米国株が反発基調の一方で中国経済の減速が鮮明に

米国株は戻り歩調です。昨年末の「クリスマス・クラッシュ」で大きく下げた後、行き過ぎた悲観の反動もあり、反発基調に入ってきました。

昨年第4四半期の決算発表が始まりましたが、銀行株がそこそこの内容との見方になり、買い戻されていることも株価を押し上げています。さらに、昨年の米国株をけん引したハイテク株も、一部の銘柄はまさにV字回復しています。また、投資家の心理状態も先週末時点でほぼ中立に戻ってきたようです。

こうなると、目先の株価が堅調であれば、昨年の第4四半期の内容に対する評価も、「それほど悪くない」とのポジティブな捉え方になります。このような背景が、短期的に株価を押し上げているといえそうです。

一方で、中国の景気悪化が顕著になってきました。21日に発表された2018年の中国の経済成長率は6.6%と、28年ぶりの低水準でした。また、12月の小売売上高は前年同月比8.2%増と低水準となり、12月の貿易総額は5.8%減と2年ぶりにマイナスへ転じました。

このため、成長率目標は2018年の「6.5%前後」から、2019年は「6.0~6.5%」に引き下げられる見通しです。

中国は減税規模の拡大やインフラ投資などの景気対策を決めましたが、大規模な刺激策には及び腰です。それは、リーマンショック後に実施した4兆元規模の刺激策が成長率を押し上げたものの、過剰債務や過剰設備、不動産バブルなど深刻な副作用をもたらしたからです。

また、インフラ投資だけでは景気回復には不十分とみられており、現在は規制している都市部の不動産市場の緩和がカギになるとの指摘もあります。

一方で、本格的な金融緩和も期待しづらい状況です。利下げに踏み切れば元安が進み、資金流出が加速するとともに、バブルが再発する恐れがあります。当局は預金準備率の引き下げなどでテコ入れを図るものの、効果は限定的と見られています。

 

米国株は中国の景気動向などを注視する展開に

中国景気の悪化の背景には、米中貿易摩擦の長期化の影響があるでしょう。そのためか、習近平指導部は、経済成長のスピードよりも質を重視し、緩やかな減速は容認するとみられています。

習国家主席は、「ブラック・スワン」を警戒し続ける一方、「灰色のサイ」を回避しなければならないとの認識を示しました。「ブラック・スワン」とは、めったに起こらないが発生すれば極めて大きな影響を及ぼす問題のことであり、「灰色のサイ」とは、確実に存在するのに見過ごされているリスクのことです。また、「中国経済は大きく複雑な変化に直面している」ともしており、現在が深刻な状況になりつつあることを暗に認めています。

習主席がこのような発言をするほどですから、中国経済はわれわれが想像している以上に疲弊している可能性があります。習主席は「政策立案の際には金融市場への潜在的な影響を徹底的に評価する必要がある」としており、今後は株価や金利、為替動向を注視した政策を取るでしょう。しかし、その効果は限定的になりそうです。

市場が注目する中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、昨年12月に節目の50を下回りました。この指標は世界の株価指数の先行指標になっています。

【図表】中国の製造業PMIと株価指数の推移
出所:各種資料からエモリキャピタルマネジメント(株)が作成

世界経済は2017年12月にピークを付け、世界株価指数も2018年1月にピークアウトしました。米国株も2018年10月にピークアウトしましたが、今後も中国経済が悪化傾向をたどるようだと、米国株への影響も出てきそうです。

今後発表される米主要ハイテク企業の業績や今後の予想と併せて、中国景気の影響も確認したいところです。