先週のゴールド:小幅調整の動き

金相場は小幅に下落し、週初から下げました。前週に1,326ドルの高値を付ける場面がありましたが、堅調な米経済指標を背景にしたドル高や株高・米金利上昇で、金の割高感が強まりました。

米国株が堅調に推移していることから、米国に資金が集まりやすくなっています。これがドル高を誘い、金相場を抑制しました。

一方で、中国経済の動向や米中貿易摩擦、英国のEU離脱などの不透明感がくすぶる中、金相場は支えられやすい地合いが続きました。その後は反発しました。

米中貿易戦争が3月1日の交渉期限以降も続く可能性が台頭し、世界経済に及ぼす影響に懸念が広がりました。ただし、欧州経済の軟化でユーロが売られ、ドル高となったことから上げ幅は限られました。

一時は1,302.11ドルと1月29日以来の安値を付けました。現地時間2月5日に実施されたトランプ米大統領の一般教書演説は、ほとんど材料視されませんでした。週末には上昇しました。低調な世界経済見通しを受けて、世界の株価が3日続落となり、リスク選好が後退したことが買いを誘いました。

トランプ米大統領が、中国と貿易協議の期限である3月1日までに、習近平国家主席と会談する計画はないと明らかにしたことも、嫌気されました。ただし、ドル高が上値を抑えたことから、週間ベースでは3週間ぶりの下落となりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は2月1日の817.4トンから2月8日には802.12トンに下落しました。株式市場が堅調なことから、投資家は金保有量を若干減らしているようです。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋の1月8日時点のポジションは9万9216枚の買い越しとなり、前週から2万4556枚縮小しました。買いポジションが1万581枚減少し、売りポジションが1万3975枚増加しました。1,300ドルを超えられなかったことから、手仕舞い売りが優勢になったと考えられます。

CFTCはデータを火曜日と金曜日に公表しており、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

円建て金相場は横ばいでした。為替相場は円安基調でしたが、ドル建て金相場の上値の重さが響きました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇基調は継続

金相場は上値を試す展開が続くと考えます。これまで反発基調が続いてきた株価の上値が重くなってきました。昨年12月のクラッシュ以降、割安と判断した投資家が米国を中心とした株式市場に買いを入れてきましたが、米中貿易戦争の影響が企業業績に影を落とし始めており、株価の持続的な上昇が困難になりつつあります。

このような状況もあり、株価調整の可能性が高まっており、安全資産である金への注目度が再び高まりやすい地合いにあります。ドルはリスク回避先として買われており、ドル高基調が続いていることが金相場の上値を抑えています。しかし、ドル高はユーロ圏経済の軟調さを反映したものであり、ユーロ安の状況でもドル建て金相場の下げが限定的だったことは、潜在的な金需要が底堅いと考えられます。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、1月の金ETF全体への資金流入は71.9トンで、2,512.8トンと堅調でした。北米が53.0トン増、欧州が20.2トン増となっており、1月の株価回復基調の中でも、欧米投資家の金買いは続いていたことがわかります。

直近では、SPDRゴールドトラストの金保有高はやや減少していますが、株安基調が鮮明になれば、投資資金が債券市場に流入することで金利が低下し、金保有コストの低下につながることで、投資家の買いが入りやすくなるでしょう。

1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げに慎重な姿勢が示されましたが、これは景気や株価への懸念の裏返しであり、いずれ投資家のリスク回避姿勢が強まるものと思われます。その場合には、金への関心が高まらざるを得ないでしょう。

節目の1,300ドルをサポートしたことから、上昇しやすくなっています。直近高値の1,326ドルを超えると、昨年1月の高値である1,366ドルをめざす展開になるものと考えます。

円建て金相場も上昇すると考えます。先週は節目の4,700円を一時割り込む場面もありましたが、これを超えて下値を固める動きになれば、再び上昇に勢いがつくと考えます。引き続き、上昇に追随する形で買いを検討したいところです。

プラチナ:反落の展開

プラチナは反落しました。週初から週末までほぼ一貫して下落しました。金相場の下げは限定的となる一方、同じ白金族系メタルのパラジウム相場が上昇したにもかかわらず、プラチナ相場は節目の800ドルを割り込み、下落トレンドに入りました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場における1月8日時点の大口投機筋のポジションは1万1986枚の買い越しとなり、前週から471枚減少しました。買いポジションが1,728枚増加しましたが、売りポジションが2,199枚増加したことで、買い越し幅が縮小しました。

CFTCは、今後はデータを火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

プラチナ相場は前週末に830ドルまで上昇しましたが、1月7日につけた高値である831ドルを超えられなかったことから売りが優勢となり、下げがきつくなっています。さらに節目の800ドルを下回ったことから、基調はきわめて弱いといえます。昨年12月以降の安値水準である780ドルを割り込むようだと、テクニカル主導の売りがさらに相場水準を押し下げる可能性があります。

プラチナ自体に相場を押し上げる材料がないことから、基調の明確な反転を想定しづらい状況は変わっていません。引き続き、金相場が高値を更新するなど、外部要因のサポートが不可欠といえます。また、産業用の需要が大半であることから、株価が下落したり、景気指標の悪化が確認されたりするようだと、売られやすくなる点には引き続き注意が必要でしょう。

830ドルを明確に超えると、昨年11月の高値である877ドルまでの上昇が視野に入りますが、それ以上の上昇には供給量の減少や新規の需要創出などのサプライズとなる材料が必要でしょう。

円建てプラチナ相場も下落しました。節目の3,000円を割り込み、軟調な地合いにあります。まずは2,900円で下げ止まるかを確認したいところです。そのうえで、下値を固めて再び反発基調に入ったことを確認したうえで、買いを検討したいところです。為替相場も円高リスクが高まっており、買いは上昇に追随する形で検討したいところです。いまは安易に押し目を買うことは避けるべきと考えます。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:反落の展開

シルバーは反落しました。金相場の調整につれる形で週初から下落が続きましたが、重要なサポートである15.65ドルは維持しました。週末に金相場が反発したことを受けて、銀相場も上昇し、上向きに転じました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する、COMEX銀先物市場における1月8日時点の大口投機筋のポジションは5万4023枚の買い越しとなり、買い越し幅が前週から9,064枚拡大しました。買いポジションが3,764枚増加し、売りポジションが5,300枚減少したことで、買い越し幅が拡大しました。

CFTCはデータを今後火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

銀相場は金相場の上昇につれる展開が続いています。今回の調整はチャートポイントである15.65ドルで止まりました。そのため、金相場が明確な形で反転・上昇すれば、つれる形で上値を試す可能性が高まりそうです。

一方で、金相場の上昇が株安によるものだった場合には、銀需要の大半が産業用であることから、銀相場の上値は限定的になる可能性があります。反発に転じた場合には、まずは1月31日の高値である16.18ドルを超えるかを確認したいところです。そのうえで、上昇基調が持続すれば、節目の17ドルから18ドルを目指す可能性も出てくるでしょう。

一方で、15.65ドルを明確に割り込むようだと、15ドル近辺まで下げる可能性があります。金/銀レシオは83倍と、高値水準を維持しており、金融市場が依然としてリスクオフの状態となっている可能性があります。そのため、景気や株価動向には引き続き注意が必要と考えます。

円建て銀相場も下落しました。58円を維持できずに下げており、上値の重さが感じられます。そのため、57円を割り込むと、下げが加速する可能性がありますので要注意です。その場合には、安易に押し目を買うことはせず、明確に反発基調に戻すのを待つべきと考えます。一方、58円を明確に超えて、上昇基調に入るようであれば、そのトレンドに追随する形で買いを検討したいところです。引き続きトレンドを重視した対応が肝要です。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成