先週のゴールド:高値更新

金相場は高値を更新しました。週初は米中貿易協議の進展や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を待つ動きとなり、1,300ドル近辺で推移しました。その後は米中通商交渉への懐疑的な見方が広がる一方、FRBの利上げが打ち止めになるとの観測が強まり、一時1,311.67ドルと昨年5月15日以来の高値を付けました。

FOMCでは政策金利の据え置きが決定され、さらに今後の利上げを「忍耐強く」判断する姿勢が示されたことから、ドルが下落し、これが金相場の上昇につながりました。また、米金利が低下したことも材料視されました。その後も上昇基調が続き、1月31日には一時1,326.30ドルと、昨年4月26日以来の高値を付けました。

週末1日の金相場は下落しました。堅調な米雇用統計を受けて、安全資産としての魅力が低下しました。ただし、下げ幅は小幅でした。また、FRBによる追加利上げの打ち止め示唆を手掛かりに、週間ベースでは2週連続のプラスとなりました。

金相場は昨年8月に1年半ぶりの安値を付けて以降、不安定な株式相場やFRBの利上げ打ち止め観測に支えられ14%近く上昇しました。

一方、1日に発表された1月の米雇用統計では、失業率は4.0%と前月から0.1ポイント上昇しました。連邦政府機関の一部閉鎖が影響し、昨年6月以来の高水準となりました。景気動向を反映する非農業部門の就業者数は季節調整済みで、前月から30万4000人増と、昨年2月の33万人増以来の大幅な伸びとなりました。これを受けて、米金利が上昇し、ドルが買い戻されたことも、週末の金相場の上値を抑えました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は1月25日時点の809.76トンから1日には817.4トンに増加しました。1月29日には823.87トンにまで増加する場面がありました。投資家の金保有の意識は着実に高まっているといえます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖が解除されたことから、昨年12月24日時点の分が公表されました。それによると、投機筋の買い越し幅は11万985枚と、18日時点から3万5025枚拡大しました。買いポジションが2万6454枚増加し、売りポジションが8,571枚減少しました。

CFTCは、今後はデータを火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

円建て金相場は大幅続伸しました。ドル建て金相場の上昇が押し上げにつながりました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:上昇基調は継続

金相場は上値を試す展開が続くと考えます。金相場は今のところ、順調に水準を切り上げています。

昨年は世界の経済・政治の不透明さに対する投資家のヘッジ手段としてのドルが選好され、安全資産である金は買われませんでした。しかし、10月以降の株安により、金に注目する投資家が増えており、SPDRゴールドの保有残も着実に増加しています。

また、米金利低下で保有コストが低下していることも、投資家の買いを誘っているものと思われます。今回のFOMCでは、将来的な利上げの先送りの可能性が高いことが示されています。これは、FRBが現在の経済環境や株式市場の不安定さを考慮し、株価の下落に直結するような利上げ示唆は避けるべきとの結論に至ったことを意味します。

また、FRBは保有している金融資産の削減についても、停止する可能性を示しており、これも金利低下につながりやすいと見られています。この材料も、金市場にはポジティブ要因といえます。このように、金市場を取り巻く環境は、金にとって徐々にポジティブになってきており、今後も金相場の上昇基調が続くものと考えます。

現時点では、株価が昨年12月の急落の反動で戻していますが、今後は景気の鈍化傾向や中国経済への不安、欧州の政治問題などが材料視されることで、金市場への関心はますます高まることになると考えます。米中通商交渉は難航しており、さらにハイテク分野での米国の中国への圧力はますます強まっています。このような政治リスクも金相場を押し上げることになりそうです。

ファンダメンタルズ面でも強材料が目白押しです。中国黄金協会によると、2018年の金消費が前年比5.7%増の1,151.43トンとなり、中国が6年連続で世界最大の金消費国となりました。生産高は5.8%減の401.12トンでした。

一方、ワールドゴールドカウンシル(WGC)は、世界第2位の金消費国であるインドの金需要は2019年に回復し、2010年平均を上回るとの予測を公表しました。WGCはインドの2019年の金消費量を昨年の760.4トンに対し、750~850トンと予想しました。

インドの需要は過去10年間で平均838トンでした。金の総消費量は、2018年は1.4%減でしたが、投資需要として知られるコインとバーの需要は4%減でした。

一方、輸入は前年から10%増の275.9トンでした。2013年8月に輸入関税を10%に引き上げて以来、インドでの金の密輸が急増しているもようですが、宝飾品事業は組織体制を改善し、密輸は昨年減少しているもようです。

WGCによると、2018年には90~95トンの金がインド国内に密輸され、前年の115~120トンから減少したもようです。中国人民銀行(中央銀行)が発表した、12月末時点の中国の金準備は5,956万トンと、2年ぶりに増加しました。

WGCは各国の中央銀行が金の買い入れを1967年以来、最大の水準まで拡大したことが、昨年の世界の金需要が4%増になったことにつながったと指摘しています。WGCは最新の四半期需要トレンド報告書の中で、2018年の世界金消費量が4,345.1トンと、2017年の4,159.9トンから増加したとしています。

WGCによると、消費量を押し上げたのは651.5トンを買い入れた中央銀行で、これは2017年比で74%増となり、年間の購入量としては過去2番目の大きさでした。中国やポーランドといった国がロシアやトルコ、カザフスタンと同様に準備を増やしたもようです。

WGCは「景気の不透明感や減速、米中貿易摩擦が投資フローを支えた」とし、「中央銀行による買い入れが今年も拡大する」との見方を示し、金の2大市場である中国とインドの需要は引き続き堅調になるとしています。

このような背景もあり、昨年1月の高値である1,366ドルを超えると、2016年7月高値の1,374ドルから2014年3月高値の1,391ドルまでの上昇も視野に入るでしょう。

円建て金相場も上昇すると考えます。節目の4,700ドルを超えると、上昇に勢いがつく形で節目の4,800円を目指すものと考えます。先週のコラム「金相場は高値更新から上値を試す展開へ」で指摘したように、引き続き上昇に追随する形で買いを検討したいところです。

プラチナ:続伸の展開

プラチナは続伸しました。週初はやや上値の重い展開でしたが、その後は金相場の上昇につれる形で値を上げ、週末には一時830ドルまで上昇しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、昨年12月24日時点の分が公表され、1万1670枚の買い越しとなり、前週から283枚買い越し幅が拡大していました。買いポジションが354枚増加し、売りポジションが71枚増加しました。

CFTCは、今後はデータを火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

プラチナ相場は1月7日につけた831ドル以来の高値を付けています。この水準を超えると上昇に勢いがつき、昨年11月の855ドルから877ドルを目指す可能性があります。この水準を超えると、昨年1月の高値1,027ドルと、節目の1,000ドル超えを目指すことも想定されます。

しかし、繰り返すように、プラチナ相場独自の材料がないことから、相場上昇には金相場が高値を更新するなど、外部要因のサポートが不可欠でしょう。また、産業用の需要が大半であることから、株価が下落したり、景気指標の悪化が確認されたりするようだと、売られやすくなる点には常に注意が必要と考えます。下落に転じ、節目の800ドルを割り込んだ場合には要注意でしょう。

円建てプラチナ相場は高値圏を維持しました。節目の3,000円から上放れると、上昇に勢いがつきそうです。その場合には、上昇に追随する形で買いを検討したいところです。一方で、3,000円を割り込んだ場合には、安易に押し目を買うことは避け、直近安値の2,900円水準で下げ止まるのを確認したうえで、買いを検討したいところです。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:大幅続伸の展開

シルバーは大幅続伸しました。金相場の上昇につれる形で週初から上昇基調が続き、1月31日には16.18ドルまで上昇する場面がありました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX銀先物市場における大口投機筋のポジションは、昨年12月24日時点の分が公表され、2万5550枚の買い越しでした。買いポジションが3,291枚増加し、売りポジションが2,428枚減少したことで、買い越し幅が拡大しました。

CFTCは今後、火曜日と金曜日に公表するとしています。また、政府機関が再び閉鎖されなければ、3月8日から通常のスケジュールでの公表に戻る見通しです。

銀相場は金相場の上昇につれる展開が続いています。今後もこの状況が続きそうです。ただし、目先は買われすぎ感が強まっており、調整される可能性がありそうです。

15.90ドルを下回ると、一時的に下げることが想定されます。その場合でも、15.65ドル前後で下げ止まれば、基調は維持されると考えます。ただし、この水準を下回ると、下げが大きくなり、15ドル前後までの調整となる可能性が高いだけに、注意が必要です。

一方で、上昇基調が続いた場合には、昨年5月の高値である17.30ドルを目指すことが想定されます。銀市場は産業用需要が大半であるだけに、株価の下落や景気悪化の兆しが見られると、下げやすいといえます。そのため、最近は回復基調が強まっている株式市場の動向にも注意が必要と考えます。

円建て銀相場は急伸しました。57円を超えて、さらに58円まで上昇しました。この水準を維持できれば、さらに上値を試すことが期待されます。その場合には、上値を追随する形で買いを検討したところです。ただし、58円を割り込んだ場合には、まずは57円をサポートできるかを確認し、そのうえで買いを検討したいところです。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成