先週のゴールド:1,300ドル超えの急伸

金相場は急伸しました。週初は低調な値動きでした。ただし、中国の2018年のGDPが6.6%増と、28年ぶりの低水準となりましたが、世界経済の減速懸念とともに景気刺激策への期待感が強まったことで、安全資産とされる金は弱含みました。

その一方で、安全な逃避先を求める投資家の買い意欲も旺盛で、下値が限られました。ただし、ドルが数週間ぶりの高値付近の水準を維持したことで、上げ幅は抑えられました。21日には12月28日以来の安値となる1,276.31ドルを付ける場面もありました。

もっとも、英国のEU離脱に関する不透明感や史上最長となっている米政府機関の一部閉鎖が金相場を支えました。また、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長が、米国の対イラン制裁に違反した疑いで逮捕された問題で、米政府が孟氏の身柄引き渡しをカナダに正式要請する方針を決めたことが、米中貿易協議に悪影響を及ぼすとの警戒感が強まったことも、金相場を支えました。

一方、24日に開催された欧州中央銀行(ECB)の理事会後に、ドラギ総裁がユーロ圏での短期的な成長の減速について警戒感を示したことを受けて、ドルが対ユーロで5週間超ぶり高値を付けたことが金相場を押し下げる場面がありました。

週末25日には急伸しました。昨年6月15日以来の高値となる1,303.61ドルまで上昇し、直近高値を更新しました。また、週間ベースも過去4週間で最大の上げ幅となりました。

米連邦準備制度理事会(FRB)が29日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げの一時休止に改めて言及するとの観測が強まったことでドルが大幅に下落したことが金相場の支援材料となりました。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は18日時点の809.76トンから25日まで変化がありませんでした。ただし、投資家は金の保有を維持していることが確認できます。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するCOMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

円建て金相場は続伸しました。ドル建て金相場の上昇と円安基調の継続で押し上げられました。

【図表1】先週のゴールド 縦軸:円建てゴールド/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

今週のゴールド:高値更新から上昇基調へ

金相場は上値を試す展開が続くと考えます。ようやく節目の1,300ドルを超えてきました。ドルの下落が金相場の上昇の背景にあります。昨年12月のFOMCでは利上げを実施しましたが、市場では年内の利上げが先送りされる可能性が高いとみており、これがドルの下落につながっています。

金利が付かない金にとって、金利の引き上げ先送りは好材料となります。もっとも、このような見方を背景に株価が上昇し、債券が売られて金利は上昇しています。今後は株価の不安定化を背景とした債券買いが金利を押し下げる過程で金が買われるかを見ていくことになりそうです。

先週末には、FRBが現在実施している資産圧縮を後退させるとの観測が出ています。その場合、金利は低下しやすくなりますので、これも金相場には支援材料になります。29日のFOMCでこの点に関して言及があるかにも注目したいところです。

一方、30日には米中通商交渉が行われます。その結果次第では、市場が乱高下する可能性があります。また、週末の2月1日には1月の米雇用統計の発表も控えています。市場予想では、非農業部門雇用者数が16万人となっており、前月の31万2000人から低下する見込みです。また、失業率は前月と同じ3.9%となっています。

ただし、米政府機関の閉鎖に伴い、その影響が反映されるとの見方もあります。とはいえ、堅調な雇用を背景に、ドルが買い戻されるようだと、金相場の上値が抑えられる可能性がありますので、注意が必要でしょう。

いずれにしても、今後は株価と金利動向が重要になりますので、これらの動きを慎重に見極めたいところです。そのうえで、1,300ドルを維持できれば、徐々に下値を切り上げていくものと考えます。

円建て金相場もドル建て金相場の堅調さを反映する形で上昇すると考えます。円高基調が上値を抑える可能性はありますが、米ドル/円が極端な円高に進まなければ、基調は維持されると考えます。

節目の4,600円がサポートになることが確認できれば、押し目で徐々に買うことを検討したいところです。また、12月以降の高値水準を超えた場合には、大幅に水準を切り上げる可能性があります。その場合には、その動きに追随する形で買いを検討したいところです。

プラチナ:反発の展開

プラチナは反発しました。週初は小幅に下落していましたが、週半ばから反発し、週末には金相場の上昇につれる形で急伸しました。ただし、チャートポイントになっている815ドルを超えることはできませんでした。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表するNYMEXプラチナ先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

プラチナ相場は先週末に急伸したものの、これまでのレンジの域を超えていません。金相場は節目の1,300ドルを超えてきましたが、プラチナ相場の上値の重さは、ファンダメンタルズ面の弱さが確認できる動きといえます。貴金属銘柄の中でもそれぞれ固有の材料で動くようになっていますが、この観点ではプラチナ相場は上値が重くなりやすい市場環境にあるといえます。

金相場は直近高値を更新しましたが、プラチナも同様に830ドルの水準を超えることができるかをまずは確認することになるでしょう。ファンダメンタルズ面では新しい材料は見当たりません。

主要生産国である南アフリカでは、価格の低迷から脱却するための生産調整の動きは見られません。また、長期的に需要が伸びにくい背景がある状況にも変化はありません。ディーゼル車の自動車触媒向け需要がメインのプラチナは、将来的なディーゼル車の販売シェアの低下観測もあり、買いづらい状況にあります。

また、ドイツなど主要な欧州のディーゼル車販売が落ち込んでおり、自動車市場全体でのディーゼル車のシェアは低下し続けています。今後もこの傾向は続くと見られており、ディーゼル車の販売台数が今後伸びる可能性はかなり低いといえます。そのため、よほどの政治的なサポートがない限り、現在のディーゼル車離れの流れを止めることは難しい状況も変わらないと考えられます。

そのため、引き続き警戒的な姿勢を維持し、金相場などの動きを見ながらプラチナ相場の推移を見ていきたいところです。目先は830ドルを明確に超えると水準を切り上げ、850ドルから880ドルを狙う展開が想定されます。ただし、株価が下げるようだと、産業用需要がメインでもあることから、つれて下げる可能性がありますので注意が必要です。

円建てプラチナ相場は反発しました。ただし、節目の3,000円を超えていないため、これを超えて上昇基調に入るのを確認したうえで、買いを検討したいところです。プラチナは他のメタルよりも上がりづらいため、2,900円を割り込むと下げが大きくなる可能性もありそうです。そのため、押し目買いよりも上昇トレンドに追随して買うのが賢明と考えます。

【図表2】プラチナ 縦軸:円建てプラチナ/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成

シルバー:急伸の展開

シルバーは急伸しました。週初は前週までの下落の流れを背景に下げていましたが、週末に金相場が急伸したことから値を上げ、15.70ドル台まで上昇しました。

CFTC(米商品先物取引委員会)が公表する12月28日、1月4日発表予定のCOMEX銀先物市場での大口投機筋のポジションは、米政府機関の一部閉鎖の影響により発表されていません。CFTCは、政府機関閉鎖が解除され次第、公表を再開する方針を示しています。

銀相場は金相場の上昇につれる展開が続いています。そのため、金相場次第の展開といえます。もっとも、動きが出始めると金相場以上に変動する傾向が強いため、今後も金相場の上昇基調が続くようだと、今月4日につけた15.87ドルを超えて、さらに上値を試す可能性があります。

ただし、銀需要は工業用がメインであり、株式市場の動向にも影響を受けやすいといえます。そのため、株価が下げた場合、金は安全資産の逃避先として買われる一方、銀には売りが出る可能性があります。この場合には、金と銀の相場の方向性が逆となり、金価格を銀価格で割った「金/銀レシオ」が上昇する形で銀に売りが出る可能性があります。

現在、金/銀レシオは82.77倍と、ピークの86倍から低下していますが、依然として歴史的高値圏で推移しています。警戒的な動きが続いているといえるため、慎重に見極めたいところです。

目先は直近高値の15.87ドルを超えると、節目の16ドルから16.20ドルを試す展開が想定されます。逆に下げて直近安値の15.15ドルを下回ると、14.80ドルを目指す可能性が高まるため注意が必要です。

円建て銀相場は反発しました。56円割れから値を回復しており、57円を超えると上昇しやすくなりそうですので、57円超えを確認したうえで買いを検討したいところです。一方で56円を割り込むと下げ幅が大きくなる可能性があります。そのため、いまは押し目買いは避け、上昇トレンドに追随する形で買いを検討するのが賢明と考えます。

【図表3】シルバー 縦軸:円建てシルバー/グラム(単位:円)
出所:マネックス証券作成