先週のゴールド:上昇の展開

金相場は上昇しました。週初から週中まで上値の重い展開でした。米中貿易摩擦により世界経済が減速するとの懸念が再燃したことで、安全資産としてドルの選好度が高まり、これが上値を押さえました。

また、米金利の上昇もドル買いを誘いました。その後は底堅い展開となりました。FRBが一段の利上げについて、忍耐強く判断する姿勢を示していることが支援材料になりました。ただし、世界的な株価の上昇が上値を抑えました。1月の米消費者物価指数(CPI)が比較的軟調な展開になったことも上値を抑えた要因になった可能性があります。

その後は上昇しました。さえない米経済指標を受けて、FRBがハト派的なスタンスを維持するとの見方が強まり、ドル安が進行したことを受けて買われました。また、米中貿易協議やメキシコ国境での壁建設をめぐる議会での与野党の対立も買い材料視されました。

週末は上昇し、一時1,321.88ドルと、2月1日以来の高値を付けました。金融引き締めサイクルの終わりを織り込む形で上昇しており、金市場のセンチメントの改善が見られます。

米金利の低下は、金利の付かない資産である金保有のコストを低減させます。さらに、最近は欧州や中国の経済指標が弱いことに加え、この週は米経済指標もさえない内容が続いたため、これが安全資産としての買いにつながった面もあります。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、2月8日の802.12トンから2月15日には793.03トンに減少しました。株式市場が堅調なことから、投資家の売りが続いています。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する、COMEX金先物市場での大口投機筋の1月22日時点のポジションは7万4504枚の買い越しとなり、前週から1万3409枚縮小しました。買いポジションが1万5286枚減少し、売りポジションが1,877枚減少しました。

CFTCは現在、データを火曜日と金曜日に公表しており、3月8日に通常のスケジュールの公表に戻る予定です。

円建て金相場は、為替相場が円安基調の中、ドル建て金相場の上昇もあり高値を更新しました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇基調は継続

金相場は上値を試す展開が続くと考えます。金相場は昨年8月半ばに1年半ぶりの安値を付けて以降、米追加利上げの打ち止め観測により12%超上昇しています。上向き基調はかなり明確になりつつあります。とにかく、下値の堅さが鮮明です。

今のところ、株価は戻り基調が続いていますが、そのような中でも金相場が下げないところを見ると、将来への不安を前提に金を買っている投資家が少なくないことがうかがえます。1月中は株価の戻り基調で、投機筋の金買いは衰え、むしろポジションを整理する動きが顕著でした。しかし、その後も金相場は下げておらず、本質的な強さが感じられます。

株式投資をする上でも、このような動きは注視すべきでしょう。最近は金ETFの買いがやや細っていますが、先物市場では買いが優勢になっている可能性があります。また、現物需要が増えているとの見方もあります。これらから、金相場はそう簡単には下げない構図になりつつあります。

一方、株価の堅調さが目立ちます。最近の米経済指標は低調ですが、少なくとも株式市場は反応していないようです。しかし、株式市場のモメンタムが強い中でも上げている金の上昇は本物と言ってよさそうです。現在のような価格の上昇の仕方は、長続きする可能性があります。金融市場の動向や世界経済の動向などを注視しながら、長期的な目線で相場動向を見ていきたいところです。

円建て金相場も上昇基調が続きそうです。節目の4,700円を回復した後は強い動きになっており、高値を更新しています。この勢いは長期化する可能性がありそうです。米ドル/円が下げるリスクがありますが、それを補うようにドル建て金相場は上昇すると考えられます。4,700円までの押し目など、少しでも下げる場面があれば、それを逃さず買いを検討したいところです。

プラチナ:急反発の展開

プラチナは急反発しました。週初に大きく値を下げた後は、780ドル前後の安値圏での推移が続きました。ただし、週末には金相場が上昇したことなどを受けて買い戻しが入り、節目の800ドルを回復しました。金相場が堅調に推移する一方、同じ白金族系メタルのパラジウム相場が堅調に推移したことも影響した可能性があります。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における1月22日時点の大口投機筋のポジションは2,435枚の買い越しとなり、前週から5,294枚減少しました。買いポジションが315枚減少する一方、売りポジションが4,979枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

CFTCは、今後はデータを火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールの公表に戻る見通しです。

プラチナ相場は前週に重要な節目の800ドルを回復しました。しかし、これはプラチナ独自の材料で上げているわけではありません。あくまで金相場の動向などが影響していると考えられます。そのため、まずは800ドルを維持し、さらに重要な節目となっている815ドルを上抜けるかを注視したいところです。

一方、需給面では引き続き懸念される材料が確認できます。欧州自動車工業会(ACEA)が発表した1月の欧州連合(EU)の新車販売台数は、前年同月比4.6%減の119万5665台でした。マイナスは5ヶ月連続で、欧州での自動車販売の軟調さが顕著です。

景気鈍化が背景にあるものと考えられますが、結果としてディーゼル車の自動車触媒向けのプラチナ需要が低迷することになります。この状況が改善する可能性は低いと見られていますので、この点を常に念頭に入れた上で、プラチナ相場を見ておくことが肝要です。

また、株価が下落した場合や、景気の悪化傾向が鮮明になった場合にも売られやすいと考えられますので、この点も併せて注意が必要と考えます。

円建てプラチナ相場は横ばいでした。ただし、辛うじて2,900円は維持しており、底固めの動きにも見えます。まずは2,900円を維持し、さらに節目の3,000円を回復できるかを確認したいところです。そのような動きになれば、買いを検討したいところです。反発しそうな雰囲気がありますが、より安全かつ確実なところを見計らった上で買いを検討したいと考えます。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:反発の展開

シルバーは反発しました。金相場の上昇につれる形で基調を回復しました。週初から売りが優勢となり、下げ基調にありましたが、その後は重要なポイントの15.70ドルを超えており、下落基調はいったん終了したと考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における1月22日時点の大口投機筋のポジションは4万8156枚の買い越しとなり、買い越し幅が前週から4,019枚縮小しました。買いポジションが2,656枚減少し、売りポジションが1,363枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

CFTCは、今後はデータを火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールの公表に戻る見通しです。

銀相場は、金相場の上昇で辛うじて下落基調入りは避けられた格好です。今後も上昇基調が維持されるためには、少なくとも15.7ドルを維持し、さらに1月31日に付けた高値の16.18ドルを超えることが肝要です。テクニカル的には上昇余地もあることから、その可能性はあるといえます。

一方、金/銀レシオは83倍台で推移しています。株価が上昇基調にある中でも、レシオが上昇しており、ややリスク回避的な動きにも見えます。それだけ金への注目度が高いとも言えそうです。したがって、株価の下落や世界経済の低迷などが確認できれば、銀相場だけが下げることも想定されますので、引き続き注意が必要と考えます。

円建て銀相場は上昇しました。ドル建て銀相場の反発により、節目の57円を維持しています。このような状況から、58円を超えると勢いがつきそうです。そのため、まずは58円を超えるかを注視したいところです。その上で、高値を更新する動きになれば、追随する形で買いを検討したいところです。押し目買いは避け、あくまでトレンドについていくようにしたいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成