企業業績や経済指標は悪化し始めている

米国株は過去最高値が視野に入るところまで戻してきました。

2月に行われた米中通商協議では明確な進展がありませんでしたが、3月1日に設定された米中貿易協議の期限が延長されたことや、2日に予定されていた対中制裁関税の引き上げが先送りされたことを好感する形で、NYダウ平均株価は26,000ドル台を回復しました。昨年10月3日に付けた過去最高値の26,828.39ドルに近づいています。

また、S&P500は昨年11月8日以降、初めて節目とされる2,800ポイントを上回って引け、年初来12%の上昇となりました。さらに、ナスダック総合指数は10週連続で上昇し、1999年以降の最長記録を更新しました。

これまで株価の重石になっていた、米中貿易戦争への懸念が解消されたかのように見えますが、これまで掛けられている関税はそのままですし、それが原因で昨年第4四半期の企業業績や経済指標は悪化し始めています。

状況は第1四半期(1~3月)に入っても変わっていないわけです。また、第1四半期のS&P500採用企業の純利益は前年同期比マイナスが予想されています。しかし、多くの投資家はこれらの状況を懸念していないようです。

米国経済は過去2番目の景気拡大期に

昨年第4四半期(10~12月)の実質GDPは、年率換算で前期比2.6%増でした。個人消費が伸び悩み、前期の3.4%から鈍化し、景気の緩やかな減速を裏付けています。

【図表1】米GDPの拡大期間の推移(四半期ベース)

出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

2018年通年は前年比2.9%増と、2015年の2.9%以来、3年ぶりの高い伸びとなりましたが、トランプ政権が掲げる3%超にはわずかに届きませんでした。しかし、予想を超える結果だったことに目を向けた投資家の買いで、米国株は堅調に推移しています。

今回の発表で、私が定義する米国経済の拡大期は38四半期となり、ハイテクバブル期の39四半期に迫りました。これは過去2番目の景気拡大期と判断しています。ハイテクバブル期と同様に39四半期で止まるとすれば、今年第1四半期で拡大期が終了することになり、4月以降は景気の拡大基調が反転することになります。

ハイテクバブル期を振り返ると、株価は2000年の3月に高値を付けましたが、経済成長がマイナスになったのはその1年後の2001年第1四半期です。その後、第2四半期に持ち直し、第3四半期に再度落ち込んだ後、2001年第4四半期から2008年第2四半期まで、つまりリーマン・ショック直前まで景気の拡大基調が続いたわけです。

米国株の上昇余地がまだあっても先は見えている

もちろん、今回の景気拡大局面が過去最長と並ぶ期間で止まるとは断定できません。しかし、一方で、米債券価格が2016年6月に高値を付けた後、ハイテクバブル期と同様に2年後に米国株が高値を付けたことや、原油相場のピークとのタイムラグが9ヶ月であるなど、昨年10月が株価の高値となれば、過去の傾向と同じパターンだったと認識できます。

一方、米住宅指標は昨年1月にピークアウトしましたが、過去の米国株のピークの期間の差をみると、米国株は今年9月から11月ごろにピークを付ける可能性も残されています。

もしこのサイクルに従うのであれば、株価はもう少し上昇するのかもしれません。また、米大統領3年目の年の米国株は上昇しやすいとのアノマリーがあります。これに倣うのであれば、米国株の上昇余地がもう少しあるとも言えます。

しかし、そのような状況になった場合でも、その先は見えているといえます。米経済指標の伸びが鈍化し始めていますが、この傾向がより鮮明になる前に、株価は先に反応することになるでしょう。

直近では、市場の楽観度を示す指標などがかなり高くなってきました。米国株に対しては、今の水準からは相当慎重に対処すべきであると考えています。