は、前年同月比1.0%減の111万4692台となり、6ヶ月連続でマイナスとなりました。ただし、ドイツは2.7%増、フランスは2.1%増、英国は1.4%増と持ち直すなど、改善の兆しも見られます。

1~2月の累計販売台数は前年同期比2.9%減の231万99台でしたが、今後減少幅が縮小するようだと、ディーゼル車向け需要の改善期待が下値を支える可能性も出てくるでしょう。もっとも、繰り返すように、ディーゼル車のシェア自体は縮小傾向ですので、あくまで一時的な材料ととらえるべきかもしれません。

円建てプラチナ相場も反発しました。ドル建てプラチナ相場の反発に加え、円安基調が下値を支えました。節目の3,100円を維持できれば、再び上値を試す展開になりそうです。まずは3,100円をサポートして上昇できるかを確認したいところです。3,100円をサポートできれば買いを検討してもよさそうです。また、逆に3,200円を超えるような展開になれば、トレンドに乗る形で買いを検討したいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:反落の展開

シルバーは反落しました。週初は反発し、週中に15.50ドルを超える場面もありましたが、週末にかけて下落しました。金相場の底堅さは材料視されませんでした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における3月12日時点の大口投機筋のポジションは2万7082枚の買い越しとなり、前週から5,439枚縮小しました。買いポジションが771枚減少し、売りポジションが4,668枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

銀相場は上値の重い展開になっています。金相場が底堅い展開にある一方、株価も堅調ですが、これらのどちらにも反応していません。銀相場独自の材料に欠けることや、投資対象としての魅力が低下していることが影響している可能性があります。

チャート面でも15.50ドルを超えられなかったことで、売りを誘いやすくなった面もありそうです。これらの状況から、当面は15ドル前後のサポートを維持できるかを確認することになりそうです。そのうえで、再び15ドル台半ばを試すかを見ていくことになります。

また、金相場や株価動向に加え、銀相場はこれらの市場に連動するかを見極めたいところです。

円建て銀相場は反発しました。ドル建て銀相場は下落しましたが、円安基調が水準を押し上げました。56円を維持し、一時57円を超える展開となりました。57円を維持できるような状況になれば、再び上値を試しやすい展開になりそうです。

したがって、ドル建て銀相場と為替相場の動きを見極めたうえで、56円までの押し目を買うことを検討したいところです。逆に56円を下回るような下げになった場合には、いったんポジションを整理し、今後の動向を見極めたいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成